大きな声で愚痴を電話する女性の話
愚痴や不平・不満を言ってる場面に出くわしたり、聞かされる立場になってしまったりすることもよくある。
そういうことは出来る限り言わない方がいいらしい。
言えばいうほどさらにその思いが強くなってしまうということだ。
バスの中で女性の会話が聞こえてきたのだが、電話で話しているのであろう相手はおそらくその友人だろうか、延々と愚痴を語っている。
よほど頭にきているのか、話の内容まで周囲の人にしっかりわかるほどの大きな声で、それを気にするそぶりもない。
口調も荒くなったりなげやりになったり感情表現たっぷりの、橋田壽賀子ドラマのような見事な一人芝居である。
電話なので相手の様子はわからないが向こうはほぼ言葉を発していないのではないかと思われるほど女性は喋り続け、やがてスマホを耳に当てたままバスを降りていった。
他人事なのでどうでもいいと言えばどうでもいいことなのだが、あれだけ嫌な感情を周囲に撒き散らかして本人はなんとも感じていないようだ。
あの女性はあの愚痴を言うことで精神的に改善されたのだろうか。
あれだけの愚痴を聞かされていた電話の相手の精神状態は大丈夫なのだろうか。
たまたま近くにいたためにあの愚痴を聞かされた人たちはその日一日気分を悪くしていないのだろうか。
そして私は、その愚痴の内容に(おそらく旦那さんのことのようだったのだが)所々思い当たる節があったりして、まさか私の妻も他人にそんな噺をしているのではないだろうなとそんな心配をする羽目になった。