5月のパワーで乗り切っていくのよ
この半年間で祖母と義父、夫の祖母とうちの実家の犬が亡くなり、それぞれの家族は泣いたりモメたり、今もしている。義母も母も、大事な人を亡くした直後よりも今の方が辛そうだ。そして相続や、父親の会社の引き継ぎで夫は忙しくなった。1ヶ月ほど前から1日4時間くらいジムに通い始め、ミチミチに鍛えている。つまり精神的に参っているのである。ふだんの夫は大抵ソファで横になっていて、甘いものが大好きで、おいしそうなスイーツを見つけてきては食べてレポートしてくれる。そして気に入ると大人の財力で買い占める。いつもぽっちゃりたっぷりしているが、楽しそうでいいと思っていた。そんな夫がどこにもいなくなってしまった。
体重を計りまくり、チキンやらひじきやらを暗い顔で食べる夫、好物を出すと静かに食べて「明日続きを食べようっと…」と小声で言って半分残す夫が私は心配である。心配なのである、が! 夫婦はバランスを取るものだということなのか、私自身がいま、なんだかすごく元気なのである。腹の底に力がある。ハワイから帰って1週間くらい続く状態に似ている。なぜか、悩み続けることができない。やることもたくさんあるし、楽しいことに頭や行動を持っていかれる。ごはんがおいしく夜は眠い。新緑は美しく夜道は優しく歩くのも楽しい。すぐ小さなことで悩みしおれる自分から見て、頼もしいもうひとりの私が立ち上がっている。その頼もしい私がぐずな私を励まし、「こっちを見ろ」と視点を誘導し、前にひっぱって歩いているのである。
そして5月を振り返ったとき、やっぱり私は幸せだった。これまで考えてきたことや行動、いろいろなことが少しずつ身を結んだような月だった。それらの小さなハッピーが、今の私を立ち上げたような気もする。
⭐️手術・入院中の友人のお見舞いで行った千葉県鴨川は、緑が深く、海を見ながら温泉に入れたりして素敵なところだった。1日目は病室に宿泊、ソファベッドに寝たのだが意外と心地良くて「寝づらかったらベッド交代してって言おうと思ってたんだよ」と言ったら友人は「ひどいな!」と笑ってくれた。私のシーツのかけかたが雑だと右手だけで直してくれた。手術が成功して、本当〜に嬉しかった。
ちなみにオザケンの大ファンの彼女が行けなくなった代わりにチケットをもらってNHKホールのライブに行った。ゲストとしてステージに現れた人を私は知らず、出てきたときの客席の反応に驚き「なんかすごいパワフルなおばさんだな…?」と思ったらマヒトゥ・ザ・ピーポーだった。お名前はかねがね〜。
⭐️⭐️7年前から実家に暮らす元ノラの猫たちは、たまに帰省する私にずっとメンチを切り続けている。
犬が亡くなって最初のおやすみに、花を買って実家に行った。義弟が夜の散歩にまだリードを持って行ってしまうけど何も言えないと妹は心配していた。人が好きでお迎えが派手だったチャック(フルネーム:チャック・スパロウ。なぜそんなものまねタレントのような名前にしたのか妹夫妻よ)がいなくなって暗い実家。猫に挨拶をするかと近寄って行ったら、リアクションがなんだかいつもと違ったのだ。
ずっと好きだったけど相手にしてくれなかったキャバクラの女の子が突然おっぱいを見せてくれた感じと言えば伝わるだろうか。誰に伝わるってんだよ。三匹が少しずつ近寄ってきて、なでても逃げなかった。7年間冷たくされたことなどどうでもいい、一気にメロメロになってしまった。おじさんちゅーるを箱買いして持ってくるよ。
⭐️⭐️⭐️47歳の誕生日は、ずっと行ってみたかった日比谷のブヴェットに連れて行ってもらった。平野紗希子さんのpodcastで話題に出て気になっていたのだ。
すごくかわいくておいしいデザートプレートに、夫がちょっと口をつけて「よし、今日はこれくらいで」と小さな声で言ったのがかわいそうだった。甘いものを食べなくなってからこの人はとにかく小声なのだ。はやく元気になると良い、またゲフとなるまでおいしいものを食べようじゃないか。
⭐️⭐️⭐️⭐️蚤の市に行ったら奇妙礼太郎がライブに来てたり、茨城から素晴らしいメロンが送られてきたり、おいしい日本酒とお刺身をごちそうしてもらったり、思いがけずに起きた嬉しいことたちが、しばらくはトンネルの中を歩く私の心を温めてくれるのだろうと思う。