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高校教員の仕事とは② ~仕事の種類~

1.この記事を読んで欲しい人

この記事は
・高校教員になろうかどうか考えている人
・高校教員の仕事内容について詳しく知りたい人
・高校教員という仕事の良さと厳しさを知りたい人

に向けて書いています。


前回の記事では、教員の仕事の優先度をお伝えしました。
一番大切な授業が、一番後回しにされちゃってるんですね……。

シリーズ2回目の記事となる今回は、授業をはじめ高校教員の仕事の全体像をさらっとお伝えします。

2.授業関連

教材研究と授業準備、授業の実施、課題などのチェック、考査の作成、考査の採点、成績処理、教科に関する雑務(書類仕事)、教科に関する雑務(イベントごと)があります。

 2-1.教材研究と授業準備

毎回の授業準備です。
教科によって作業量が異なります。例えば、古典は扱う教材がほぼ変わりませんが、英語は頻繁に教材が変わります。国語のベテラン教員が教材研究をしている姿を見たことはありませんが、英語のベテラン教員は夜遅くまで学校に残って教材研究や教材開発をしています。

 2-2.授業の実施

授業を行います。
教科によって持ちコマや準備・片付けにかかる時間が異なります。例えば、家庭科や化学は、調理器具や実験用具の準備、後片付けもあるので膨大な手間がかかります。その一方で、国語の先生はいつもスマートに準備、後片付けをされています。

 2-3.課題などのチェック

地味に大変です。
特に最近は「考査だけで成績をつけるな」と厳しく言われているので、課題やノートを具にチェックして成績に反映させる必要があります。芸術や家庭科のような実習の多い科目においては、成績に対して課題が占める割合が高いので、チェックするのも生徒に提出させるのも大変そうです。
教科によっては手を抜くことができます。

 2-4.考査の作成

場合によっては大変です。
なぜなら、同じ教科の他教員の了解を得る必要があるからです。
よほどの小規模校でなければ、例えば1年生の国語を複数人の教員が担当します。このとき、だれか一人の教員が考査問題を作成し、他の教員のOKをもらってから印刷・出題します。
同僚に恵まれていれば、非常にスムーズに出題までこぎつけることができるのですが、変にこだわりが強かったり、気の難しい教員がいると、何度も考査問題を作り直すハメになります。つまり、同僚ガチャですね。

 2-5.考査の採点

教科によってはとても大変です。
理系の教科は、比較的早くに採点が終わります。ところが、国語や英語のような文系科目は、いつも採点に時間を取られています。
高校入試の採点時にはこれが顕著に現れます。「よーいドン!」で一斉に各教科の採点を始めるのですが、大抵の場合、数学が最初に採点修了します。で、最下位争いをするのはいつも国語と英語です(苦笑)。

 

 2-6.成績処理

とても大変です。
学期ごとに、次のステップに沿って評価をつけます。
①同じ教科の教員間で相談して、評価基準を決める。
②評価基準に基づいて、実際に評価する。
③評価について、教員間で相談しながら微調整する。
上記のステップに沿って評価します。
何が大変かと言うと、学校内で秘密裏に定めた比率(成績「5」は上位〇%、「4」は〇%)が多くの場合存在しており、これに合うように調整する必要があるからです。

 2-7.教科に関する雑務(書類仕事)

シラバス(年間の授業計画)や、副教材の購入、その仕分けなどをします。
また、教育庁などからアンケートを課せられます。腹の立つことには、省庁は縦割り行政なので、同じような部署から同じような内容のアンケートが何件も来ることです。それも、生徒に対してアンケート実施しなければならないなんてこともザラです。

 2-8.教科に関する雑務(講習やイベントごと)

学校によっては「放課後講習」や「土曜日講習」という悪魔のイベントがあります。事実上、授業が増えるんです。もちろん給与は増えません。そうそう、長期休暇中の「講習」もありますよね。
また、教科や学校によっては独自のイベントごとがあります。例えば、休日に有志の生徒を募って行う「英語キャンプ」。家庭科系の学科をもつ学校が強制参加させられる「家庭クラブ大会」なんかもあります。
更に、教員には研修が課されます。初任者研修、2年目研修、5年目研修のようにキャリアに応じた研修のほかに、数年に一度の参加が義務付けられた教科の最新情報を更新するための研修があります。

3.担任業務

好きな人は大好きですが、嫌いな人は大嫌いな業務です。
業務内容は多岐にわたりますが、
・生徒と接する仕事
・保護者と接する仕事
・書類仕事
の3つに分類できます。

 3-1.生徒と接する仕事

SHR(配りものや連絡)、普段から生徒の様子を把握する、生徒に何かあった時に対応する、生徒との面談、教室の管理、LHR、学校行事の際に生徒を動かす。

 3-2.保護者と接する仕事

生徒が遅刻・欠席・早退する際の保護者とのやりとり、保護者の対応、保護者との面談。

 3-3.書類仕事

毎日の出席簿の管理、成績書類の作成・発送、就職・進学時の必要書類の作成、入学時の住所情報などの入力

なお、担任業務と公務分掌を兼ねるかどうかは、県・学校によって異なります。

4.部活

死にたくなるほど大変です。人によっては教員のメイン業務であり生きる意味です。
・平日の部活
・休日の部活
・大会の引率と運営
・物品購入と会計
以上4つ業務があります。
平日の部活は、いくら残業してもお金は出ません。言い換えれば、休日の部活は(いくらかは)お金がもらえます。
また、大会の引率は、宿泊先や旅程を自分で決めることになるので、旅行業者のような仕事ができて楽しいかもしれません。
大会運営は控えめに言って罰ゲームです。個人的な所感を言えば、たらい回しにされたこの世全ての理不尽を受け取る係です。ただ、全国大会の理事とかになると、数十万円クラスの接待を受けたりするそうですが。

5.公務分掌

機能的には以下の5つがあります。
・生徒指導部
・厚生部
・進路指導部
・総務部
・教務部

 5-1.生徒指導部

力のいる分掌です。
学校祭などもこの分掌の管轄なので、生徒が活発な学校であれば仕事が多くなりますが、やりがいも大きくなると思います。
生徒がヤンチャしたときの指導、外部からの苦情対応、生徒会執行部の顧問(部活の予算分配と会計、学校祭の運営)が業務内容です。

 5-2.厚生部

学校医を中心にカウンセリングを行ったり、個別の支援計画を作成したり、SSWと連携したりする分掌です。近年、ますます重要性が増してきた部門です。
カウンセリング、学校防災計画の作成、大掃除の準備、掃除用具の管理が業務内容です。

 5-3.進路指導部

進路に関わる多様な業務を行います。激務です。
多くの高校生がLHRなどの授業で小論文の指導を受けると思いますが、その計画・手配を行っているのもこの分掌です。
また、生徒の受験希望先と成績情報の一覧を作って、「この生徒はこの大学受けても大丈夫」などを一人ひとりの進路情報を相談・共有する「進路決定会議」を執り行う主体もこの分掌です。
更には、高卒求人の整理をして生徒に下ろしたり、就職試験の対策をしたりするのもこの分掌です。
更に更に、企業を招いて講演をしたり、実際に企業に職場体験に生かせたり、1年間の振り返りをプリントにまとめさせたり、それを基に面接練習をしたりといった進路行事を計画・実行するのもこの分掌です。
果てには、学校によっては企業に出向いて「ウチの生徒の採用枠を作ってくれませんか」とお願いすることもあります。

 5-4.総務部

PTA広報を発行したり、OB会を主催したり、学校新聞を発行したりします。
学校によっては教頭に割り振られたり、教務部に吸収合併されたりしています。

 5-5.教務部

その他ほぼすべての仕事をします。実質、教務部長が学校の予定を決定しています。
成績処理システムの管理、時間割の管理、年間予定の決定と管理、入試、出欠の最終的な管理、成績の最終的な管理など多岐にわたる業務を行います。

6.終わりに

以上、高校教員の仕事の概要でした。
いかがでしたでしょうか。
さらっと紹介すると言っておきながら、すこし詳しくなってしまったように思います(苦笑)。

でも、これらは氷山の一角。アポロチョコの苺の部分です。
まだまだ魅力も愚痴もたくさん残ってます。

「これが聞きたい!」というものがあれば、ぜひお知らせください。
可能であれば、該当記事から優先的に書こくうと思います。

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