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神々の黄昏 [白骨化スマホ]

神々の黄昏

〈part 1〉

「なんだ、枯葉か」
「何かお探しですか」
「さて、何だろうね」
「じゃあ、分からないまま探してるんですね」
「まあね、それで君は?」
「ぼく?そうですねえ、強いて言えば管理人というところかな」
「管理人?」
「この公園、最近探しものをする人が多いんですよね どれどれ」

  管理人はしゃがみこむと落ち葉をかき分けた すると落ち葉の中からス
  マホが、まるで白骨化した遺棄死体のようにでてきた

「あ~あ、またこれか、これでしょ、あなたのものは」 
「そんな気もするし、そうでないような気もする」
「指紋認証になってますよ 試してみてください」
「ロック解除できないぜ どうやらおれんじゃないようだ」
「いえ、あなたのものですよ だって見えるでしょう」

  管理人は西の方を指さした

「ああ、あの赤煉瓦だろ おれが出た大学だ」
「いいえ、あれは蜃気楼です ほら、ちゃんと解除しているじゃないですか」
「え?でも入れないぜ」
「ちがいますよ 出ることができないんです」

〈part 2〉

「なんだ、枯葉か」
「おい、そこで何を探しているんだ」
「まあ、『探しもの』ってところです」
「ふん、『探しもの』を探すという無駄なことをするお前はだれだ」
「まあ、この公園の管理人といったところですかね」
「ふん、それもこれでおしまいさ これだろ お前の探してるってやつ」
「ああそうかも でも、顔認証は無理です 顔を落っことしてきたみたいなんでね」
「じゃあ、パスワードで解除しな」
「それもどこかに落っことしてきたみたいです」
「じゃあ、アトランダムに入力し続けろ」

  山高帽の男が立ち去ると管理人は入力し続けた 不幸なことに、桁数も
  どこかに落っことしていたのでその作業はほぼ永遠に続き、スマホは風
  化し白骨化していった

「ふん、辛抱強いな さすが管理人だ」
「あ、お久しぶりです 山高帽さん」
「どうだ、あれが見えるかね」

  山高帽が指さした西の空を核弾道ミサイルが横切っていた

「どこへ向かっているんです」
「黄昏だよ」
「それなら蜃気楼ですね」
「だといいが、どうやらだれかがロックを解除しちまったからな」
「あ、あの17桁か、意外とシンプルでしたね」   
「ふん、真理はいつも単純だからな さあてっと、後1分で世界は真っ赤な夕焼けだ」
「そりゃ、大変だ ところであなたはどなたでしたっけ」

  山高帽は「ふん」と鼻を鳴らすと山高帽を脱いで言った

「とっくの昔に白骨化したカミサマさ」

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