目立たないでいられることの利点を語る人は少ない。
自分の人生を自分の人生として生きるのは、思いのほか難しいもの。今回、なるべく自分の中だけの折り合いで完結させるクセをつけていく、というテーマで思考をめぐらせてみました。
・自己顕示欲と自己肯定感
感情が動く出来事があると、誰かに話したくなることもあれば、誰にも話したくないというときもある。私の場合、そんなふうなことを思うとき、思い浮かぶのが自己顕示欲、自己肯定感という言葉だ。どちらも日々の生活で0パーセント、100パーセントになることはない。
自己顕示欲:誰かに自分を見てほしいという欲求(他者との関係)
自己肯定感:自分はこれでいいんだと思える感覚(自分の中の問題)
例えば、なんとなく寂しいとき、自己顕示欲や自己肯定感はどのように作用するのだろう。
自己顕示欲で、寂しさはどのくらい埋まるのか、それともどのくらい邪魔するのか?
自己肯定感で、寂しさはどのくらい埋まるのか、それともどのくらい邪魔するのか?
自分のなかで、いろいろ考えても腑に落ちる回答はなかなか見つけられませんでした。元々、行為と状態は不可分な関係にあるものですからね。分けてもいつの間にか混ざっている。ただ、別のことも思いました。情報は、世間の話題に即座に反応するのではなく、自分の内なる思いや振り返りのタイミングで主体的に掴みにいく。そのような、自分きっかけで選択した行動や振る舞いは、長い目でみて精神を豊かにするのではないか。競合が少ないことから目的が達成されやすいし、結果、日々のストレスは溜まりにくいのではないか。
・TPO環境を工夫する
世の中で評価されているもの、他人が薦めてきたものが自分にもふさわしいとはかぎらない。今、自分のなかで湧き起こっている気持ちは反応にすぎないのではないか、ほんとうに自分が手に入れたいものなのか、立ち止まって考える。とりあえずメモだけとり、その場で掴まない、即決しない。そうすると、しばらくして別の選択肢が浮上することもよくあるから。
時間を変える:例えば午後を午前に変えてみる
場所を変える:例えばいつもと異なるところに身をおいてみる
機会を変える:例えば今回は見送ることにする
それは飲食店では並ばなくてよくなるかもしれない。それは気に入った洋服を買うときも欠品であることが少なくなるかもしれない。それは好きになったミュージシャンやバンドのチケットも取りやすくなるかもしれない。
自分きっかけに加えて、なるべく自分の中だけの折り合いで完結させるクセをつけていく。そのためには他人と自分を比べることをできる限りやめる。そうすると暮らしのなかで反応で動く場面は少なくなるはず。もしかすると自己肯定感を高めれば、自己顕示欲の出番は少なくなるのかもしれない。 結果的に、こうむっていたかもしれないトラブルを避けていることにもなるだろう。
・知足者富
これで充分と思えること。電車に乗って、席が空いていたら座るような充足感でよしとする。壮年をすぎ、そんなことを感じられる大人に自分がなれているときがある。考えた末のあきらめは自分への誇り。まだあやふやだけど、目立たないでいられることの利点を語る人が少ない理由は、あきらめ、誇り、安心という言葉がキーワードになるという仮説を立てている。