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弱小吹奏楽部を追いかけた軌跡 第33話 最終年のスタート

 4月の定期演奏会は無事に終わり、7月下旬のコンクール地区大会へ向けてスタートが切られました。新一年生が入部し、総勢23名で今年のコンクールへ臨みます。

 5月、1年生のソロコンサートを行い、保護者の皆様をお呼びします。1年生の保護者にとっては、我が子のデビューを見学できるドキドキのイベントです。

 昨年初めて企画したこのイベント。保護者の方が吹奏楽部に関わる良いキッカケになるようで、来年以降もぜひ続けてほしいなと思いました。

 1年生は今年も全員初心者🔰です。堂々と演奏してくれました。ここからどのように化けて行くのか楽しみです。
 この1年生メンバー、実はこの後、大きく成長していくことになります。

 このソロコンサート後に保護者会総会がありました。総会は滞りなく進行し、新役員人事の話になります。ここでは毎年、滞ります💦

 会長、副会長、会計、監査などに加え、昨年より広報部門を設けてもらっています。各種作成費用で予算も組んでもらいました。
 私がお願いして作ってもらった広報部門を、当たり前ですが私が担当します。
 2年生保護者2名、1年生保護者1名を広報担当として決めていただきました。

 『広報ってどんなことをするのですか?』
 不安で一杯の新広報役員さんから質問されました。

 子供達の活動の様子を撮影・取材したりして、普段来れない保護者さんや地域の皆さんに紹介します。そしてファンになってもらうための活動をします。
 とにかく子供達とコミュニケーションを取って、バンバン写真や動画を撮ってもらえばOK
です。そんな説明をさせてもらいました。

 真の目的は熱狂的な応援団を作ることです。親子で感動を味わい、1つでも上の成績を残せるような吹奏楽部を作りたい。
 心の中ではこう思っていました。

 総会が終わり、コンクールに向けた合奏練習を見学させてもらうことになりました。
 学生指揮者の娘が全員の前に立ち、チューニングをしています。

 驚きの光景でした。娘がかなり厳しく声を掛けています。下級生は自分の番が巡ってくると慌てて音を出しています。
 なかなか音が出ないホルンの子は泣きながら必死になって息を入れています。焦れば焦るほど音は出ません。上級生が優しくサポートしますがうまくいきません。
 娘は鬼か!と思いましたが、ホルンのRちゃんも食らいついてきます。

 当然この日はRちゃんの保護者も見学しています。一体どんな心境でこの光景を見ていたのでしょうか・・
 その後も娘から容赦ないダメ出しが各パートへ飛びます。
 普段は個人練習とパート・セクションごとの練習がメインですが、全体合奏の練習が入ると今日のような展開になります。

 本人の努力が1番技術向上に影響するのは当然です。しかし技術を伝承していかなければならないスクールバンドにとって、先輩の役割は重要です。
 先輩奏者にも技術格差は当然あります。

 全体チューニングが終わり、コンクール曲の合奏練習が始まりました。

 顧問の先生が指揮をします。コンクール曲をどの曲にするかで最近まで話し合っていたらしく、ほぼ初見に近い状態でした。
 ぎこちない感じで合奏は進みますw

 合奏途中、次々と脱落者が出始めます。先生はテンポをゆっくりにして継続していきます。

 最後は悲鳴のような演奏となり終了。
 『本番までこの演奏をレベルアップしていきますので、どうぞよろしくお願い致します』
 先生の挨拶をもって会はお開きです。

 地区予選まで約2か月、色々な現状を見せつけられ、不安な気持ちとなりました。

 やっと音が出始めたばかりの1年生
 娘から厳しい指摘を受け続ける2年生
 技術・モチベーション格差のある3年生

 激動の2か月間がスタートしました。

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