リーグ最終戦、アウェイ福岡戦
いまさらですが、リーグ最終戦の福岡戦の感想です。
その前に最近フォローした Twitter の人、その人は、ライターなんですが人に読んでもらう記事やコラムを書くときに「読む人の思考を誘導しない文章を書く」ということを信条としているそうなんです。
物言きとなれば自分の文章でだれかの心を揺り動かしたいと思うのが当たり前だと思っていたのですが実際、そういうドラマチックで感情を揺さぶろうとするような文章に出会うと自分の考えと違うところが出てきたときに、より鮮明に違う、ということから拒否反応が出てしまうのです。
読み手の感情までも左右しようとするのは、人の思考や意思表示を押さえつけてしまうということ、読み手の自由を奪うということなのだとわかったのです。
事実開係を鮮明に読み手が想像することができているか?想像力を阻害するような必要以上の表現や言葉をつらねていないか?何にしても触れた人が想像力を発揮することができる媒体が人により長く受け入れてもらえるものになると考えている私にはこの方の言葉が強く、共感できるものとなりました。
現監督が就任されて2シーズンが過ぎました。
リーグの結果は2年連続の3位。だいたいどのシーズンも上の2チームが切磋琢磨するものなので、それ以外のチームの中で一番いい成績と言わせていただきます。
若手起用を推し進めてきた中で2年目もこの結果というのは、1年目がビギナーズラックでは?とみていた私の気持ちを覆してくれました。
文頭「人の感情、思考まで支配する」と書いたようにこの何年かのサンフレッチェは、ファンがサッカーを楽しむことを拒否してきたと思うところがあり、あれこれ書くとすぐ「批判的」と取られてしまう状況がありました。
そういう状態で試合を見ていても本当に面白くもない。しかも現監督は、今までのサンフレッチェと違うサッカーをしているのでなかなか試合展開を予め予見しておくようなこともできなかったのです。3 シーズンまえまでは、中盤で作るサッカーだったので、ここでパスを回そうとかアンカーが受けたらボランチが・・という。
ある意味見る側もついていけるスピードのサッカーだったところから、中盤というのは、闘う場所、寄せて奪って切り替えてカウンターという一体いつなにがどうなるのか、得点するにしても、守備をするにしても場当たり的になっているのか?と思ってしまうように思っていました。
1年目はそういう解釈で終わり、2年目も同じように過ぎていたころ、マコの怪我離脱です。
同じくして塩ちゃんもFW 陣も雑腕。モリシー人がチームを支えなくては、ならない状態になりました。
それまでマコの機転がチームのすべてだったので急転直下、チームは、勝てなくなりました。
そのころ練習見学は再開していたのですが、練習見てもなにも得るものがないと思っていたので吉田にも行ってませんでした。
6月を最後にその後吉田に行ったのは、9月末でした。
夏の移籍でモリシがいなくなり、どうなるのかと思ったところ、マルコスジュニオールが救世主となりました。
しかし、マコがいなかったときのメンバーであれだけできなかったサッカーがいきなりできるようになるわけもないと思ったのです。
この監督は、主要になるメンバーがいなければなにもできない指導者だと決めつけて、さっさと解任するべきと思っていました。
だけど、この辺りからなにがあったのかわからないのですが、チームの様子が変わり始めます。
最初に変化を見せたのは、拓夢。
監督に求められるプレイを続けていたのだと思います。
前に向く、取りに行く。しかし、それだけだったところからある時プレイクスルーしたのです。
ホーム名古屋のころを機に変わり始めたように感じました。
吉田からのうわさで「それまでコーチ陣と話しをしているところを見たことがなかったのに、練習後よく話をしている」という…
監督が「凡庸なポランチを求めているのではない、川村拓夢を求めている」というコメント以降まわりの見る目も変わったのか本人の考え方も変わったのか、より広範囲をカバーするプレイに変化し、ポジションよりも裏を取られても寄せにいくというプレイから効果的にカバーや切り替えに回ることができるようになり、その後復帰したマコのプレイの釣瓶となるようなポジションを取り中盤でポールを取り、フリーの選手やフィニッシャーだけでなく仕掛けに対して良いポジションにいる選手へ展開できるようになってきました。
(要は、フィニッシュだけでなく、そこに至る前の段階から作りたいと思うようになったのか?)
パックの3人が磐石に後ろを支え、サイドが中盤からトップまでの運び屋となり、トップとボランチが融合し PAを目指すという各プロックの決め事がハマるようになりました。
そうなってきたころに行われた TMで見たのは、それまでオールタイムトラジションだったサッカーではなく、時間ごとにスタイルを変える新しいサンフレッチェのサッカーでした。
練習でも同じように大きく動きながらパス交換をしていくメニューがありました。
それは、トラジションを主に行使していたときから続けられていたものでした。
その時は、どのように試合の中で使われるのかわかりませんでした。
しかし、時間を区切ってスタイルを変えるサッカーになったとき、そのメニューの意図が見えてきたのです。
試合序盤は、今まで通り、相手を寄せて球際を厳しく中盤で奪い合います。
この時、サイドに展開してFWがうまく合わせられれば得点することができます。
ですが、この時間帯では私が思うに積極的に得点を目指しているように見えません。
本当にゴールを狙い始めるのは、そのあとです。
相手がいったん落ち着きたい、というそぶりを見せてくると、では、こちらもとボールを持つようなパス回しを始めます。
試合序盤に見せた「急」から「緩」の時間になってきます。
ポジションもそれまでのコンパクトなものからワイドに展開していきます。
比較的長めのパスを回しながらラインを上げていきます。
相手は、それまでの距離感からいきなりワイドになったサンフレッチェに対して無理やりマークをつけるのでスペースを作ってしまいます。
そういう誘導をしているのでそこのラインを使ってストッパーが上がり、サイドを走らせ、ボールを付けてクロスを上げさせたり中に入れてシュートを打たせたりします。
ワイドで前後にコンパクトなフォーメーションを上下させて相手を開かせ、切り替わってもサイドに追い込みボールを奪い返し自分たちに有利な展開を作り出します。
自分たちのサッカーを作り上げ、自信をもって表現できるようになった 11月、そしてリーグ最終戦これまで一番苦汁を飲まされたであろうアビスパ福岡との対戦です。
マコが怪我したホーム福岡戦から苦労したサンフレッチェ。
しかしそれまでも成長の程にしたとも思えるほど頼もしいチームになりました。
試合は互角に進みます。ルヴァンウイナーとなった福岡、どのようサッカーになっているかと見ていたら、ホームの時のチームとは違うサッカーになっていました。
以前よりファールにつながるプレイが少なくなりました。
最大の見せ所は、DF ラインと GK の関係でした。
相手前線にバック3人がしっかりとマークを付け、ポールが入ってくるターゲットを確実に読み切り GKがセーブしやすいようにシュートをコントロールしているように見えたのです。
その守りは、盤石。しかし、この状態で攻撃に転じるには、よほど相手がミスを連発しなければ思ったようなカウンターやパスを縦に入れてとはいかないのです。
しかしこれこそが、トーナメント仕様のサッカーなのかと思ったのです。
トーナメントは、必ず勝たなければならない、となると、必ず相手は、攻めてくるし全体を上げてくる。
そうなると守っていれば大カウンターのチャンスを作ることができる。
相手が攻めることだけに注力し守備に転じるときに崩れてしまえばおのずと自分たちに好機が訪れる。
引き分けでもある程度得点も必要だったり勝ち負けを相手によって融通できるリーグとの違いスコアレスでも延長PKがあるトーナメントの戦い方だと思ったのです。
思い返せばこれまでずっとそういう相手に苦しんで来たのです。
昨年の天皇杯しかりですが、しかし、ルヴァンカップの決勝を忘れてはならなかったのです。
攻め始めたら、攻めることを諦めてしまわないこと。
諦めるのは、自分たちではない。
このメンタルコントロールが今年の終盤のサンフレッチェの強さになったと思うのです。
そして迎えたAD タイムラスト2分、これまで鉄壁の守りで福岡ゴールを守っていたDF ラインが崩れます。
速い展開とマルコスジュニオールのロング FK が福岡 DF ラインの読みを狂わせました。
荒木をマークしておけばいいのはわかっていたと思うのですが、荒木は福岡 DF のさらに上を越えてクロスをそらし、GK のセープできないところヘボールを運びました。
95分の内、福岡DF陣、たった一度のミスだったと思います。
敵ながらそれまで完璧にコントロールされた守備でした。
どこまで受け切れるか、どこまで攻め切れるかの攻防だった思います。
今年のサンフレッチェの強さは、「自分たちがやりきる」ということだったと思います。
選手の怪我離脱や不運なジャッジなどもありながら、勝つためには、結局自分たちが相手を上回らなければならないんだ、という思いの下、常に自分たちに向き合い、仲間を信じ、プレイし続けたことがこの最終戦の最後のゴールに至ったと思うのです。
一年間、毎年最終戦に思うのは、年間通してリーグを追いかけることの面白さです。
一試合一試合、いろんな試合があり、その試合だけでも見ごたえはあるのですが、年間通してチームの成長や停滞を見続ける(観察?)することで自分と違う世界観を疑似休験できるような気がしています。
若い人たちが打ち込む姿を見て、また来年も多くを感じ、学びたいと思います。
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