前に買っていたのをよく忘れる
昔から、説明書の類をちゃんと見ないで家具を組み立てたり、確認せずにポチッとネットで購入したりする。
いいかげんである。
おっちょこちょい、なんてかわいいふうに言って誤魔化したいところだが、適当なのだ。
「あ、おんなじ本買っちゃった」
ってことありますよね。
とにかく僕はよくする。我が家には松岡和子訳の『ハムレット』が3冊ある。ほかにもAmazonで予約したのをすっかり忘れ本屋で購入し、家に帰ったらポストに入っていたなんてこともざらである。
いつだって、「思いつきで行動すんな」と注意されてきた。
「いやいや、(僕なりに)熟考したんです」と言い返した。
だが!
とにかく僕はぼやーっとしているのだ。
同じ本を買ったことが判明すると、何事もなかったかのように人にあげたりする(売るのも忍びないのだ)。おすすめだよ! と会った人にさりげなく押し付けたりして。そんな本たちは、いま誰かの本棚にいるんだろうか……ロマンティック〜!(無理やりのテンションで)
電子書籍は買うサイトを一つに絞っているのでそんなことはない。電書と本をふたつ買う時もあるけどね。まあそれはよしとしたい。
ふと出先で強烈に読みたくなったりするんだもん。本と電子、形態違うし。いうなればハードカバー買ったけど数年後文庫でも買っちゃった、みたいな。
さて、本以外にも「おなじの買っちゃった!」ということはある。いまは映画だの動画である。サブスク配信百花繚乱な令和時代でも、サブスクにはなく、販売だけ、というものがひっそりとある。どうしても観たい、マジで観たい。観なきゃ死んじゃう! という謎のテンションになるときだってある。エロとか。……エロかよ。いやいや、筆が滑っただけです。
ツタヤがレンタルの店舗経営を撤廃(だか縮小)されて一番困ったのは、「サブスクになっていないものをどう観たらいいんだ」である。もちろん買えばいいんだけどさ。
例えば伊丹十三監督の作品はサブスクにはしないらしい。そういう戦略なのだ。なので借りるか買うか映画館でかかっているのをすかさず観に行くか、しかない。いや選択肢いっぱいあるな、こう考えると。でも、いまレンタルするとなるとディスカス(郵送でDVDを借りて返す)しかないわけだ。どうもディスカス、面倒くさいな、と思ってしまうんですけど、みなさん、どう思われますか。謎に問いかけたくなるほどに。なんとなく「レンタルビデオ屋に返しに行く」より「レンタルDVDをポストにポン!」のほうが手間はかからないけど、あとにあとにとずるずるやらなさそうな自分がいます。いや、映画にかける情熱、そして次に観たい人への気配りがないのか、って話ですか、すみません。
というわけで動画販売である。
「観ようと思ってたんだよな、まあいずれ」という動画の販売先を、スマホのホーム画面に追加している。小説の資料として、観ておかなくちゃな、参考になるかなってものなんだけど、まあいずれ、みたいな。
けっこうそういうのがあるんですね。貯まる一方だ。で、思いついた時に買ったりしているんですが、金を払ったことで安心して観ないままでいたりする。
とあるドキュメント動画があり、さきほど思いつきで購入して、「そうそう、いずれ書く小説の資料なんだしいちおうさらっと観ておくかな」なんてサイトのマイページをあけたら。
買っとるやん、一ヶ月前に。同じ商品が並んでいる。どんだけ好きなの、これ、という。あれか、推してるのか、推しへの愛を示すためにたくさん買うのか? って状態。
バカすぎる。速攻サイトのお問い合わせフォームから「誤って買ってしまました!」と連絡したのだが。
なにやってんだろうな、俺、とサイトのマイページを見ていたら。
他の動画も同じものを購入していた。いまさら気づいた。
がく、と倒れたね。己の知らないうちにしていた過去の無様な出来事を、今更知ったわけです。
大手サイトだと「お前は前に買ってるぞ」と警告めいたメッセージが出るものなんですけど、このサイトはちっさく「購入済み」とか書いてあるだけで、そのままボタンを押したら再購入できてしまうのだ。
確認したら今回含め三回やっとるし、俺。
さすがに日がたったものを「間違えてました」というのは忍びないので、こちらはそのままにした。
と、いうか販売サイトから「そういうの無理です」と言われたとしても、なんか、自分、同じこと繰り返してるし、「あ、そっすか、次から気をつけます」しか言えねえわ。
一つ買ったらもう一つはいらないもの。それは動画。むしゃくしゃしたのでとりあえず、同じものを別の入り口から連続、二度観た。学びはあったし、するはずだった資料としてのチェックも捗った。が、一つのものを二回観りゃいいだけの話である。
ちゃんと買う前に見ろ、俺。
いくつになってもそそっかしというか適当なのである。いや、推しへのいきすぎた愛、と考えようか。推してないけど。
もう絶対これ、小説にしよ。