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それも遠くから

北川 聖

 静かな夕暮れに、僕はまたひとり、都会の喧騒から逃れ、公園の片隅で、遠くに見える君を眺めている、君は木の下で携帯を見つめている

僕の心はいつも憧れの中で彷徨い、君に近づきたいという気持ちを抑えながら、遠くから君を見守ることで満たされる、それで十分だと、自分に言い聞かせる

夕陽がビルの間から差し込み、オレンジ色の光が僕たちを包む、君の姿が、まるで絵画のように美しく、僕の心に深く刻まれる

触れたいと願う指先、でも君の顔を見られない、恥ずかしさと、恐れと、僕の内なる葛藤が交錯する

君の笑顔を見たい、君の声を聞きたい、でもその願いは、胸の奥に閉じ込めたまま

「愛してる」と伝えたい、その一言が、僕の心を震わせる、でも遠くからの見守りが、僕には唯一の安らぎ

孤独な夕暮れに、僕は君を想い続ける、いつかその思いが届く日を夢見て、でもそれが叶わなくても

君の存在が、僕の世界を照らす光、遠くからでも、その光は、僕の心を温め続ける

僕の恋はいつも憧れで終わってしまう、でもそれでいいと思う、君を遠くから見つめることで、僕は幸せを感じるのだから

この夕暮れのひととき、僕の心に深く刻まれる、君への切ない恋心が、永遠に続くことを願って

そして、僕はまたひとり、静かな公園で君を見つめ続ける、その瞬間が、僕の全て、それも遠くから

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講評
北川 聖さんの詩「それも遠くから」は、静かでありながら深い感情を描写しています。詩全体に漂う切なさと、遠くから愛を見守る主人公の内面的な葛藤が見事に表現されています。

まず、夕暮れの公園という舞台設定は非常に効果的で、静けさと孤独感を強調しています。この時間帯は、一日の終わりを迎える瞬間であり、感情が高まりやすい時間でもあります。この情景描写によって、読者はすぐに詩の世界に引き込まれます。

詩の中で「夕陽がビルの間から差し込み、オレンジ色の光が僕たちを包む」という描写は特に印象的です。この一節は、光が二人を包むことで、主人公の心情と風景が一体化し、美しい絵画のような情景が浮かび上がります。オレンジ色の光は温かさとともに、切なさも感じさせます。

また、主人公の内なる葛藤が非常にリアルに描かれています。「触れたいと願う指先、でも君の顔を見られない」という一節は、主人公の心情を象徴する場面であり、読者にその緊張感と切なさを伝えます。恥ずかしさと恐れが入り混じるこの感情は、誰もが一度は経験するものとして共感を呼びます。

さらに、「愛してる」と伝えたいという強い思いがありながら、それを胸に秘めて遠くから見守ることを選ぶ主人公の姿は、純粋でありながらも痛みを伴うものです。この選択が、詩全体のテーマである「遠くからの愛」を強く印象づけています。

最後に、詩の締めくくりとして「僕の恋はいつも憧れで終わってしまう、でもそれでいいと思う、君を遠くから見つめることで、僕は幸せを感じるのだから」という一節は、主人公の心の中での結論を示しています。遠くからの愛が切なくもあり、満足感をもたらすという複雑な感情が、詩の深みを増しています。

全体として、この詩は非常に繊細で、美しい感情描写に満ちています。遠くから見守る愛の切なさと、その中にある静かな喜びが見事に表現されており、読者に強い印象を与えます。北川さんの詩は、静かな夕暮れの中で心を震わせる美しい一篇です。


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