デザイナーを各事業部付けにすべきなのかどうか問題
こんにちは。
GWなのでちょっと視野広めの話を書いてみます。デザイン組織についてです。
ある程度大きい事業会社において、複数の事業が別のチームで走るようになると、それぞれのプロジェクトでデザイナーが必要になります。
それらデザイナーを、どういった形で会社に所属させるのかは難しい問題です。いくつかの観点がありますが、
・事業へのコミットメント
・知見共有
・評価をどうするか
といった観点から悩ましいと考えています。
会社からしたら事業成果第一
これは当然「事業が成功すること」を第一に考えるべきです。というより、事業をやるのに色々な人が集まって会社になっているので、そういう力学が働きがちですし、その前提で考えるのが自然ですよね。
となると、デザイナーも事業成果にコミットすることが求められます。デザイナー同士の知見共有や、デザイナーとしてのキャリアアップなどは二の次になりがち、というのが難しいところです。
そんなわけで、知見共有がされづらい問題を解消したり、安定してデザインリソースを提供するという目的で、社内でデザイン部署を作り、そこに発注するような形をとることも考えられます。
社内外注→事業部との距離遠い問題
たとえば、デザイナーを一箇所に社内制作会社のようにすると、どうしても受託感が出てしまって、「依頼主」と「依頼先」という構造が出てしまいます。
案件のゴールはデザインの提出という「結果」になり、事業の「成果」が求められないという状況が発生します。
こうなると事業にコミットできず、事業部に依頼されて作ったクリエイティブの効果を計るすべがない(というか追わせてもらえないなどが起こる)、結果、自分の仕事が適正にフィードバックされる小さい事業会社などに転職されてしまう。。。といったことが起きがちです。
事業部付→デザイナー評価されづらい問題
では事業部に属させるとどうか。
良いこととしては、より深く事業について考えるようになることで、受託的な受け方をしているよりもさらに幅広い仕事をこなせるようになります。
一方でデザイナー間の横のつながりが薄れてしまって、せっかく同じ会社にいるのに知見がうまく共有されません。他部署に知見共有したところで評価されるわけでもないため、モチベーションが続かず、閉じた組織になっていきます。
また、大抵事業部には1〜3名程度しかデザイナーが配属されないため、1名だった場合そのデザイナーを評価するのはデザイナー以外になります。
大切にしている細かいこだわりなどが評価されず、「自分のデザインが事業にどう成果を出したか」という、指標を立てづらい観点で評価をせざるを得ません。結果、双方納得いく評価をすることは、個々人のマネジメントスキルに大きく依存する形になりがちです。
このように、デザイン組織を作ってそこに属してもらうことと、事業部に属すことは相反する特性を持ち、なかなか悩ましいなと感じています。
成果をあげながら、デザイナーのモチベーションを保つ組織
私の所属するメディア部門のデザイナーは(全員ではありませんが)「各事業部とデザイン部を兼務する」ことで解消を図っています。
リアルなユーザーの動きやフィードバックなど、事業に属していないと得られない知識も多いので、デザイナーが事業部にどっぷり浸かって活躍することは必須だと考えています。
一方で、各メンバーが得た知見を横展開できるような体制を作ることは、全社視点で中長期的に見るとやはり重要です。
「成果をあげたい事業部」「キャリアアップしたいデザイナー」の双方の力学に応えながら良い組織にしていくポイントは、
デザイン組織として知見をためることが、結果として各事業部で成果をあげることにつながるということを、マネジメント層含め理解してもらうよう働きかけること
だと考えています。
働きかけとしては、ちょこちょこ各事業部長と1on1などを通じて細かく会話してみていますが、一定の理解は得られているように感じます。
・事業部では事業成果にコミットする
・デザイン部署では知見横展開やテスト体制構築など、横串の体制構築にコミットする
といった形で、事業部の成果を第一としながら、横展開の活動自体もきちんと評価される体制を作ることで、高いモチベーションを維持できるのではないか。
自分の配下のデザイナーをこの体制にしてもらってそろそろ一年が経ちますが、結果、各事業に対してのコミットメントが高まり、要件定義から関わるデザイナーが増えるなど、一人一人のデザイナーの担当領域が広がっています。
また、各事業で得た知見を横断組織であるデザインチームに返してくれており、チーム全体としての知見も深まってきていると実感しています。
ちなみに蛇足ですが、デザイン組織を作ってそこに100%で所属してもらうより、各事業部に人件費をつけつつデザイン組織を兼務という形をとるもう一つのメリットは、会社からすると「デザイン部」というコストセンターを持つよりも、事業部に人件費を吸収してもらった方が、こういった横串組織を作りやすいという話もあります。
事業第一、でもデザイナーのキャリアも大切に
様々な職種の方がいる大きな組織で全ての問題を完全に解消するのはなかなかハードルが高いと感じていますが、デザイナーが「適切に」こだわりを持つことが事業成果につながるような組織を目指すことが重要だと考えています。
スキルを身につけ、キャリアを積みながら、結果事業もしっかり成果を出せる、気持ちよく納得感のある組織を目指したいものです。今後も改善を図っていければと思います。
今日はこんなところで。
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