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選挙、行きました?/週刊「外国人就労関連ニュースまとめ」(21.10.24-21.10.30)

ウニ県メガ崎市は小林一族の世襲による支配が浸透していたせいで、すべてのイヌを犬ヶ島へ送る、という乱暴な法律もすんなり成立します。選挙だいじ。画像はIMDb。(映画『犬ヶ島』2018)
自分たちと相容れない者を隔離する施策、ニンゲンどもの世界でもおなじみですね。

■関連して、別途note書こうかと思ったぐらいですが、投票率高いほうがいいよね。という善意に基づいていると理解しつつもさすがにこれは。と思った記事

デンマークでは、18歳で成人した後に初めての選挙を迎えると、国会議長からお祝いの手紙とデンマーク憲法の解説冊子が郵便で送られてくる。現在ではほとんどの行政手続きが電子化されているが、この手紙と選挙の投票用紙は昔ながらのものだ。この手紙は参政権を得た外国人やデンマーク以外にルーツを持つ人々にも送られる。その狙いは「異なる文化を持つ人にも民主的なプロセスに参加してもらうための一環だ」という。

良いこと尽くめのように書いてありますが、デンマークが国をあげて移民排斥に舵を切った事実を無視されても。という感想を残しておきたくて。

2016年1月

2018年12月

2019年6月

選挙は、移民政策や福祉サービスの削減が主な争点だった。高齢化の進展を背景にした福祉サービスの削減が進む国内では、移民流入がその財源を圧迫しているとの不満がある。
社会民主党は、右派勢力と同じく移民の流入抑制を支持する姿勢に転換。デンマーク議会が昨年五月、イスラム教徒の女性の衣服「ブルカ」などの公共の場での着用を禁じる法案を可決した際も賛成に回った。
選挙では右派勢力から一定の反移民支持層を奪ったとみられ、移民排斥を強調したデンマーク国民党の獲得議席は十六議席で四年前の前回選から半減した。

・もともと強硬に移民排斥を訴えていた勢力があった
・宥和政策を訴えてきた党が一転、排斥派に
→ 排斥派の圧勝

つまり犬ヶ島でいうとイヌとの共存共栄を訴えていた青年たちが突然排斥運動を始めるようなもので、愛犬派およびイヌの身にもなってみろ、と言いたい(=映画を知らないひとを無視する比喩)。
なお、こうした流れを踏まえて2025年のデンマークを舞台にした映画があります。

愛国者vs移民、の全面抗争が引き返せない一点を超えてしまう国家を描いたフィクションですが、ええと……フィクション?

■何が言いたいかというと、さすがに正面から移民の議論をしなければいけないだろ日本。と思うの

日本は長く「移民政策」を避けてきた。1990年の入管法改正で日系人、同時期に技能実習生の前身を「日本の技術を教える国際貢献」の名目で受け入れるようになった。だが、ともに短期的に必要な労働力の確保が主な狙いだった。
本格的な移民受け入れに及び腰なのは、移民の社会統合に苦労した欧州の経験などから、どう共生していけばいいのか不安が根強いからだ。本気で受け入れるなら、子どもの教育や医療、社会保障なども踏み込んだ政策が必要になる。

技能実習制度の欠陥はひろく知られるところとなりましたが、代わりの施策として国が進めようとしている特定技能にも問題が。という主旨の言説も増えていて、なかでも最近の流行りはこれ。

・技能実習生の面倒を見る建前の監理団体が特定技能にはない

それはそうなんですけど(雇用主がハズレだったときの救済は、理論上は支援機関が担うことになってはいる)、もうひとつ視野に入れておきたい点。

・技能実習から特定技能に在留資格を変更するケースが当分続く
・現実問題として技能実習生の日本語力は低い
・すなわち排斥派のいう「日本語をロクに話せない移民」が増える

私が危ぶむのは、とっくに移民社会になっている事実すら直視できないような方々と、日本語ができないばかりに同郷人とのコミュニティで団結する移民との間が断絶したままだと、デンマークが歩みつつある道を本邦も辿ることになるのでは。

■そう考えると、今週いちばん「それな」って思ったのがこの記事

欧州でもアメリカでも、外国人が増えてくると、必ず排斥運動がおきますよね、そしてそれを「看板」にする政党が出てきます。日本はまだその流れが大きくないですので、今、日本語教育について十分に理解してくれる仲間を増やしておきたいですね。排斥的な動きが出てきたときに、そこに対抗できるネットワークをいろんなところに張り巡らせておく必要があると思っています。

■あとこれもだな

「コロナ禍で日本でも分断が進んでいます。排除の目を向けると、必ず憎しみが返ってきます。共生をいきなり掲げても大き過ぎて実感がない。だったら半径5メートルの世界を想像することから始めてみませんか」

「撮影後、1人は在留資格『定住者』を手にしました。もう1人は日本人の彼女ができました。彼らから伝言があります。『デモ活動など特別なことをしてほしいのではない。せめて自分たちのような人間が、日本に“いる”ことを知ってほしい』」

■「せめて自分たちのような人間が、日本に“いる”ことを知ってほしい」ということばに応えるための、毎週のニュースクリップな気もします


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