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第5話 感動の演出
突然の不審者扱いに戸惑ったものの、何とかリハーサル会場へ入らせていただくことができた。
先生「撮影した動画は個人で鑑賞用として使われますよね?不特定多数の人が閲覧できるSNSなどへの投稿はお控えください」
私「はい、重々承知いたしました、準備の邪魔をしてすいません・・」
会場の設営準備で走り回っている先生たちからすれば、私への対応はイレギュラー発生といったところか・・
中学時代は色々と自由にやらせてもらった。会場準備も保護者がメインで関わっていたし、そのためのミーティングもあった。
高校生にもなれば自分たちで考えて準備をし、主体的に運営をしていく。保護者はひたすら保護者会費を淡々と支払うのみ。
会場準備といっても入り口の受付付近はスッキリしている。長テーブルにはプログラムが積まれ、お客様の動線から離れたところに各団体・個人からのお祝いの花が置かれている。
まさかのこれで準備完了?あまりにも殺風景だ。
会場内では演劇の通し稽古が行われていた。表情豊かに子供達は躍動している。
客席後方で撮影のセッティングを始める。何人かの方よりわざわざ挨拶をしていただいた。
『今日はよろしくお願いします』
私のことを学校関係者だと思って挨拶しにきたのだろう。私はただの保護者です笑
挨拶しにきた方は本番でステージ演奏にゲストで参加していた。本来そういうレベルの人しかここには入れないのだろう。
合奏練習が始まった。最初は今年の吹奏楽コンクール課題曲Ⅳフロンティア・スピリット。先生が途中で何度も演奏を止め、細かい点を修正していく。それにしてもこの曲、トランペットとユーフォニアムのソロのところが美しい。2人の息がピッタリ合うと感動ものだ。
次はロマネスクを練習。ゆったりとしたリズムで綺麗な音を出していく。娘はこういう曲が好きなはずだ。案の定、体を揺らしながら気持ち良さそうにクラリネットを吹いている。
他に数曲を部分的に確認し、リハーサルは終わった。1時間後に開場となる。一旦外へ出て待つことにした。
入り口の受付付近は殺風景のままで、やはりあの状態のまま開始するのだろう。
1週間後、同じ会場で開催される市内の中学校の定期演奏会の看板が巨大に展示されており、まるでそのイベントが今日行われるかのような装飾だ。
会場入り口付近にはお客様が集まり出した。中学校時代の下の世代の保護者会にも声がけをしていたので、そのメンバーたちも親子で集まってきた。ちょっとした同窓会のような雰囲気で、お互いの近況を話しながら時間が過ぎていく。
周りを見渡すと我々のようなグループがいくつもできている。きっと同じ中学校吹奏楽グループだったりするのだろう。
OBOGたちが列の誘導を始めている。開場時間となり、席に着いた。
仕掛けたカメラは2台、マイクも2つ。あとは正常に機能することを願うのみ🙏
新一年生28人がステージに現れ、校歌の合唱、プログラムが開始された。
最初は弦楽チームが懸命に演奏する。この状況で1人バイオリンソロを演奏した女の子、相当な緊張感だっただろう。演奏の良し悪しよりも、その勇気を称えた盛大な拍手が会場を包み込んだ。
次は吹奏楽グループが予定の曲を披露。本番は緊張からか少しミスがあって、私のような素人でもわかるくらいだったが、立派に演奏しきってくれた。
その後の演劇が面白かった。場面転換で生演奏を何度も挟み、感動的な演出。
最後はOBOG、歴代の顧問の先生総出で演奏、そしてフィナーレ。
中学生と高校生では演奏レベルは全くの別物だった。あと2年くらいこの団体を保護者として追っかけ活動ができるかと思うと、とても楽しみである。
帰宅し即動画編集作業。来れなかった保護者さんのためにも必死で編集し、なんとかその日の内に展開した。
感動も束の間、来週は吹奏楽コンクールのオーディションがあるらしい。
大丈夫なのだろうか、娘・・・