『水曜独りメシ』こぼれ話「初めてのチーズケーキ」

 Eテレの「グレーテルのかまど」
阿川佐和子さんのチーズケーキの回を見ていて
お菓子を作り始めたときのことを思い出した。
グレーテルがヘンデルに残したメッセージは
「まずは1回目」

 私が最初に作ったケーキはレアチーズケーキだった。
特に製菓に興味があった、とか、
甘いもの好きが高じて、とか、
そういう自発的な理由ではない。

 では、何故か?
それは、「頼まれたから」だ。
中学生二年生になってすぐのある日、
同じクラスになった女子から突然、
「ケーキつくってよ」と。
その理由はひどく個人的で、
それを言ってしまうと誰だかわかってしまうので
ここには書かないが、その一言で、
ケーキをつくってみよう、という気になった。

 それまで、ごはんを作ることならしてきたが、
お菓子をつくるというのは初めてだった。
お題は「レアチーズケーキ」
さて、どうしたものか。

 家に帰り、本棚を探してみると、
あった。
たしかnonnoのレシピブックだった。
いろいろなお菓子のレシピが載っていて
そこにレアチーズケーキも。
材料を揃えて、混ぜて、冷やして固めるだけ。
おおざっぱに言えばそれだけだ。
これならできそうだ。

 さっそく、材料を買い出しに出た。
当時はファミリコといった、
岡島系列のスーパーに行き、店内を見てまわる。
買い物に来ることはままあるが、
クリームチーズを買ったのは生まれて初めてだ。
少し気恥ずかしさを覚えつつ、帰宅。
 材料とレシピを確認し、作業にかかる。
量る、混ぜる、流し入れる、冷やし固める。
手順どおりなら、これでできあがり。
果たしてこれで美味しくできているのか、
中までちゃんと固まっているのか、
少し不安もありながら、
仕上げのデコレーションをする。

 最後にのせるプレートに文字を入れる。
「HAPPY BIRTHDAY」
そう。
この日が私にとっても「製菓記念日」

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