大スキピオて
高校の頃、世界史が大の苦手だった。人生の中でちゃんと挫折を経験したのはあれが初めてだっただろう。(運動や音楽も苦手だったけど、それは最初から諦めていたので「挫折」という感じではない)
世界史ができなかった理由の1つとして、世界史という教科に対して「知らん時代に知らん国の知らん人たちが知らんことしてるなあ」という気持ちがセンター試験当日まで抜けなかった。人間という生き物は興味のないものは覚えることが出来ない。
もちろん好きになる努力はした。世界史の漫画を買ってみたり、YouTubeの「わかりやすい!」動画を見てみたり、後は世界史が得意なクラスメイトの勉強法を真似したりもした。(後から気づいたが、そいつは世界史に興味があるから勉強できるんであってそれを真似してもマジで意味ない。)
世界史ができなかった理由はもうひとつある。その当時、ラップにハマっていたのだ。「なんの因果関係が?」と思うかもしれないが、世界史という教科は"単語の宝庫"なのだ。
目につくもの全てで韻を踏みたい中坊にとって世界史に出てくる歴史上の人物や出来事は格好の餌食だった。
つまりこういう事だ。(以下、授業中の脳内再現)
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先生「えー…アメンホテプ四世は自らを"イクナートン"と改名し…」
俺「おっ…!」
🎧ズクズクズクズク…🎶(←スクラッチ音)
アメンホテプはイクナートン🎶
シザーハンズはティム・バートン🎶
俺とお前のディスカッション🎶
お前はそこでリスタート!🎶
•*¨*•.¸¸♬𝒀𝒆𝒂𝒉─────
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頭の中でラップバトルが始まった瞬間に授業などもう聞いていない。そんな奴がいい点数が取れるわけないのだ。リスタートするべきはどう考えてもお前だ。
そんなこんなで苦手という自覚を持ちつつ、一応勉強は1番真剣に取り組んだ。(あの頃は「得意教科を伸ばすことで苦手をリカバーする」という脳はなく、ひたすら苦手を潰そうとしていた。)
しかし、結果は惨敗。センター試験では平均以下の50点台を叩き出した。
今でも世界史は理解できる気がしない。
誰だあいつら。(あいつら=世界史に出てくる人物たち)
世界史を習うまで17年間生きてきて1回も名前を聞いたことのない奴が「歴史上の偉大な人物」として出てくるのは変すぎる。「大スキピオ」なんて面白ネーム、もっと昔から知ってていいはずだろ。「憤死」なんてワードも世界史でしか聞かないぞ。こんなユニークなワード、もっと使ってけ。
それにしても大スキピオって名前、今更面白すぎるな。名前に「大好き」と「好きぴ」が入ってるの凄。世界最速告白じゃん。
ライバルからローマを守ったという偉大な功績を残したにもかかわらず、数千年後JKや男子高校生たちに「かわい〜」って言われてるの可哀想すぎる。でも本人は気づいてないんだろうな…
え、俺の名前もどこかの国の言語では面白ネームだったりするのかな。
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未来の教師「えっーと、笑わないでくださいね。このふわふわという人物は…」
未来のJK「ふわふわって笑笑 先生下ネタですかー???笑」
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やだやだやだやだ!
せっかく偉業残したのに名前にスポットライト当たるの悔しすぎ!!!
天国の大スキピオもこんな気持ちなのかもしれない。ごめんね、大スキピオ。
まぁ俺は2000年後のJKに馬鹿にされたくないから偉業を成し遂げるのやめとこ。