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コーヒー好きな僕
喫茶店という名を冠して生きていると、「コーヒーが好きなんですね」と話しかけられることがある。「はい」と答えるのは当然のこと。僕は確かにコーヒーが好きだ。朝に一杯、夜にその香りに癒やされたいと思う。ただ、それだけなのだ。
コーヒーが好きだからといって、すべてのことを知り尽くしているわけではない。「じゃあ○○の豆って○○なんですか?」なんて聞かれたら、たぶんと首をかしげるのが精一杯だ。「喫茶店」という名前のせいで少し詳しい人に見えるのかもしれないけれど、それは誤解だ。僕はただ、自分が好きだと思えるコーヒーを飲み、楽しんでいるだけ。プロとか精通しているとか、そんな大層なものではない。
そもそも、僕にとっての「プロ」とは、たとえば「コカコーラのプロ」のような存在だ。秘伝のレシピを知り尽くし、炭酸のはじける感触までも正確に再現できる。そんな人のことを僕はプロだと呼ぶだろう。でも、僕はそんな領域を目指しているわけではないし、目指そうとも思わない。ただ、日々の中でコーヒーを楽しむ、それが僕のスタンスなのだ。
僕のコーヒーの楽しみ方はいたって自由だ。ミルクを入れる日もあれば、ブラックで楽しむ日もある。ほんの少し砂糖を加える日だってある。それはその日の気分次第で変わる。朝には深いコクのある一杯を、午後には少し軽めの味わいを、なんて具合に。こうしなければならない、なんてルールはないし、僕にとってそれが「好き」ということの本質だ。
たまに「コーヒーに詳しいんですね」と言われることもある。そのたびに、なんだか申し訳ない気持ちになる。僕はただ、自分の好きなようにコーヒーを飲んでいるだけだ。酸味が強すぎると眉をひそめ、たまにはラテアートに挑戦して失敗してみたり。それが僕の楽しみ方なのだ。
さて、カップを空にして、次に僕が飲んだのはオレンジジュースだった。飲みたいものを飲む。それが一番だと思う。次に飲むのがコーヒーである必要はないし、今日飲まなかったとしても、またコーヒーは美味しく迎えてくれるだろう。その自由さこそが、僕にとっての「コーヒー好きの流儀」なのだ。
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