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厳密には廃止ではない(ということになっている)技能実習制度近況/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(23.10.1-23.10.7)
技能実習生が絡むニュースに「そんな奴隷制度は廃止だ」的コメントがいまだに散見され、だからキミらのいう廃止予定だっつーの。今春、大々的に終了予告が出た時期は寝てた?
都度、ちょっとした自戒(=周回遅れの我が身に気付かずイキり倒してはいまいか)が脳裏をよぎるのですが、タイムライン的には今月中には結論が出るはずで、そんな感じの報道が何件かありました。
ただ、こういう話は元ネタ(有識者会議第11回)にあたるべきで、報道に出てきていない話でいうと
○ オーストラリア、韓国、台湾では技能実習制度に相当する制度はどうなっているか、という参考資料2。その3国で車両運転に相当する職業が海外人材に解放されていないことをあらためて確認。オーストラリアのいわゆる出稼ぎ可能職種、216あるのに、運転手は入ってこないんですね。
○ ヒアリング結果要旨、という資料中に特定技能で働いているインドネシアのひとのコメントがあって
在留期間を超過して非正規滞在となった元技能実習生を救うことが難しいのが現状である。非正規滞在となった人にも特定技能の技能や日本語試験を受けられるようにして、合格した人は、特定技能に在留資格を変更できるようにしてほしい
これね、実現は難しいかもしれないですが、セカンドチャンスはあって良いと思うんですよね。悪名高い改正入管法ですら、スリーアウト制を謳っているぐらいですし。
○ 有識者会議の委員の意見一覧、という資料があって(資料3)258件のコメントがつらつら載っているのですが、そのなかで目についたのが
農業の分野では、前職要件は撤廃してもよいのではという意見がある。共に仕事をしながら育成をしていくとなると、前職要件はいらないのではないか。(20)
農業現場では近年、募集に対する応募人数が少なくなってきているとの声が多くなっているところ、入国時の日本語能力試験のN5を必須とした場合、海外就労指向の外国人材の心理的なハードルが高くなり、ますます日本の農業が選ばれなくなってしまう懸念がある。(238)
おお、美しき哉ポジショントーク。一般社団法人全国農業会議所経営・人材対策部長という肩書きのひとが委員にいるので、なるほど。
■てな机上で戦わされる議論とあわせて認識したいのは、制度の不備のおかげで起きている現実のあれこれ。
■何度でも言い続ける気まんまんですが、既にわれわれが暮らしているのは移民社会なんで。
いろんな出身国に、良い奴もいれば悪い奴もいる。技能実習だから云々、という見方はそろそろ終わりにしたほうがいいですよね。