GPT-4がもたらすプロダクト開発へのインパクトとエンジニアの生存戦略
視点
スタートアップのCTO・PdM・エンジニアの視点で、GPT-4登場後にプロダクト開発がどのように変化するのかを実際に体験しているものを軸に未来予想のエントリーです。(またこの記事ですらもChatGPTにサポートしてもらっています。)
エンジニアはGPTとペアプログラミングすることになる
今しっくり来ている肌感覚はChatGPTはペアプロミング扱いすることで明らかに生産性が上がっていて、2倍・3倍のレベルで生産性が改善しています。GitHub Copilotがちょっとした改善だったのが、ChatGPTで劇的にフェーズが変わった肌感覚で、この後リリースされるGPT-4ベースのGitHub Copilot Xで劇的に変わってしまうのではないかと思います。
まずエンジニアリングで重要なのは最上流の「何を作るか?どうやって解決するか?」の部分はあまり効率化できていません。
何が効率化されているかでいうと「コーディング」と「テストコード」が劇的に短縮されました。理由は簡単で、ChatGPTが出してきたアウトプットに対してレビューと修正をするので、あまり重要ではない作業化された知的タスク(変数名の決定、関数名の決定、実装方法の調査、コードのタイピング)をChatGPTにさせることで大幅なコスト削減が実現できます。
特にテストコードはフォーカスすべきことはテストケースだけなのに、テストするために膨大なコードを書いたりデータを準備する必要があります。
まずはAIとペアプログラミングに適用できないと生産性のレベルが桁違いに変わってしまうので必須スキルではないかと思います。
特にMicrosoftのイベントで見たGitHub Copilot Xに期待しています。
テストコードを書くのが当たり前の世界線が来る
GPT-4後の世界ではテスコードを書くのがダルいという課題がなくなると思っていて、高級だったテストが自動生成の精度が上がることで低コストになって書くのが当たり前の世界線が来るのではないかと思う。
高品質なアプリケーションが簡単に作れるので、システムにも「はやい・安い・品質が高い」デリバリーが求められる競争環境になると思います。
E2Eテストの自動化も大規模言語モデルとAPI連携するだけで実現されそうなので、ヒトがコーディングすると品質が下がる的な産業革命の歴史が再現されそうな気がしています。
付加価値を作る課題と解決策の解像度の高さが重要になる
プロダクト開発に必要だった上流の情報処理(課題を掘る、課題を検証する、顧客ニーズを聞く、優先順位をつける、プロトタイプを作ってフィードバックをもらう)は現状はまだヒトが頑張ることになっていますが、近い未来は生成AIで実現されると思います。
その理由は、E2Eテストの自動化の逆方向で、SHIFTさんがテストから入って上流の企画にたどり着いたことと同じことが起きると思うからです。
「E2Eで期待しているテスト=付加価値」をAIモデルが判別できるなら、プロンプトで付加価値を提供すれば実現できるUXを生成できるはずです。
例えば、会員登録機能を作ってと言えばfigmaでワイヤーを生成させて、そこからFlutterのコードが出てきて、エンジニアやデザイナーはドメインの知識を使って修正するだけでリリースまで持っていけることをイメージしています。低次元な機能レベルから始まって、ユーザーへのカスタマーサポートが実は裏側がAIで、顧客ニーズを拾い上げていい感じの機能を提案するようになるでしょう。
こうなると、より重要なことは顧客に実際に会いに行って課題の解像度を上げることと、解決策の解像度を広く・深く持つことです。生成AIがどういうことが実現できるか要素技術をキャッチアップしておくことで、そこはAIにはまだ難しい部分ではあります。
よりAIが生産的になるようヒトがどう変化すればいいか?という視点も解像度を上げる意味で重要な生存戦略だと思います。どうやったらユーザーがAIに顧客ニーズを話してもらえるかのインターフェイスをデザインしたりといった新しい仕事が生まれてくるでしょう。
「どうやってやるか」より「何を作るか?」で生産性が決まる
一般的なエンジニアの生産量が1だったとき、大規模言語モデル前の世界ではコーディングが早かったり高いスキルが求められると10倍くらいの生産量の差になったりました。
この時代はまだ個人の生産量が少ないので、チームを前提としてチーム全体が生産量を大きくするためにフレームワークを採用したり、ウォーターフォールやアジャイル開発をしてきました。
個人の生産量が劇的に改善してくると、チームはより小さくなって生産量も増えるので、市場投入速度が上がる一方で「何を作るか?」に関しては生産性がまだ上がっていません。
つまり、需要と供給の関係で作り方よりも「何を作るか?」を考える仕事に傾向としてはシフトしていくのではないかと思います。
つまり「人が欲しがるものを作る」必要があるわけです。
プロダクト開発チームの境界線はなくなる
プロダクト開発の作業的な部分がAIに代替されていくことで、本質的な仕事だけが残り、本質的な仕事というのは営業でもCSでもバックオフィスでもアルバイトのメンバーでも意見を言ったりプロダクトを成長させていくことです。
この意味合いは、プログラミング言語が専門スキルではなく「ビジネス英語」くらいの一般的なスキルになるというイメージを持っています。
エンジニアの生存戦略
付加価値をエンジニアリングする
顧客に会い現場に行く
多様なサービスを体験する
要素技術をキャッチアップする
AIとの協働に慣れる
コミュニティから情報を得るネットワークを構築する
コーディングという原始的なレイヤーから、日常生活や社会を実装していくレイヤーにエンジニアリングの仕事が変わっていく変化ではないでしょうか?
もっと暮らしをアップデートしていきたい。
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