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のらねこ日記いきもの編ニホンザル

  子供のころ、地元の駅ビルの屋上に、おサルさん(たぶんニホンザル)が飼われていました。夏場になると屋上ではビアガーデンが開かれ、真っ昼間から飲んでいるおじさんたちも結構いましてた。
  ある日、私がおサルさんをながめていると、酔っぱらいのおじさんがやってきて、おサルさんに焼き鳥を与えようとしました。でもおサルさんが近寄って来なかったので、檻のすき間から焼き鳥を投げ入れました。
  すると、おサルさんは恐る恐る焼き鳥に近づき、指先でつついては、逃げるを繰り返しました。
  焼き鳥がなんのリアクションを起こさないことを確認すると、今度は焼き鳥を止まり木の上まで運び、下へ落として焼き鳥の反応を見ることを繰り返していました。
  焼き鳥をなにか別の生き物とでも思ったのでしょうか。でもおサルさんは頭がいいな、と私は思いました。
 
  社会人になってから、秘境温泉にはまった友達に誘われて、おサルさんが温泉に入ることで有名な長野県の地獄谷温泉に行きました。
  あいにくの土砂降りの中、最寄りバス停から山道歩いて30分、(途中サワガニが歩いてました)テンション駄々下がりだった私たちですが、旅館の手前の橋の欄干の上に第1おサルさんを発見して、ちょっとテンションが上がりました。
  たどり着いたお宿は、良く言えばタイムスリップしたかのような古き良き日本家屋で、2階の客室の窓には、鶏小屋のような緑の亀甲金網が張られていてました。
  それは、おサルさんの侵入を防ぐためのもので、玄関にも開放厳禁の注意書きがありました。
  しかし、私たちが通された部屋の金網には、猫1匹通れる位の穴が空いていました。
  窓から下を見ると、1階の屋根には、所々おサルさんのう○こが落ちていて、「金網に穴あいてるんじゃ、サル入ってこれる?この部屋大丈夫なのか?」と心配になりました。
  翌日も雨でしたが、私たちは野猿公苑に行きました。
  入り口の建物には、色々注意書きがありました。お土産のビニール袋などを持っていると、ひったくられるので荷物はロッカーへ、とか絶対おサルさんと目を合わせないようにとか…。
  で、いざ中に入ると、雨の中たくさんのおサルさんがいました。夏だったので、温泉に入っていたり、入っていなかったり、とにかくどこを見ても、おサルさんばかりで、
『目を合わせないなんて不可能!』と思いながら、かさで視線を、隠しつつおサルさんたちを観察しました。
  そんな訳で、おサルさんたちとの対面は緊張感があり、雨もひどかったので、私たちは早々に宿へ戻りました。      部屋でごろごろしていると、窓の金網の穴からネコさんがないていました。
窓を開けてやると、ネコさんは当然のように部屋へ入り、廊下へ通じる襖戸の前でまた「にゃあ」となきました。
襖戸を開けてやると、ネコさんは廊下の奥へ悠々と消えていきました。
どうやら、私たちの部屋は、この宿のネコさんの通り道だったようです。

宿の露天風呂にも入りに来るそうです


  


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