見出し画像

"Don't think. Feel !" 考えるな、感じろ


カレーにはラッキョウと福神漬けを山盛りトッピングしないと。
ルーは2日間煮込まないと。
私のカレーってこういうものなんです、とmyルールみたいなのがある、
という方、多いと思います。みんなカレーライスが好き。

そう、”白ごはん”に合うカレーライス大好き。私もジャ◯カレー大好き。


ミールスさんのカレーは煮込まないし、ラッキョウも福神漬けもありません。(似た役割のピクルスみたいなのは付いてますが)

画像1

Drive Inn Meals and Grind
ドライブイン  ミールス アンド グラインド

逆さ言葉ではなく、呪文でもなく、ちょっと長めですが全部店名です!
カフェ・カジュアルなレストラン 


店名に「ミールス」と付いているので、すぐに理解できる方もいると思いますが、ここのカレーは”南インドカレー”と言われるもの。ミールスの本当の意味は南インドの”バナナの葉にのっけられた定食”

実際には丸い銀のお盆に乗せられて出てきますが、まさかこんな田舎で食べれるなんて・・・(しかもおいしい)

ミールスさんは鹿児島市に別店名で、地下で8年間お店を営業していましたが、昨年同じ鹿児島県志布志市志布志町(シブシと読みます。志が熱い)に移られました。外からの”自然光”がとてもぜいたくに入ってくるため店内はだいぶ灯りを落としています。

とても開放的な空間で、ここは志布志の代官山のようです。

画像2

(この日はおやすみだったので、いつもより灯りは落ちてます)


「食事をするのって やっぱり自然光の方がおいしいですよね。」

と、
ミールスの店主 徳満周太郎さん。(以下、周)
奥様のかおりさんと一緒に切り盛りしています。(以下、か)

画像3


「昨年東京を引き払って、いくら生まれ育ったところでもやはりなじめなくて、海に癒されようと思って車を走らせてたら、見つけたんです。こんな田舎でスパイスたっぷりのカレーって勇気あるなあと思ったけど、おいしいし、このまちがなんか一気にスパイスの街になった感じでうれしい。」

「それがまだすべてのお客さんには受け入られているということではなくて、普通のカレーを出してくれて言われる時がたまにありますよ (笑)」

確かに市販のカレールーの味とは違うし、どうやって食べたらいいのか分からないかもしれません。

「知らないもの、知らない味に閉鎖的なんでしょうね。自分の地元なのにaway感というか、、(笑)最初は気にしてたけど最近は好きなようにやってます。気にしすぎて、お客さんの好みにすべて合わせると業務用のわかりやすい味、コンビニで流行っている味になっちゃうから。」

「閉鎖的ってのはよくわかります(笑)
ところで、ここのメニューってなんでも一口で、いろんな味がしますよね。食べてて飽きないというか。スパイスの使い方ってどこで?自分で?」

「熊本にあるニューデリーっていう伝説的なお店があって、そこのカレーに出会ってから。日本の人が作るんですけど、硬派なインドカレーで。うわ?!
なにこれ?ってなって。
それまでは欧風カレーというか、ご飯にあうカレー。鹿児島は甘口文化っていうのもあって、フルーティーな味が好まれるということもあったんですけど、それを全部やめました。甘みの付け方をウソくさく感じてしまった。
独学って言ったらえらそうだけど、そこから試行錯誤でした。」

画像4


「今にみたいになかなか受け入れられなかったですね・・・。
味がまずいとかではなくて、今まで食べてきたカレーと全然ちがうから
なにこれ?みたいになったんだと思う。」

確かに私も東京で食べた時、出会った時最初はおどろきました。このワンプレートにいろんな色のものがのっかってて、しかも南インドカレーって何よ。カレーって東西南北あるの?って思いましたもん。

「熊本で食べたカレーの”オリジナルの塊”にものすごく反応したんです。最初はいろいろスパイスを焙煎しまくったり、、もう朝まで試作したり仕込んだりして。今はだいぶ使うスパイスも安定してきました。」

画像5


日本ではわさび、山椒、ネギなど薬味と呼ばれるスパイス&ハーブ?があるけど、どれも食材の持ち味をそこねない程度の使用方法のため、

「スパイスを食べる」

ということは、情報が多く、グルメな都市部とちがい、地方でなじんでもらうのは大変だった思います。

お話を聞いていると、お客さんに食べていただくために試行錯誤されている様子が伺えます。例えは違うかもしれないけど、芸術の分野と違いこれを作りたい、出したいと思っていても食べてもらえなかったら悲しいし経営も厳しくなる。

味って、香りや匂いと同じくらい難しい。

画像6


「スパイス=辛いっていうイメージは嫌だなと思って、お菓子に使うようにしたんです。カレーはスパイスが混ざると、どう出るかなかなかわからないんだけど、お菓子は1種類だから、このスパイスはこんな味なんだ、っていうのを感じてもらってます。」

家庭でスパイス料理を作ろうとしても買い集めるのが大変。しかも地方だと買える種類もかなり限られて、スパイスが好きな人ではないとひとつひとつの香りや味を知る機会はないかもしれません。ここに来ればいろんな味が楽しめる貴重な場所。

画像7


南インドカレーだけじゃなく、ここでは日替わりでスパイスを使ったいろんな国のカレーが食べれます。まだ食べたことがないのですが、ベンガル地方のカレーがベースの魚のカレーなんかも。

気分だけでも旅した感覚になり、いつもと違う空気を自分に入れたいときってスパイス料理を取り入れたらいいのかもしれません。

ミールスさんの料理で簡単に異国に旅行ができちゃいます。


ミールスさんはサラダがとにかくおいしい。サラダって飲みもんやったかな?と思うくらいにペロリ。
値段も良心的すぎて、数字を二度見してしまいます。きっとこれはおかわりしろってことなんだな、って勝手に思ってます。高校生もおかわりできます。

画像8

画像9

(もちろん、カボチャがガツンなスープもおいしい)

画像10

(生ハムとレモンのソースのパスタはやばいっす・・・チーズもたっぷりでやばいっす。)

ここの隣町に好みの野菜を作る方がいて、その方との縁もここに移った理由のひとつでもあるそうです。ものがとにかくよくておいしいと。

ミールスさんのサラダがカレーが食べたくて鹿児島市から宮崎市から車を1時間半飛ばして、わざわざここまでやってくる方々もいらっしゃいます。(ここは鹿児島と宮崎の県境という立地)
土日は家族のお客さんが多いです。お店は地元の人たちに愛された方がいい。

「隣町の若い男の子たちがきてくれて、料理に興味を持ってくれたんです。ちょっと話をして、料理の本を一緒に見たり。鹿児島市でお店をやっているときは忙しかったのでそんな時間もなかったんだけど、今だったらできるのでうれしいですね。
レジ横にある紅茶を毎回買ってくれたり、あの野菜はどこで買えますか?と、男子が熱心」
その話をする周太郎さんの顔がとてもうれしそう。

冒頭でちょっとマイナスなことを書いてしまっていますが、
少し年齢層が高いお客さんが喫茶づかいをしてくれたり、徐々に地域に浸透してきている様子が伺えます。

画像11


周太郎さんが見せてくれた本があります。
「オーガニック料理の母」と呼ばれている
アリス・ウォータースの世界
この本、ビジュアル&フォントサイズもすばらしいので私も手元にほしい。

画像12

有機農法で農家さんに栽培してもらい、その食材を使ったレストラン
「シェ・パニーズ」
を立ち上げた人。
生産者のことを「料理の共同製作者」と言っています。

 「この人の影響が強くて・・・。それで自分たちが作るメニューを考えたら志布志ならできると思ったんです」

ちょっと話がそれますが、
周太郎さんが作る、カレー・サラダ・パスタはお皿の小宇宙のようです。
材料のキラキラ感をちゃんと残しているので、できあがる料理にクリエイト感があります。
やはり、生産者の方とちかいという利点もあるのかもしれません。

恥ずかしながら私はアリス・ウォータースをこの日に初めて知りました。

アリスさんが「料理はシンプルに五感を使うようにしましょう」と言っているように、私は食べるときもできるだけ五感をフルに使いたいと常に思っています。

空腹を満たす、ということだけに気を取られていると、料理の味はもちろん色、匂い、舌触りなどをキャッチできなくて、なかなか楽しい食事はできないのかもしれません。

そうは言っても忙しかったり、一人暮らしだったりすると、 仕事しながらネットを見ながら、ながら食いをしてしまうものです。私も一人暮らしの時はそうでした。

なので、たまにゆっくり食事ができるお店に行きたくなります。
ミールスさんのような。

普通のカレーじゃない・・・ではなくて(笑)
ミールスさんでは、いつものものと違うとあれこれ考えるよりも、まずは目の前に出されたものを「感じる」ことをしてほしい。

「感じる」ことを通して、小さく刻まれた食材が発する何か大切なものが、すーっとあなたの体に入っていくのかもしれません。そしてそこから体が作られます。

ブルース・リーも言っています

"Don't think. Feel !" 考えるな、感じろ


同じ建物に隣接されてる生活道具屋「デシリットル」さんは、
妹さんの生重雅代さんが営んでいます。
(なんか、"営む"って言葉と"生活道具屋"って商店街ぽくていいな)


画像13

画像14

(ガラスの向こう側はスパイスのまどろみが・・・)

いつもレコードが回ってて、選曲もよく、いろんなお客さんがいます。

画像15

みなさん、まさよさんのセンスを頼りにささやかなプレゼント用の道具や、自分が長く使いたい道具をここで選んでいってます。

画像16

画像17

画像18

絵本も

画像19

子供たちは商品なのか自分のおもちゃなのか、もう区別がつかないくらい、よりどりみどり
密度が濃い!です。

画像20


ちょっとした観光案内所のようにもなっており、まさよさんに情報を求める方も。鹿児島と宮崎のハブ的存在でもあります。
私もここでしか扱いがない、来双船オリジナルのスーヴェニア的な何かを作って納品できるようにがんばります(笑)

いただいたサポートはこれからも来双船がよい出会いができるよう、心から感謝しながら使わせていただきます!