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はちみつの流通について、はちみつ養蜂をする人と考えたい。

急に寒くなりましたね、足先が冷たい養蜂場長です。靴下が手放せない自分が不甲斐ない。

色々と、はちみつについて情報を閲覧したり、疑問を調べたりにインターネットは便利だなと改めて思います。昔、10日図書館に缶詰して書物を調べ漁った日々は何だったのか。

ハチミツの購入・消費に関するアンケート調査という京都産業大学のデータを見つけました。

個人的には、200g程度のサイズの購入者が多く、ほぼ全員が使い切れず捨てた経験があるということに課題を感じます。
自分の周りでも200は多い、100が良いと言う人がいます。日本人の平均はちみつ消費量を以下の文献通りと考えるなら、100gで2年楽しめることになってしまいます。

東京・銀座で都市養蜂を主宰する銀座ミツバチプロジェクトの田中淳夫氏の著書では,「一人当たりの年間ハチミツ消費量は,ヨーロッパ平均で約一キロ.(中略)対して,日本は五六グラム」と紹介されている(田中,2009, 82 頁).

京都産業大学「ハチミツの購入・消費に関するアンケート調査」無い記載より抜粋


確かに、使い道が良く分からない。という声は多々聞きます。
ということもあり、レシピ的なものに着手をした訳ですが。

たまに、瓶を渡して「何か新しい使い道、考えたら教えてね」という行動をこれまでずっと行ってきました。色々面白いなと思うものも見つかります。知恵は集合体になることでイノベーションが起こる実感をします。

資料の中で見る、はちみつを食べる頻度について。個人的には資料を読み、週1度程度は調査対象の平均20%程と読み解きました。調査非対象者を考慮した場合、その2割くらいと仮定した推測をします。

全体で4%程度の方は、週に1度くらいははちみつを食べることがある。と言葉にしたいと考えます。もう少し低くても良さそうですが、想像の範疇というところだろうと思います。

また、容器調査の中でチューブ型が支持を得ていますが、はみつは結晶化します。これは避けて通れない事象ですが、間口の広い浅い瓶は処理しやすくとも、チューブ型は正直捨てるという選択肢が見えてきます。

この結果を見ても、はちみつを常備する習慣の無さが浮き彫りになっていると考えました。
自分でも様々なはちみつを買ってみては、試すことがありますが、チューブ型で固まられてしまい、正直処理に困った経験があります。
この経験があると、最後はサジですくえる容器が望ましくなると考えます。

そして、愛好者の多くは想像の通り、食習慣が出来ています。例は毎朝ヨーグルトとはちみつ。はちみつ消費は、やはりパレートの法則通り、上位者が全体消費のほぼ全てを握ると考えるべきでしょう。

ここはアンケート調査を読めば、最後に書かれていました。書き方は違えど端的に言うならばです。ヘビーユーザーは新しい食べ方に興味がない、つまり習慣化していることが伺えます。

この調査結果を踏まえるならば、新規需要の創出には食習慣化が必要であり、旧来型のものの拡大と、新規習慣創出の2つの方法があると推測できます。または、良くわかっていない使い方について、よく分かる近い方を提示するかです。

ここについて、農林水産省や市区町村の農業支援課での支援があれば良いと感じますし、協会や様々な関係機関についても同様に思います。
大手のメーカーさんはレシピ等もホームページに掲載する等しています。魅力的なレシピがあれば、購入の動機づけが出来る筈です。

さらに考えると、食習慣の多くは健康維持が根底にある場合が多いと推測をします。

単なるルーティンという考えもありますが、砂糖でもなく、アスパルテームでもなく、はちみつをルーティーンするには訳が存在すると言うことです。
アンケートについては購入意向ではなく、購買動機についてもっと知りたいと思ってしまいます。

さて、ここからは個人的推論ですが、はちみつによる健康維持が、毎日の食習慣に大きく影響していると考えています。

私は全ての国産ハチミツを応援したいし、輸入蜂蜜を応援するつもりがない。これは前提としておきます。


生はちみつという商品を多く見かけます。「生」という言葉が好きな国民性もありそうですが、ある意味この言葉を自分は良く受け止めています。

工場での大規模な生産ラインとは無縁な、国産の小さな養蜂場にとって、無駄な加熱は存在しないと考えるからです。
生の定義については、45度程度までで結晶化を溶かす分には問題がなく、それ以上の加熱については無駄というのが自分の中での生の定義です。

生反対派は、微量なビタミン、ミネラル、酵素においてはちみつで接種する必要性はないという効率論を見かけますが、そもそもの論点の違いを感じます。

生を誇張する記載も見かけますが、国産の生については無駄な加熱をしていないことを明示しているものだと信じています。
その上で、加熱肯定派はビタミン、ミネラル、酵素類等を微量なので切り捨てます。効率論上ははちみつそのものがブドウ糖と果糖の化合物でも同じです。微量なものでも、本来持つもの全てがはちみつの価値であり、切りすればその価値観が損失するというのが自分の考え方です。
本来、加熱非加熱を定義し、記載の有無等をはっきりさせれば良いと、私は考えていますし。国に対してもそれを望みます。

だって健康論は自然が根底にあり、効率論ではないことを考えて欲しいです。

はちみつの持つ健康促進の機能上、無駄な加熱が邪魔をするなら、生という言葉を快く受け入れます。
消費者もLowが良いという意識を持つ方を多く見かけますし、この意識がある方がはちみつを食習慣に取り入れてくれる方だと思っています。

健康促進の観点に基づく食習慣の定着が、需要拡大に必要だと推測します。これは言語化しただけで、関係者一同が考えたことのあることだと思っています。

紀元前1500年頃のエジプトの「パピルス」、紀元前1000年インドの「アーユルヴェーダ」、紀元前500年頃古代ギリシャの「ヒポクラテス」、西暦600年頃イスラム教の聖典「コーラン」、中国最古の薬物書「神農本草経」等ではちみつは薬として扱われています。
体に良い効果があるぞと、体感と経験で古来より認められてきたモノです。

蜜蜂が花蜜を蜜胃に溜めて巣に持ち帰えるところから始まり、α-グルコシダーゼを分泌しショ糖の花蜜をブドウ糖と果糖に分解し、かつ水分を調整し巣の蜜に蓋を掛け蜂蜜となります。
蜜蓋を蜜刀で切り落とし、遠心分離機で蜜を絞り、大きな不純物を濾し取り瓶詰めしたものが、はちみつです。

国産の小さい養蜂場の作るはちみつは、この流れから大きく外れないと思います。

安価に作るため、大量生産をする為にこの流れを変えている品とどう向き合うかが国内の蜂蜜養蜂のポイントと考えています。

アンケートの中でも、国産=安全神話は存在を確認できました。中国=安心できない神話なのかもしれません。実際、マヌカは人気があります。
世界の偽装の多い食品第三位で、9割が混ぜものをしていると言われるはちみつですから、国産=安全の神話を活かすべきとも考えています。

国産のはちみつは、より健康促進に紐づいた、食習慣に成り得る消費方法を模索してべきと思います。


ハチミツの購入・消費に関するアンケート調査
京都産業大学 学術リポジトリ
https://ksu.repo.nii.ac.jp/record/2506/files/KMR_30_29.pdf

京都産業大学

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