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カバー付き文庫本をつくった話(+ノベルティ)

本記事はBLの同人誌について記載しております。本の中身については一切触れませんが、ご理解いただきますようお願いします。

1ジャンルで書いていた話がまとまってきたので、再録を出す際にカバー付き文庫本をつくってみることにしました。
カバー付き文庫本とは、冊子に別途印刷されたカバーを巻いて発行された本のことを指します。書店で売っている一般的な文庫本をご想像いただけるとわかりやすいと思います。カバーをつけることで、比較的安価でありつつも特別感のある本になります。
今回はこの本をつくる際にやったことをメモしていきます。


カバー+冊子をつくる

カバーつき冊子をつくる場合はその名のとおり、カバーと冊子を別々でつくる必要があります。別々に印刷し、その後カバーを冊子に巻いて完成、となるため、大抵の場合はカバー巻オプションで納期の日数が加算されます(2〜3日程度の印象です)。

カバーと冊子の印刷所を別にすることも可能ですが、一緒にお願いできる印刷所を選ぶほうが手間がかからない印象です。わたしは普段ブロスさんを利用することが多く、ブロスさんでカバーと冊子・カバー巻をすべてお願いできるとのことだったので、そうしています。印刷所によってはカバー付き文庫のセットを用意していることもありそうです。

わたしがカバー付き文庫本で利用したことがある印刷所は少ないのですが、おすすめ印刷所も後述します!

カバーのデータ

カバーには表1+背表紙+表4だけでなく、折返しのデータが必要です。
全体はこういう形で作成しています。

実際のデータ

表紙データの計算方法は冊子と一緒(表1+背表紙+表4)のため割愛しますが、この本は折返しを66mmでつくりました。

折返しのサイズ

ブロスさんWebサイトから引用

ブロスさんの「本の規格・用紙幅の目安表」を見ると、折返しの規格は81mmとのことだったのですが、その場合本のかなり奥まで折り返しが差し込まれるため、手元の文庫本をいくらか見比べてこのくらいがちょうどいいかな?というサイズでつくってみました。
カバーは家庭の印刷所で試し印刷して、お手元の文庫本に巻いてみる…などでかなりイメージをつかめると思うので、入稿前にやってみるのがおすすめです!

帯にせりふを入れる

この本の発行ジャンルが多言語仕様のゲームだったため、折返しには英語版の特に好きなせりふを入れるようなデザインにしました!

本文から抜粋

過去に発行したカバー付き文庫本では収録した話のなかで、好きな部分の引用を行っていたりもします。折返しは製本時には隠れる(本を開かないと見えない)場所なので、工夫のしがいがありそうです。

ガイドから少しはみ出しているデータ

また、このカバーの表1はベタで塗ったデザインになっているのですが、カバー巻をしていただくときにズレてもいいように折り返し側に3mm程度ベタを広げてあります。
なので、実際製本されているものを見ても折り返し部分にちょっと色が入っています。

実際の本

カバー下(冊子のほう)の表紙データ

実際のデータ

今回の本はカバーのデータを使った形でシンプルに作成しました。
以前つくった本ではカバー下の冊子のほうに作業BGMを書いたり、覆面小説企画本をつくったときにはここに執筆者の一覧を書いた(本文中には触れたくなかったため)ので、冊子のあとがき内には書きづらいメッセージを書いたりなど、ここも工夫のしがいがありそうです。

作業BGMを書いたときのもの

扉のデータ

ここは一般に流通している書籍っぽくない効果ですが……せっかくの再録本なのでカプっぽいモチーフをもっと添えたいな〜と思って、キャラにゆかりのあるマリーゴールドを扉に配置しています。

実際のデータ

また、扉にあわせて巻頭にも同じパターンを敷いて、キャラカラーである黄色×緑のグラデーションをかけています。

巻頭扉のデータ
製本された状態

トレーシングペーパーに刷って挟み込みをしたので、実際にはタイトルが透ける見た目になり気に入っています。
トレーシングペーパーを使った扉はほかの本でもよくやっているので、よりバリエーションを見たい方は以下の記事もおすすめです。

ページ数についての悩み

普段の本が大抵文庫100〜200Pだったのですが、今回の本は300Pを越えてしまう(312P)、ということで普段の本文用紙(美弾紙ノヴェルズ63kg)だと分厚くなりすぎてしまう…!でも薄めの用紙(淡クリームキンマリ62kg)だと薄すぎないか不安…ということで、1冊で刷れる印刷所で試し刷りを行ってみました。
使用する予定の表紙+本文用紙を使える、ということで試し刷りの本はちょいのまさんで印刷しました。

届いた冊子
他の本との比較

上段が今回の本(312P・本文は淡クリームキンマリ62kg)で、中段・下段が以前つくった本との比較です。中段(264P・本文は美弾紙ノヴェルズ63kg)、下段(240P・書籍用紙ロゼ)と比べても同じくらいの厚さになっており、1ページずつめくってもちょうどいい厚みだと感じたので、淡クリームキンマリ62kgを使用すると決めました。

ちょいのまさんの本は1冊でもすごくきれいに印刷されていたので、今度は普通に発行する本でも使ってみたいです!

ブックマーカー(ノベルティ)

今回は短編集で、また自分のなかでは比較的ぶ厚めの本だということもあり、ノベルティにブックマーカーをつけたいな、と以前から考えていました。
実際につくった画像はこちら。

ブックマーカー

UCANBADGEさんの裏メニューであるしおり缶バッジを利用しました。裏メニューのためネット上でメニュー表は見られないのですが、かなり手頃につくださるのでおすすめです!

上記のブックマーカーはしおり缶バッジ(25mm)+表面加工をシルキーマットにしました。シルキーマット加工はすべすべしていて、本のカバー加工をベルベットPPにしたこともあり雰囲気が似通っていてとても気に入っています。

たくさん詰めて届いたときは圧巻で嬉しかったのでここにこっそり貼ってみます笑(頒布後のためもう手元からはなくなってしまったのでそれも含めてレア写真)

できた本

というわけで出来上がった本がこちらです。きれいに仕上げていただけてとても嬉しい…!!

また、この本の発行時に自家通販をしていたこともあり、サンクスカードをつくり封入しています。
サンクスカードはドット白印刷さんのアソート印刷を利用しました。ランダムで色々な色の紙に印刷してくださるプランです。今回はプライクという用紙に印刷しています。

カバー付き文庫本おすすめ印刷所

カバー付きの文庫本をつくれる印刷所はたくさんあるのですが、そのなかでもわたしが利用したことのある2つの印刷所をご紹介します。(ほかにもいい印刷所があるのは承知のうえなのですが、あくまで自分が使ってよかった!というところです)

ブロスさん

今回の本でもお世話になりました。フルカラーカバーオプションはオフセットになるようなのですが、カバーをオフセット+本文はオンデマンドなどの使い方もできます。印刷+製本がとてもきれいなのでカバー付き文庫本でなくともよく利用しています。

コミックモールさん

フルカラーカバー付き文庫本を刷るならここを使う、という方も多い印象です。少部数のカバー+本文でもとても安価でつくれて、色々な用紙を選べるところが魅力的です。冊子が分厚くなると少し製本のノリ部分が気になるときもあるのですが(これも気になるときがある、くらい)、カバーを巻いてしまえばほとんど気になりません。
コミックモールさん自体はオンデマンドの印刷所さんですが、グラフィックさんなどから持ち込んだオフセットカバーを追加料金でカバー巻していただいたこともあります。

まとめ

再録本をつくるときはページ数もつくる費用もかさんでくるので、悔いないようにつくりたい…と思ってやったことを並べてみました。かなり試行錯誤続きでお恥ずかしいのですが、少しでも面白く思っていただけたら嬉しいです;)

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