やる気なんて当てにならない
来春の就職内定もいただき、高校生活も残すところあと数ヶ月(実質40日くらい)になった君。
そんな君が、今どんな気持ちなのかも知らずに「素敵な会社からも内定をいただいてるし、あとは卒業するだけだね」なんて声をかけちゃってごめんね。
遅刻や欠席が続いていて、授業の欠課時数が多く、卒業できないかもしれないこと。
家にも学校にも居場所を感じられないこと。
「このままじゃいけない」「この先どうなるんだろう」って考えてたらどんどん不安になって、夜は二時間くらいしか寝てないということ。
きっと、久しぶりに会ったボクには話しにくいことだったはずのにそれでも話してくれてありがとう。
ボクは正直「ここまで頑張ってきたんだし、あと少しで卒業できるんだから頑張れ!」って思った。
と同時に、それをそのまま伝えちゃいけないって思った。
「そんなこと、言われなくても分かってます・・・」
「それができなくて困ってるんです・・・」
そんな君の心の声が聴こえてきたような気がしたから。
そして、ボクの考えを押し付けられた君が本当に頑張れるとは思わなかったから。
そんな君の気持ちをもっとゆっくりじっくりしっかり聴いてあげられたらよかったのかもしれない。
それでも君と話せる限られた時間の中で、少しでも君の背中を押したいと思ってこんな話をしたんだよ。
「どうしても嫌なことがあるんだとしたら、それを我慢してまで頑張れなんて言えない。
逆に、どうしても他に大切にしたいことがあるんだとしたら、それを我慢して頑張れとも言えない。
だけど、もしもそのどっちでもないんだったら、ボクに騙されたと思って卒業してみない?
学校には来たくないし授業なんて受けたくない、だけど卒業はしたい。
矛盾してるけど、それが本心なんじゃないの?
だったらまずはその矛盾した本心を一旦受け止めてあげようよ。
親や先生には「何言ってるの!」って叱られるかもしれないけど、もしもそれが本心なんだとしたらまずは一旦受け止めて、認めてあげて。
「そんな都合のいいこと思っちゃダメだ」って自分を責めるんじゃなくて「だよねー」って寄り添ってあげて。
そうやってまずは一旦まるっと受け止めてから「で、どうしたい?」って改めて自分自身に問いかけてみたら?
間違っても「よし卒業するぞ」って、やる気なんて出そうとしちゃダメだよ。
やる気なんて当てにならないんだから。
やる気があってもやる気がなくても、朝起きたら制服に着替えて学校に行く。
どんなに授業がおもしろくなくても、どんなに教室が居心地悪くても、淡々と自分の席に座っておく。
それはこの学校を卒業するためじゃない。
ましてや、親や先生や友達のためでもない。
卒業した瞬間から始まる君の第二の人生を堂々と始めるためなんだよ。」
また会いに行くよ、また話そうね。