仕事とプライベートを分ける生き方
仕事とプライベートを分けたい?
仕事をしている人の中には、仕事とプライベートをきっちり分けたいと考える人と、仕事とプライベートの境目があまりなく、プライベートの時間にもよく仕事のこと考えている人がいます。
感覚的には仕事とプライベートは分けたいと考える人の方が多そうですが、私はどちらかというと今まで仕事とプライベートの境目がないような過ごし方をしてきた気がします。
業務時間外や休日に仕事をしていることはよくあるし、逆に業務時間中に業務とあまり関係ないことを勉強したり、自分のブログを書いたりすることもありました。そんな感じで仕事の時間とプライベートの時間の境目があやふやになった過ごし方をしていました。
ただ、最近は仕事とプライベートを分けて考えたいなと思う気持ちが強くなっています。
プライベートが充実していてやりたいことがたくさんある。
というわけでもないのですが。。(そうだったらいいけど)
私の場合、関わる仕事の内容が大きく影響しているような気がします。
仕事内容についてはあまり詳しいことは書けませんが、今現在関わっている仕事がスケジュール的に厳しい状況にあり、プロジェクトチーム全体として、残業するのが当たり前、休日も返上で作業するのが当たり前という雰囲気があります。
会社が悪いとか上司が悪いというわけではなく、今関わっているプロジェクトがたまたまそういう状況にあるということだけ補足しておきます。
もちろん楽しい仕事ややりがいのある仕事もありますが、様々なプロジェクトに関わっていると時々そういうプロジェクトに関わることもあります。
仕事内容が楽しいもので得るものも多いようなものであれば、そんな状況でもそこまでストレスは多くはないと思うのですが、色々と厳しい状況が続き、その状況がいつ終わるのかもいまいち見えていない現状があります。
そういう状況が続いていると、仕事とプライベートを分けたいなと思う気持ちが徐々に強くなってきました。
結局のところ、仕事とプライベートを分けたいというよりも、自分の時間の使い方を人に決められることに大きなストレスを感じているのだろうと思います。私の場合、仕事とプライベートがごちゃまぜになっていても、いつ何をするのかを自分で決めていればあまりストレスはないのですが、業務時間外の時間に他人から強制的に業務をさせられることに対して強いストレスを感じてしまうようです。
仕事とプライベートの時間がきっちりと別れていれば、少なくともプライベートの時間の使い方については自分の采配で決めることができます。そういう背景から、仕事とプライベートを分けたいと思う気持ちが強くなった気がしています。
そんなことを考えながらモヤモヤした日々を過ごしている時にたまたま中で目に留まったのがこちらの本。
フィンランドの働き方
仕事に夢中になっている時期であればきっと興味を持たない類の本ですが、今は仕事とプライベートを分けてプライベートをもっと充実させたい気持ちが強くなっている時期なので、4時に仕事が終わって幸福度1位って最高じゃん!と興味を持ちました。
就業時間はどの国でも企業にもよるものですが、日本の場合、一般的には9:00〜18:00くらいが相場でしょうか。私も業務によりますが大抵の場合9:00〜18:00か、10:00〜19:00を業務時間として働いています。
本のタイトルだけ見ると、一体どういう仕組みと価値観で、午後4時に仕事が終わるのだろうか?と不思議に思いますが、蓋を開けてみると意外と単純な話でした。
まず、フィンランドでは8:00から仕事を開始する企業が多いらしいです。
また、日本はお昼休憩で1時間程度休憩を挟むことが多いですが、フィンランドではお昼は30分程度でささっと昼食を済ませ、その後すぐに仕事に戻る人が多いそうです。
つまり、始まる時間が早くて昼休憩が短い。そうなると、午後4時から4時半の間に帰宅する人が多かったとしても特に疑問には思わないですね。
実に単純なカラクリでした。
とは言っても、単に就業時間が違うというだけで幸福度1位の国にはならないでしょう。そもそもフィンランドでは残業をする人が少なく、ほとんどの人が4時半ごろにはオフィスからいなくなるらしいです。
日本はよく働きすぎの国と言われますが、やはり残業の時間がかなり多いので、たとえ就業時間が8:00〜16:00になったとしても、実際に16:00に帰ることができる人の割合はフィンランドに比べれば低くなるだろうと思います。
ここはやはり国全体での文化や価値観の違いが表れているところだと思います。この本を読んで日本とフィンランドの価値観で日本と対照的だと以下の点です。
自分は自分、他人は他人
仕事の完成度への感覚の違い
仕事とプライベートの両立
自分は自分、他人は他人
日本は同調圧力が強く、良くも悪くも全体主義な価値観が強い国です。仕事が忙しい時、周りを差し置いて早く帰るのが後ろめたいと感じる人もいるし、逆に早く帰る人に対して良く思わない人もいます。
フィンランドでは、自分は自分、他人は他人、という価値観の人が多く、同調圧力のようなものは少ないようです。
他の人が残っていても自分が帰りたければ気にせず帰るし、逆に自分が残っていて他の人が先に帰ったとしても何とも思わない、という感覚の人が多いようです。
仕事の完成度への感覚の違い
日本では期限に100%の完成度で仕事を終わらせることを目指して働きます。
お客様に対して高い品質のものを提供する、という意味においては良い面と捉えられますが、逆にいうと期限までに100%にするのが難しい場合には残業して補う形となってしまいます。
フィンランドでは、完璧でなくても、合格ラインを超えていればOK、という文化があるようです。そのため、100%にするために残業する感覚がなく、完成度と引き換えに残業時間は少なくなるようです。
仕事とプライベートの両立
日本でも、仕事とプライベートの両方を大切にしたいと考える人は多いかと思いますが、フィンランドでは国全体で日本よりもかなりプライベートを大事にする価値観が根付いているみたいです。
仕事終わりに職場の人と飲みに行くような文化はなく、お互いのプライベートの時間を尊重する価値観とのこと。
父親の育休の取得率が8割にのぼるなど、休みに対する考えも日本よりも寛容であるように思います。
そのため、仕事でもよっぽどのことがない限り、残業をお願いすることがないのだろうという気がしました。
他にも、仕事を効率化することに積極的だったりと、細かな工夫の積み重ねと国全体としての文化・価値観があることで、多くの人が残業をせずにプライベートを充実させることが実現できている国なのだなと思いました。
良いところを取り入れよう
この本を読んで、フィンランドは良いところがたくさんあると知ることができましたが、同時に色々と課題があることもわかりました。
日本には日本の良いところと悪いところがあるし、フィンランドにはフィンランドの良いところと悪いところがある。
完璧な人間などいないのと同じように、組織や国にも完璧なところはありません。
正直なところ、私は今この本を読んでも、フィンランドが羨ましいとはあまり思いませんでした。
というのも、今は関わっているプロジェクトが大変な状況にあるので少し辛いところはありますが、自分自身の働き方に関してはあまり不満はありません。今私はテレワークをしていて、かなり快適に働けています。
通勤がないことがすごく楽で、それでいて細かく管理されることもなく、割と自由で融通が効く働き方ができています。
結局、働き方に関しては、自分が快適な環境を自分自身の力で構築していくことが重要なんだと思います。
ただ、文化や価値観については、日本人が参考にして取り入れた方が良いと感じるものは多々ありました。
・他人のプライベートの時間を尊重する
・良い意味で他人のことを気にしない(早く帰ることに不満を持たない)
・完璧を目指さない
といった文化・価値観は、1人1人の幸福度を上げていくという意味では結構重要な要素であるように感じました。
また、ジェンダーギャップの少なさや、組織の中で年齢や経験年数を気にしないフラットな関係性などは、日本が見習うべきところでもあるように思います。
日本には日本の良さがあるし、全てのことが真似できるわけでは当然ないですが、幸福度1位の国が持っている文化は日本にとってはそれなりに価値があると思います。
幸福度が高い理由を知って良いところを部分的にでも取り入れることで、自分や周り人の幸福度を上げるきっかけにつながるかもしれません。
この本はそのヒントが詰まった1冊です。