プロジェクトマネジメントDAY2022に参加してみて〜「ガントチャートはアジャイルに使えない」を考察する〜
こんにちは、株式会社Relicの北川です!
今回は先日(11/11)開催されましたプロジェクトマネジメントDAY2022に参加しましたので、その感想をまとめてみようと思います。
対象とする読者の方
アジャイル開発をもっと知りたい方
アジャイル開発で懸念がある方
プロジェクトマネジメントDAY2022とは?
まずプロジェクトマネジメントDAY2022とは何かを説明したいと思います。
詳細は下記リンク先などからご確認頂けますと幸いです。
今回のテーマは「これからのPM/PLが使うべきフレームワークとは?」
今回の勉強会でのテーマは「これからのPM/PLが使うべきフレームワークとは?」でした。
アジャイルに関するセッションがいくつかあるのですが、改めてPMBOKに着目するといったセッションもあって、バリエーション豊かな内容だったと思います。
今回はその中で”「ガントチャートはアジャイルに使えない」を考察する”について、内容のまとめと私の意見や感じたことなどをまとめてみたいと思います。
なおアーカイブ配信もしているようですので、ご確認頂くのも良いかと思います。
「ガントチャートはアジャイルに使えない」を考察する
登壇者は株式会社システムインテグレータ西田さんです。
アジャイルとウォーターフォールで使用する進捗管理ツール
アジャイルの場合は、3つのレーンに分かれたタスクボードを使って、
ToDo(未着手)
Doing(仕掛中)
Done(完了)
を順に移動し、残作業の見える化をするために、計画線、実績線、理想線で構成されたバーンダウンチャートを作成
一方ウォーターフォールではスケジュール管理にはガントチャートが定番
各ロールごとのガントチャートに対するイメージ
マネージャー
全体像が把握できる
簡単に変更できない
アジャイルに向いていない
開発チーム
実態とあっていない
管理が大変そう
アジャイルで使わなくても支障がない
以上を前提知識として”なぜ「ガントチャートはアジャイルに使えない」と感じるのか?”について、3つの観点で説明
開発アプローチの違い
アジャイル開発のプロセスは、イテレーションを繰り返して徐々にリリースする斬新型
アジャイルの良さ
変更に対して柔軟である
わからないところは試行できる
新規サービス開発に向いている
アジャイルに対する不満
全体像が見えない
完成予定が見えない
計画が柔軟に変更されてしまう
ガントチャートがないと管理が大変
一方ウォーターフォール開発のプロセスは、後戻りしない、問題があれば先に進まない予測型
ウォーターフォールの良さ
全体像を把握しやすい
計画がしっかりしている
資源、資金が割り当てしやすい
ウォータフォールに対する不満
計画に時間がかかりすぎる
変更は厳重管理が必要
途中の変更に対応できない
ガントチャートがあると管理が大変
開発アプローチの違いという観点から見ると、アジャイル開発の特性に合わないから、と言える
マインドセットの違い
開発チームのマインドセット→残りを片付けてなくす
アジャイルのタスクボードでも、ToDoにあるものをDoing、Doneに移して「なくしていく」イメージ
バーンダウンチャートも「残りを片付けてなくしていく」イメージ
マネージャーのマインドセット→将来を見通す
ガントチャートでは、時間軸があって、全体像を把握できて、進捗状況が見えて、見通しを立てやすい
マインドセットの違いという観点から見ると、開発チームのマインドセットに合わないから、と言える
プログラムマネジメントの必要性
アジャイルは少人数が前提
変化の激しいビジネス環境で価値を提供し続けるには、複数チームと複数プロジェクトを同時並行で進めることになる
→プログラムマネジメントが必要
プログラムマネジメントでは全体像把握が必須
複数プロジェクトの依存関係をコントロールして、マイルストーンを明示、進捗状況を確認する
→ガントチャートによる見える化が最適
プログラムマネジメントの必要性という観点から見ると、複数プロジェクトのマネジメントでは必要だが、単一チーム内では必要性を感じないから、と言える
結論
なぜ「ガントチャートはアジャイルに使えない」と感じるのか?
アジャイル開発の特性に合わない
開発チームのマインドセットに合わない
しかしプログラムマネジメントにおける情報共有に最も適している
感想や感じたこと、思ったこと
プログラムマネジメントの観点を持ってきたことが興味深い点でした。
逆を言うと単一プロジェクトの場合、ガントチャートを使用する意義がないとも言えます。それは私の経験上からもそう感じました。
ではアジャイルではどのように本来ガントチャートで得られる情報を提供するかというと、スクラムにおける各イベントやアイテムによって以下が考えられると思っています。
全体像把握
プロダクトバックログ
優先順位に並べられたアイテムでプロダクトが目指していることを知ることができるため、全体像が把握できる
プロダクトバックログアイテムのゴール
実現したいことが何か、ユーザーにとっての価値は何か、なぜやるのか、ストーリーは何か、を知ることができるため、全体像が把握できる
プロダクトバックログリファインメント
実現したいことが何か、ユーザーにとっての価値は何か、なぜやるのか、ストーリーは何か、を知ることができるため、全体像が把握できる
完成予定を見る
リリースバーンダウンチャート
ベロシティから予測できるため、完成予定が見える
スプリントごとにリリースできる状態
動くものをスプリントごとに開発するため、完成予定が見える
どのスプリント終わりでもリリースできるため、完成予定が見える
インクリメントが完成の定義
どのスプリント終わりでもリリースできるため、完成予定が見える
スプリントバーンダウンチャート
スプリントによっては終わり切らないことがあることを知ることができるため、完成予定が見える
スプリントゴール
スプリントによっては終わり切らないことがあることを知ることができるため、完成予定が見える
デイリースクラム
スプリントによっては終わり切らないことがあることを知ることができるため、完成予定が見える
資源、資金が割り当てしやすい
チームの固定化
チーム成熟には3ヶ月かかると言われているので固定化することで、資源、資金が割り当てしやすい
リリースバーンダウンチャート
ベロシティから完成予測ができるため、資源、資金が割り当てしやすい
スプリントレトロスペクティブ
チームを迷わせた課題が何か、を改善をし続けることでフロー効率を高次元で保つことができるので、資源、資金が割り当てしやすい
将来の見通し
プロダクトバックログ
優先順位に並べられたアイテムでプロダクトが目指していることを知ることができるため、将来の見通しがしやすい
リリースバーンダウンチャート
ベロシティから完成予測ができるため、将来の見通しがしやすい
スプリントレビュー
動くものをレビューしプロダクトをより良くするための議論をすることで、将来の見通しがしやすい
こうやってまとめてみるとスクラムが全方位的にカバーしているフレームワークであると改めて感じる機会になりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
勉強会では”「ガントチャートはアジャイルに使えない」を考察する”ということがテーマでしたが、普段使用しているフレームワークに対していい意味で疑問を持つことが、そのフレームワークの良さを再確認する機会にもなるのかなと改めて感じました。
たまによく耳にすることとして、アジャイルやスクラムが、実践したら絶対に成功する、プロジェクトがうまくいく、銀の弾丸のように扱われることがありますが、使い方次第ですし、プロジェクトやチームなどに合う合わないもあると思いますので、その見極めも必要かと思います。
他にも「プロジェクトマネジメントDAY2022」ではなかなか面白いセッションがあったので、また別の機会にまとめと私の意見などを交えてご紹介してみたいと思います!
最後に
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