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ベンチャー企業の取締役会どうやる?(IPO見据えて)

IPO準備のフェーズごとに取締役会の運営方法について検討します。

【社長+気心の知れた役員のみ】フェーズ
 スタートアップ初期においては、社長とCOO・CTOが取締役となり、多くてもあと1名程度社外役員(エンジェルやVCの方)を置く状態ではないでしょうか。
 この頃の取締役会は、普段の経営メンバーMTGの延長線上になっているのではないでしょうか(事業の方向性や資金繰り、採用方針など検討事項多数を前向きに率直に話し合う場)。
 IPO準備が始まれば、重要な会議の議事録作成が必須となりバックデートで作成するケースもよくあります。よって、議事録メモを残すことは忘れず実施しておきたいです。加えて月次決算の報告や予算との乖離の共有も習慣化しておきたいところです。
 
【外部役員・監査役が入ってきた】フェーズ
 VC資金調達が進み、証券会社や監査法人との契約タイミングに合わせて、社外役員と監査役(監査役会はもう少し先)を設置することになります。
 これまでと違い、様々な立場の方が参加するので、率直に現況を話してよいものか判断つかずに、とても表面的な取締役会になりがちです。
 社内役員は言葉を選んで差しさわりのない話をしてしまう一方、社外役員も立場上、あまり踏み込まずに一般論を語って終えるような事例が見られます。
 
【取締役会に求められていること】
 昨今、企業のガバナンスに注目が集まるなか、IPO企業にも、取締役によるガバナンスの実効性が求められ、証券会社からはそのような指導を受けることとなります。
 わかりやすく言えば、「会社の重要事項を取締役会の場でしっかりと検討・議論できていますか?」「社外役員や監査役が積極的に発言し、経営に参画していますか?」といった、内容です。

【どんな風に運営するか?】
 社外役員や監査役の設置による人件費を考えると、積極的なアドバイスや、時には行動を求めることが経営面からも重要です。
 また、外部役員になる方々は経験豊富な方が大半ですので、その方の得意分野を見極めて、会議の場やそれ以外の場でもしっかりと成長に貢献いただけるように巻き込んでいきましょう。(遠慮不要)
 そのような関係性が作れれば、お互いに、会議体で発言すべきこと(議事録に残して問題ないこと)、会議外で個別に相談したほうが良いこと、のコンセンサスも取りやすくなります。
 取締役会で各自が積極的に発言する状態は刺激的ですが、企業体制を強化するうえで効果的な筋トレのようなものとも考えられますので、自社流の盛り上がる会議に取り組んでいただければと思います。

【カリスマ社長経営→ガバナンスに】
 スタートアップにおける意思決定は往々にして、創業社長の経営方針を尊重することになります。実績があればなおさらそれが正しい判断と考えられるからです。
 一方で、バックボーンの違う役員の参画により、経営意思決定が一気に客観視される状態になります。これまで社長の一言ですぐに動いていた事業が、外部役員の一言によってブレーキがかかったり、事前検証に時間を使うことになったりと、急に不自由に感じられると思います。
 これがまさにガバナンスであり、市場側から見ればあるべき状態です。
 社長経営→ガバナンスへの移行を早めに意識して取り組めば、特に面食らうことも少ないのではないでしょうか。(事業スピードは落ちますが、失敗確率を低減させる効果は期待できます。)

お問い合わせ先 nishida@kitahamacpa.com