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5日ごとの季節

 東京に戻ってきて数か月、ようやく息のつける公園を見つけた。閑静な住宅街に残る、小さな小さなお山。

 七十二候というものがあるけれど、自然というのは本当に5日単位で変わりゆくものだなあと思う。先週のお山と今週のお山では、表情や気配がまた違う。特に虫を見てそう感じることが多い。どこからか、わっと出てきて、パタっといなくなる。ああ、今日はこの虫が元気な日なんだな、と思う。

 先週はわたしの好きな七十二候だった。蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)。この場合のキリギリスは、コオロギを指すらしいけれど。

 散歩の途中、見知らぬ家の前に、虫かごがぽつんと置いてあった。イネ科の草がつめられていたので、バッタかな? と思いのぞきこむと、小さめのクビキリギリスが一匹、わたしの顔を見て、ぎょっとしたように身を動かした。おどろかせたらしい。あごが赤くてこわい顔をしているけれど、気が小さいのかもしれない。

 今朝はスズメバチがいたるところでブンブンあばれていた。この時期は気が立っていると聞く。ホシホウジャクだと思って近づくとスズメバチ、ということが多くてひやっとする。日に日に涼しくなってきて、ハチも蛾も焦ったように飛び回っている。今週の七十二候はもう霜始降(しもはじめてふる)なのだ。2週間後には立冬、冬が来る。まだ蚊がふやふや飛んでいるというのに。秋の装いでは顔をくわれやすくなる。ほんのりかゆい。

オオスカシバ
ホシホウジャク
オオスカシバ
ホシホウジャク
きみはだあれ? かっこいい触覚


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