字書き2人でタイトルを一緒にしてそれぞれ別々の本をつくった話
同じタイトルだけれど、まったく違うジャンル・カップリングで違う人が話を考えるとどんな本になるだろう?というのが今回の記事のお話です。
一緒にやってくれた友人
「ぜひ!」と言ってくれたのは友人のねるさん。(Twitter:@samenai_neru)かつて同じジャンルで知り合い、さらに別のジャンルで合同サークルとしても活動していた相手です。お互い好みがとても近しく、でもちょっと違うところもありその違いを尊重しあえる友人です。
わたしもねるさんも本文だけでなく表紙も自分でつくって入稿するタイプの字書きです。またねるさんのご本やご本をつくる過程を見ていて、いつもすてきだなと思っていたので、お互いの意図や想定比べられたら面白いだろうなーと思ったのがきっかけです。
お題決め
ねるさんから「同じ曲から連想するのはどう?」とご提案いただき、楽しそう!と二つ返事でOKしました。彼女とはふだんから好きな曲をお互いに勧め合う仲なので、どの曲にするかもあまり難航しませんでした。
打ち合わせの末、この曲から連想することに決定。子守唄というタイトルのとおり、穏やかであたたかく、でも少し寂しさも感じるような曲です。
歌詞はこちら:https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/porter-robinson-wednesday-campanella/fullmoon-lullaby/
ねるさんは11月頭、わたしは11月末あわせのイベントで本を出すことに。お互いに励まし合いつつ、敢えてどんな感じの仕様にするかは打ち合わせず作業を進めていきました。
出来上がった本
ねるさんのご本
「二回目のセックス」をするふたりのお話です。想いあいつつまだまだお互いに見えないところがあって不安になったり、でも繋がる幸せをしっとりと感じさせるお話でした。歳の差のあるカップリングなので、互いに見えている視点が違ったり、昔の自分たちを思い返すような描写が表紙の箔にこめられているようなご本です。
リフレックスセレクトシルバーは鏡のように反射の強い箔です。表面は銀色でありつつも、傾けると七色に光り、いろんな表情を持っています。
全体的に白色と銀色の冷たい夜を連想させつつも、箔がふたりの気持ちが移ろうさまだったり、ラストシーンで月を見上げる様子だったりを想像させてくれるような気がしました。
てまり金銀のしとやかな遊び紙が幸せで浮かれつつもちょっと切ないご本にアクセントを加えている感じがしました!
おまけのポストカードもとってもオシャレで、こちらも使っている紙やインクは違いますが、同じ夜の話で、統一感のあるノベルティです。
nana(わたし)の本
ねるさんの本が「少しずつ登場人物の感情が移ろっていくお話」だったのに対して、わたしはなんでもない日常を詰め込んだ短編集になりました。
わたしが本を出したジャンルは「月」がかなりキーポイントになるので、満月から次の満月までの4つのお話を書いてみました。
一緒に屋根の上で乾杯したり、駆け引きをしてみたり、お茶会をしたり、一緒のベッドでねむったり…なお話だったので「ちょっと上等な日常」を思わせる写真を選んで、表紙も本文も柔らかく手触りのいい、ラフな紙を選びました。
書いたカップリングのイメージカラーが赤なこと、テーマが「両片想い」だったことからラフで、全体的に暖色な雰囲気の本にしてみました。
感想
ねるさんは「幸せに浮かれていつつもほんのり感じる切なさ」なお話と装丁なのに対して、わたしは「ふんわりした日常」なお話と装丁に仕上がりました。ねるさんのご本は成人指定ですが、わたしの方は全年齢です。同じ曲を元に着想していても、書く人や好きなカップリングが違うとここまで雰囲気が変わるのだな、と驚きました。
しかし遊び紙はどちらも「てまり」を使っていて、ほのかに共通点を感じたりもして。実験的な遊びでしたが、とても新鮮な体験をさせてもらいました:)
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