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改題しました/週刊「移民国家ニッポン」ニュースまとめ(22.6.26-22.7.2)

2019年9月2日に「週刊外国人就労関連ニュース」として書き始めて以来、148号目になる今週号からタイトルを変更します。題して「週刊移民国家ニッポンニュース」。
さすがに移民国家は言い過ぎな気がした約3年前から定点観測を続けてきた者の感覚として、もうそう呼んでいいな。って思うんですよ。

■だって「日本で働く外国人の」話というより、「日本の」話ですよね、たとえば次に挙げるようなニュース。

■もうちょっと分かりやすい例

(引用者注:福山東)署によると昨年、管内でペダル付き電動二輪車の走行を確認し、指導したのは20件。全てベトナム人だったという。同署は今月、「バイクの免許がなければ公道では走れません」などとベトナム語と中国語を書いた警告票を作成した。
今年に入って3件の事故が起きており、警告に従わない場合などは摘発することもあるという。同署交通第1課は「事故に遭わない、事故を起こさないために、まずはルールを知ってほしい」とする。

電動自転車は自転車だけど、モペットは原付。ってレギュレーションが故国(この場合はベトナム)と違うので混乱が生じています、というお話で、交通安全のために法は守られるべき。という側面と、法なんてものは生活の変化にあわせて変わっていくべき。という側面の両方があるな、って感想に。

■ベトナムといえば法相が訪問して

言外のニュアンス(技能実習制度を温存しているのはとにかくベトナムからの人材供給が途絶えると困っちゃうから)が聞こえる発言をする一方

そろそろベトナム側も「黙って見ているだけ」じゃない、つまり両国間のパワーバランスの静かな変化が汲んでとれる昨今。

きっかけは、筆者が街中で知り合ったベトナム人から聞いた話です。彼の友人の多くが、技能実習生として日本に行っているという話でしたが、近頃は「日本に技能実習に行く」というのは、あまり魅力を感じないとの言葉を聞いたからでした。他のベトナム人とも同じような話をしたことがありますが、確かに最近は「技能実習生はあまり魅力的ではない」といったトーンで話す人が増えているように思います。

「円安で今年1月から今までまだ送っていないです。もし送ったらちょっともったいないと思いますね…10万円があったらパソコンとかバイクも買えます。生活費も10万円が多分3か月くらい使える」
ベトナムの3カ月の生活費になっていたという10万円。去年12月、10万円はおよそ2000万ベトナムドンでしたが、現在は、1700万ベトナムドンと15%目減りしました。
「今、10万円で家族の生活費が2ヵ月くらい」

■これはつまり選挙に行くべき。って話ではないのか

外国人技能実習生という日本の企業で技術や知識を習得し、その技能は帰国後に母国の経済発展に活かすというためにできた制度を日本は著しく悪用し、なんの技術もいらないような単純労働にこの技能実習生を超低賃金で使いまくっている実態がある。
技能実習生はコロナ前までは爆発的に国内で増加傾向にあった。こうなると最低賃金を保証しなければならない日本人の労働力は不要になってくる。高収入で雇ってくれる企業はどんどんと少なくなる。いわば“就職のパイ”は途上国の外国人に奪われているのだ。

太字は引用者

出た、技能実習制度反対というひとの中にも一定数いる「雇用が奪われる」マン。
因果の理解を間違えていると思うんだけどな。

■今週いちばん読み応えがあった記事

これ、個人的にずっと気にしているのは2020年11月の初報タイミングが

ほとんど熊本と同時期だったこと。

そして熊本の件は手厚いサポート体制が可視化されているのに

東広島の件は早々に結審。

判決では、「懲役4年」という求刑に対し、「懲役3年、執行猶予4年」が言い渡されました。量刑理由について、判決文では、「犯行態様は悪質である」としながらも、保護責任者遺棄致死罪については、「社会的に孤立した状態で出産当日を迎えた経緯には、同情することができる。本件犯行を被告人のみの責任だとするのは酷である」と指摘しています。

RCC News

何が違うのか、と思ってきていたのですが、RCC中国放送の「1年半に渡って20回面会した」記者による今回のレポートでようやく理解しました。
裁判の判決文が使用したフレーズを使うなら「犯行態様」が、熊本とはたしかにぜんぜん違う。

ええと。
でもそれはそれ、だと思うんですよ、やっぱり。
孤立出産した女性だけが罪に問われるのは彼女がどういうパーソナリティであろうとおかしなことで、せめて支援者に心を開いてくれれば同情できるのに。とか、自分の思いを語れるだけのインテリジェンスが無い「低度人材」じゃしょうがない。とか……そういうことじゃなくない?

■なお「低度」外国人材なる露悪的なワードの著作権を持つ書き手の最新テキストも相変わらずセンセーショナルで感心したところ

「私自身やヤントも過去に経験したが、〝マルシップ〟の労働者は本当にひどい。私たちが働いた当時、月給は4万円で無保険だ。最近は月給13万円くらいまで上がったらしいが、ボーナスはないし相変わらずの無保険。食費も自弁だ。日本の漁業に関係するインドネシア人の場合『技能実習生はエリート』で、大部分はこのマルシップ労働者なんだよ」
マルシップとは「日本船籍で、日本の船主が船体だけを外国船主に貸し出し、外国船員を乗り組ませて再び日本企業がチャーターする船」(デジタル大辞泉)だ。

念のために注釈を加えておくと、「低度」人材は日本政府オフィシャルな用語、「高度」人材への批評も込められていることば、と私は認識しています。
そもそも誰が高いとか低いを決めるんですか。という問いを表現するには過激に思いますけど、そこはライターの署名のようなものですしね。

■その他の記事、今週は2本だけ見出し紹介

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