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2024年につくった同人誌の装丁まとめ
毎年書いているまとめです。いつもの、といえるくらい恒例になっていることを嬉しく思います。今年も同人誌にしたいくらい好きなものがあった、ということなので!
今年は例年より少なめで3冊です。今年は所々の事情的に1冊出せれば嬉しいな、という状況だったので自分なりに頑張った1年だったと思います。
昨年のまとめはこちら。
花と踊る日
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発行日:2024/7/28(ENTRUST8)
表紙:ステンドグラスペーパー205kg+クリアPP
遊び紙:スプリンクル SNC型ペパーミント
本文:書籍用紙70kg
印刷:おたクラブ様
ステンドグラスペーパーは傾けると粒子がきらめくきれいな紙です。ラストでいわゆる結婚式のようなシーンがあるので、そこになぞらえてこのデザインにしています。
クラックガラス感があるのですが写真に映すのが難しかったです…!
おたクラブさんは自社独自の紙をいくつも扱われていて、安価で多彩な特殊紙を利用できるところが魅力的です。有償見本印刷を不定期に受付されているので、タイミングが合えばイラストや過去表紙などで発注してみると良さそう。
【有償印刷見本のご案内】明日6月1日より、1か月の間有償印刷見本を受注します!7月から製造予定です!
— おたクラブ (@otaclub) May 31, 2024
1、銀箔紙、オーロラ紙のフルセット
2、ユニークエンボス、パールのフルセット
3、ケンランスノー、GAクラフトアースの全面箔17色全色
どれも送料込み1500円です!拡散希望!ご発注ください! pic.twitter.com/w8FrD8Mg9C
この本の表紙で「銀箔紙・オーロラ紙」「ユニークエンボス・パール」のセットをそれぞれ頼んでみたのですが、印刷所さんのサンプルだと自分の表紙だと特にどういうふうに出るのかよくわかって面白かったです。
今年はこの本をつくれたら良いな、と去年から思っていたので無事出せてよかったです。
本の雰囲気にあわせてノベルティのしおりもつくりました。
ノベルティのしおりはこんな感じ。パール紙に刷っているのでじんわり光ります。表面は同じデザインで、裏面がブルーかグレーのデザインのものをランダムでお渡しします。 pic.twitter.com/bmyJGprCzr
— nana (@kissincitrus) July 25, 2024
ノベルティアイディアについては以下の記事でもまとめているのでよかったらご覧ください。
Temptation
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発行日:2024/7/28(ENTRUST8)
表紙:ファンタス205kgアカ+マットPP
遊び紙:スプリンクル SNC型チェリー
本文:コミックペーパーピンク
印刷:おたクラブ様
上記の「花と踊る日」と同日に発行した本です。先の本が真面目寄りの本だったので気分転換にもう1冊出したいな!となり急遽つくりました。発行日が夏だったので赤っぽいカラーに。普段あまりやらない表紙デザインにもできて、つくるのが楽しかった覚えがあります。
化物
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発行日:2024/10/27(TWINKLE MIRAGE 27)
表紙:両更クラフト129.5kg+箔押し金
扉:トレーシングペーパー白+FLASHタイガーゴールド110青口
本文:メヌエットライトC
印刷:あかつき印刷様
ハロウィンの季節+原典にもハロウィンのイベントがあるので、それをモチーフにつくった本でした。あかつき印刷さんは新潟の印刷所さんで、秋口だけ「あかつき米」という自社でつくられているお米を同梱されているので、一度はお世話になってみたい…!ということでお願いしました笑
あかつき田んぼの稲がだいぶ頭をもたげてきました。
— あかつき印刷 (@akatsuki_doujin) August 22, 2024
稲刈りまであと1ヶ月くらいでしょうか?
今年もやりますよ「新米プレゼント」
お楽しみに! pic.twitter.com/3YHOWEdkTo
はじめからクラフト紙にしたい、と思っていたわけではなく、できれば印刷費を抑えたいのでモノクロで…であればセット内にある両更クラフト紙で…というところから本の仕様を考えていきました。
扉のトレーシングペーパー・箔押しはあかつき印刷さんで用意されているデザインのものを使用しています。それぞれ、扉はプリントトレペ《前のみ》あそび紙フェア、箔押しはワンポイント箔押しサービスです。
ワンポイント箔押しサービス
特に今回利用して満足度が高かったのが、このワンポイント箔押しサービスでした。
手動の箔押し機を使用するため、デザイン限定箔押しフェアのクオリティとは全く別物です。
デザインのいずれかを1ヶ所押す事ができます。
手動の箔押し機を使用するため、100部までの対応となります。
101部以上は通常の箔押しフェアをこ利用下さい。
ということで、100部までの少部数向けサービスです。とても安価に利用でき、上限の100部でも4000円で箔押しができてしまうことに驚きました。
通常の箔押しフェアとクオリティが別物、ということで「ズレたりしてもそれも温かみのある味になるだろうな〜」と思いどんな仕上がりになるのか楽しみにしていたのですが、実際は位置ズレは全然なく、仕上がりもとてもきれいでした。
もちろん詳しい方から見れば差があるのかもしれないのですが、素人目で見る分には十分すぎるくらいのクオリティでした。
今回は表紙をカラー+特殊紙にするよりも安価に箔押しができたので、とても満足度が高いオプションをつけられて満足しています。
中身も好きな絵描きさんに挿絵を描いてもらえたり、表4にもハロウィンイラストをつけてもらったり、自分も方に合わせて中身を考えた部分もあるのでとても楽しくつくれた本でした。
2024年のまとめ
以前からわたしが同人誌を出すうえで大事にしていることのひとつに「赤字になる活動はしない」があります。たいてい発行部数の8割〜最悪でも全部数を頒布しきったら赤字にならないような仕様・装丁を考えて同人をしています。
(ここで言う「赤字にならない」は工数や交通費、イベント申込費などは計上しておらず、本およびグッズの印刷費のみを指しています)
もちろん豪華な仕様や珍しいオプションだからこそ目を引く、大事になる本があるとも思いますし、そういうご本を手に取ったときはすごい!と純粋に感動します。でも、それは再録本やアンソロジーのような分厚く特別な本だからできることであり、趣味とはいえ自分の身の丈の範疇を超える活動はしたくない、という気持ちがあるのも事実です。
活動スタンスについてはさまざまな考え方があると思うので、あくまで「わたし個人がそう思っている」ということをご承知おきいただけましたら幸いです。
あけすけに言うと、いま活動しているジャンルはわたしがいくつかジャンルを渡り歩いてきたなかで一番発行部数を絞っています。それでも、原典であるゲームが大好きだし、そのなかに出てくるキャラクターも大好きです。
好きをかたちにしたいからやっている同人なので、このジャンルで同人誌を出したい。かつ、できるだけ自分にとって大事にできる本になるようにはどうしたらよいか、をたくさん考えた1年でした。プライベートで昨年とはかなり環境が変わったこともあり、発行できた本も少なめでしたが、どれも大事に考えてつくった本なので、例年と同じく好きをかたちにできる活動ができてよかった!と素直に思っています。
なので、今年のまとめはどういうことを考えてつくったか、を一歩踏み込んで書いてみました。少部数での発行でもこういうことができるよ!を知っていただけたら嬉しいなと思います。
いまのジャンルと作家さんへの好きが高じて、来年1月にカップリングアンソロジーを発行予定です。以下はアンソロジーのXアカウントで、お知らせ用のフライヤーをつくったり、いまは粛々と準備中です。
アンソロジーといえどやりたいことを詰め込んだらかなり悩んでしまい、結果的にたくさんの印刷所さんに相談したり、試し刷りをしたりと奮闘しているのですが、それも満足いく本をつくるために楽しんで取り組んでいます。
【📢フライヤー配布のお知らせ】
— アイエスアンソロジー「everblue」 (@merinienantholo) October 25, 2024
10/27 COMIC CITY SPARK(ENTRUST8)にて当アンソロジーのフライヤーを配布いたします。
クルザスの星空のような青色の紙に銀インクを使用しています。
ぜひお手に取ってご覧ください🌌
▶️配布スペース
東5ち29a suisei(主催スペース)
東5ち29b MATTARING pic.twitter.com/Yyi9QYCxIZ
2023年のまとめで、「来年のわたしはどんなものを好きになって、どんな話を書きたいと思い、どんな本をつくりたいと思うのか」と書きました。
この時はまさか自分がアンソロジーを主催するだなんて思ってもみなかったですが、個人の活動ではできないことができているのがとても良い経験をしています。おかげさまでとても慌ただしいのですが、今の段階でもとても良いものができそうで楽しみです!
来年はアンソロジーのことも含めてまとめが書けたらいいなと思います。
最近はわたしがnoteを書きはじめた頃よりもnoteに同人や同人誌装丁の記事を書かれているかたを見かけるようになり、こうやってノウハウを共有できるような環境になったことをとても喜ばしく思っています。
わたしもnoteを書きはじめたきっかけはほかの方が書かれていた記事だったので、わたしの記事もどなたかの創作活動にほんの少しでもお力添えできているならそれほど嬉しいことはありません。
わたしにとって「なにかを書きたい、つくりたい!」と思う原動力となる「好き」の気持ちは「水物」であり「有限」だと考えています。そういう気持ちが自分のなかにありつづけて、また来年もなにかをつくっている自分であれたらいいな、と思いながら今年を締めます。
良いお年を〜!