俺たちはなんでシステムを作っているのか?
人間の基本的な生存戦略や発展の要因として生物学的、社会的、そして心理的な要因が存在しています。
生存するために資源・時間の効率的な運用が必要であること。
人間はコミュニティを形成し、その生態系内でより効率的な運用が競争優位になるということ。
進化の過程でタスクが完了したときの報酬系ホルモンが作用するようになっているということ。
基本的な生存戦略のために、システムで効率的にタスクを処理したり、情報を集約したり分析すること。ネットワーク化して知識を蓄積・利用をスケールさせたり、取得したデータから予測・新しい価値の発見・社会問題を解決することがシステムを作っている理由だと考えられます。
「俺たちは生きるためにシステムを作っている」
簡単な例で言うと1時間かかっていた手作業のタスクが全自動化されると、生存戦略上は寿命が伸びて、さらに生存に優位なタスクにリソースを活用できるようになるメリットがあるということです。
しかもその1時間は全人類にスケール可能な1時間であれば70億時間の寿命創出に繋がります。
これがスケーラビリティです。
まじで「俺たちはなんでシステムを作っているのか?」(現実編)
基本的なことを抜きにするとたぶんそれは「ARR1億のため」だったり、「◯◯な業務をシステムで自動化して☓☓億円のコスト削減効果のため」だったり、「リスクを減らすため」だったりすると思います。
もっと低次元なモチベーションとしては、「仕事だから」「言われたから」「たぶん必要そう」みたいな何でシステムを作っているのかという説明のアンサーにならないものに成り下がります。
基本的な部分に立ち返ると「俺たちは生きるためにシステムを作ってる」ので、作ることがどれくらい定量的に効果があるのかを予測し判断することが「生きる」ということに繋がります。また、自分視点ではなく顧客視点で価値を計測・表現する必要があります。
不確実性を減らすという言い方は生存戦略においても極めて重要な視点です。
CTOはARR1億になったら「具体的にだれがどれくらい喜ぶのか」「コミュニティがどれくらい強固になるのか」「社会がどれくらいより良くなるのか」具体的に顧客・市場・従業員(3C)へのインパクトを推測したり予測する必要があると思います。
予測し定量的に評価するためには、一次情報へのアクセスが極めて重要です。なぜなら不確実性の高い未来を予測するための土壌となるデータは自分の頭の中にはなく、顧客・社会とそのネットワーク・起きている現象(ファクト)・社会に蓄積されている知などからかき集めてそれでも足りなくて、試しにやってみてその反応を科学することでやっと少しだけ解像度が上がるようなものだからです。
俺たちが何を作っているのかの解像度を上げるには「顧客にあって一次情報を取りに行く」ということです。ファクトを泥臭く集めることでもあるし、すでに蓄積された知にアクセスすることでもあるし、科学者のように観察することでもあります。
CTOの責務は作ったシステム投資を取り立てること
作るのも当然億単位のコストがかかっていて、CTOは経営責任をもっているのでシステム投資分を市場や社会から回収することができなければ責務を全うできているとは言えません。テクノロジーだけに責任を持ちROIには責任を持たないCTOもいるので一部を除くとします。
取り立ての定量的な評価モデル
1. コスト・リターンで回収期間や利益率を計算することでROIを計測する
2. コスト削減額からROIを計測する
3. 新しい収益セグメントからROIを計測する
4. 顧客ロイヤルティをリピート率などの指標からモデルを使ってROIを計測する
5. リスク軽減したものに対する保険額からヘッジしたリスク金額を計測する
6. 競争力の向上を定量的に計測することは極めて難しく、市場シェア・CAGR・CAC・LTV・ベンチマーク・NPSなど多面的に定量・定性評価を入れる
いずれにせよ、仮に1億で作ったシステムを何年で返済するかの予測を元に経営判断をしていく必要があります(競争戦略など複雑なものは一旦割愛します)
IRRは内部収益率でものすごく単純化すると (将来のフリーキャッシュフロー / システム投資コスト) です。システム投資が特に特徴的なのは事業などと違って、1億で作ったシステムは少しの保守で基本的にはフリーキャッシュフローを産み続けるという点にあります。
このグラフにあるように、アジャイルやスタートアップからの学びはシステムを素早く市場投入することで期待リターンを最大化できるという一般的な知と、大きいタスクはそれだけで期待リターンが減るリスクがあるので戦略にアラインしながら期待リターンを管理する必要があるわけです。
さて、そういった特徴のシステム投資においてCTOはどうやって取り立てるかというと、定量評価モデルでなるべく正確にIRRを見積もって意思決定できるかが腕の見せ所であります。
QCD(品質・コスト・デリバリー)の先にIRRなど経営面での管理能力が必要ではないでしょうか。
より具体的な話に入ります↓
プロダクトの一番最初にWAF(Web Application Firewall)を入れるのは、最初にやると短納期・少資本で高いIRRが得られるからで、その判断をするには知識スタックや膨大なケーススタディと定量評価をするためのビジネスのオブザーバビリティが必要になります。
CI/CDを整えるのもIRRが高いからで、逆にリニューアルプロジェクトやリアーキテクチャプロジェクトは慎重になる必要があります。長期プロジェクトで金額規模もリスクも大きく、定量的な評価モデルが極めて計測が難しいタスクになります。大規模プロジェクトに着手する目的や期待する効果をしっかり言語化するプロセスが必要だと感じます。
CTOとして責務が広範囲になりすぎている場合は、この取り立て部分であったり一次情報へのアクセスをPdMと協業していくというプラクティスは一般的かと思います。竹内さんのエントリーをよく参考にしました↓
竹内さんのCTOの経緯でみても参考になります。
特に結論はないけれど、こんな考えで作って、個人的なビジョンとして「暮らしのアップデート」を掲げているという感じです。
世界にインパクトを与えるようなプロダクトに飢えているので、ぜひお声がけください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?