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ヒガンバナの非日常

一面、緑の景色の中に赤いものが突如ぽつんと。昨日はなかったのに。
あわてて車をとめる。
遠目からみてもわかるほどの、濃く深い赤色なのでもしや?と日付を確認。

9月20日
あ、もうすぐお彼岸かあ、ということはやはりあれはヒガンバナだ。

ヒガンバナは「葉見ず花見ず」といわれるように、花の時期には葉がないという風変わりな花。しかも地中からいきなりニョキと顔を出したと思ったら、あっと言うまに放射状につけた花が開花。

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英語名は  red spider lily 
下から見ると、なるほど合点がくる。

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昔はあまり好きではなかった花。
あの特徴ある形と、色をなかなか受け入れることができず、少し不気味な雰囲気。
そしてなんだかちょっと田舎ぽい、じゃん?っておもっていた。

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歳を重ね、植物を丁寧に撮り始めてからは、ヒガンバナの妖艶さときらびやかな雰囲気に少し心がひかれるようになった。ピントを合わせるために、ファインダーをのぞいていると、簡単に異世界にワープできてしまう。そんな不思議な魅力。少し大人になったかも、と胸を張りたくなる。
(偶然だけど毎年お彼岸の9月23日にはこの花を必ず撮影している。)

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(最近はいろんな品種・色が)


昨年は赤く咲き誇る様子を見て、4月に死んだ友人のことをおもい、グッとく込み上げる感情がわきあがり、それと同時に一気にふわっと点と点がつながっていく悦びのような感覚も。ヒガンバナのもう一つの名前「曼珠沙華」という言霊のような力もあるのかもしれないが。

人は歳を重ねるとちょっとずつ深くなるように(顔のシワも・・・泣)、こちらの身上で花の咲き方や、風景のうつりかたも変わる気がする。


有毒な鱗茎だが、人は食べれるものに変え、時に薬にもしていた。なぜわざわざ?と首をかしげてしまうが、それほどの飢餓があったという歴史があるのだ。

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