ビニールの城*8/19
ビニールの城
@シアターコクーン
ビニールの城、観劇してきました。
一言で言うと「すごかった!」
V担の友人に言うと「みんなそう言うよ(笑)」だって。
やっぱり?!
すごいのよ!!
なんていうか、独特の世界観が確立していて、その世界にずっぽりとはまってしまう感じです。
暗く、深い、世界です。
蜷川さんの空気感というのはちりばめられていて、というかそのものの舞台で、なんていうか、すごかったとしか言えない(ふりだしに戻るw)
**会話が絶妙です。 **
シリアスかと思いきや、すぐに笑いに持っていってくれたり……あれは、あれだけ重い空気を笑いに持っていけるのは、役者の実力かと。
それから、剛くんの腹話術師の役が素晴らしい。そもそもこれが不自然だったら、舞台は始まらない。出来て当たり前。
でもその当たり前の腹話術って難しくない?すごくない??
いっこく堂さんの指導ってどんなだったのでしょうか…??気になります…。
思うことは多々ありますが、以下、時間の許す限り、私が心に残った部分を書き留めておきます。
第3章
話さなくなった人形。彼が話しかけるものは何か
ここで朝顔が語った夕顔のこと。
夕顔が2番目に嫌いって言った「子どもの心を持った大人」が、心に残っています。
いつまでも子どもの心を持って……とかは、良い風に語られますけど、大人になっても大人になれない人(私も含め)ってダメだなぁと、なんかちょっと責められてる気分になりました。
そして、ここのシーンで、
水を盛大に撒き散らしながら、モモと会話する朝顔がいい。
モモ「あさちゃん、私です」
朝顔「……あぁーーーー!!」
この、「あーー」が、笑える。
気付いた「あーー」なんだけど、なんか間抜けで可愛い。
まさかこのシリアスな場面で笑えるなんて!!
少しのニュアンスなんだけど、面白く言ってくれてて、「あーー」って言い方が、例えようもなく可愛く、
モモが「こいつにはあーしかないのか」って言うツッコミのリズムも絶妙で、笑える。
笑わせてくれたあと、「あー」しか言わない朝顔に、
モモが「しーって言ってよ」 と、急にいう。
しー?しーってなんだ?って思ったら、
朝顔「しーーーー!!!!」
あーーって叫ぶのと同じ音程で、叫ぶよね。(笑)
笑える(笑)
そしてその流れで、モモと朝顔が100円ライターの火を灯して語り合うシーン。
ここで、また深い世界に連れて行かれる。
シリアスなんです……けど、途中でもちろん、
モモ「熱いわ〜、この100円ライター、熱いわ〜」
朝顔「そういうものです」
という、笑いを忘れない。
絶妙。絶妙なんです。
それからこの後のシーンで、モモが朝顔に絡み、朝顔が「結婚された方がそう馴れ馴れしくしてはいけません」って拒否します。
なんともこの摑み合いが、色気もあるけど、可愛くて(笑)面白い。リズムも軽快です。
宮沢りえさんの透明感たるや、ため息ものですが、荒川さんと剛くんのやりとりも面白い。
どうしてか、笑いになる。
笑いになるけど、どこか怖い。
この怖さを表現出来るのが、荒川良々だと思う。
それから、六平さんも絶妙。
この人もさ、絶妙な怖さを表現出来る人だよね。
ジャニーズとの共演多々で、お世話になります〜って気持ちなんですけど(笑)いや、もう、なんか、六平さんと共演して学ばない人はいないでしょ!?とか思う。
ビニールの城…早々に観劇していた藤ヶ谷くんもドラマと映画と一緒だったよね…。ねぇ、この舞台見て何か感じた?
いつか、こんな風な舞台に立てるようになってね。
さてさて、この舞台のキーは、もちろんビニールだけど、水もなんか大きい。
2列目までは確実に水が飛んでくる。
役者たちが暴れれば暴れるほどに、飛んでくる。
途中で役者が「水飛ばしてごめんなさい」って観客にいうのもいい。(笑)
私たちも、同じところにいる感じ。
私は実質3列目くらいのバルコニーだったので、見やすいし水も飛んでこないという席だったんですが、もし飛んで来てたら、ちょっとあの水しぶきには対応できなかったかもしれない。
みなさんビニールでカバーされてましたけど、私なら忘れる(笑)
水…で、もうひとつ。
大きなプール。
ここに朝顔が沈むところも、見所のひとつ。
去年見た舞台MORSEも大きなプールがあって、そのシーンを、思い出してしまった。
MORSEは、すごくシンプルなプールで、そこに沈む主演小瀧望がさ、シンプルすぎるくらい長い間呼吸止めてるんだよね…。ハラハラするやつ。
でも、ビニールの城は、すごく派手でした。
派手に沈み、派手に水が出て、なんか、なんていうか、ハラハラする暇はない。
それが、物語の流れに合っていて、ひきこまれました。
ついでにその派手さで言えば、最後に大きなビニール出てきたときにも、びっくり。
城になっちゃったよ……本当に城だった…。
あと、ひとつ。
これは後で思ったんだけど、
わざとなのか、それとも、アドリブなのかわからないけれど最後の方のシーンで、モモのおんぶ紐をバーの机に置いてて、でも水の上にある机なんだよね。
そこで、ダラリと垂れ下がってる紐が、剛くんが歩いたら足にひっかかって、水の中に落ちてしまった。
でもさ、剛くんは会話の中で拾って机の上に置いた。
剛くんは、そのとき間違いなく、朝顔でした。
何があっても演技が途切れない。
あぁ、朝顔ならぜったいそんな感じに拾うよね。ってあとになって思ったんだけど、そもそも、そうゆう演出だったのだろうか?
一度しか入らないので、真相はわからず。
でもひとつ言えるのは、そんなの気にならないし、確実に完成されたものを見て、満足です。
生物が好物なので(笑)舞台は何度も観に行くこともありますが、これは、本当に1度で満足。
それに、1度くらいじゃなきゃ体力が保たない。(笑)
心が疲れます。
そんな舞台でした。
結局、深いところでは何が言いたいのかわからなかった未熟者ですけど(笑)真っ先に浮かんだのは、私の大好きな人たちは、どれだけ嘘を身にまとってビニールの城に通っているのだろう。ということでした。
少しだけ番組作る仕事してた過去があるので、嘘の程度が計り知れないのは重々承知しております。
なので、今更なんだけど、でも、そんな気持ちになった。
そして、近いところで言うと、同じモモなのにビニ本の女はよくて、生身はダメな朝顔に、なんか、現代を風刺しているような気になりました。
飾った姿、本当のようで本当じゃない姿、見た目だけ、中身のない人、人形のような人、希薄な人間関係について言われてるような気になります。
一言じゃ語れない。
言葉にできない。
ビニールの城は、そんな城でした。