高校の時に先生にぶん殴られた話
あれは体育の授業の蒸し暑い夏でした。
この時期なら入りたいプールの授業です。
やっぱりこういう時はテンション上がるじゃないですか。
友達とはしゃいだり
クソ暑い時にプールで涼んだり
非日常感を味わったり
プールサイドで先生が来るまで待機だったんですがもう僕含め皆はしゃいでるんですよ。
イメージでいえば体育祭前のわちゃわちゃです。
『お前腹筋やべえ』『うっわデブのお腹すげぇ』『全裸になったぜ!』みたいなプールでありがちな会話もこの時はワクワクを興奮させる材料。
ちなみに僕の高校のプールの周りには大きな壁が貼られてます。
どうやら近くの家に裸を見せる馬鹿が以前居たらしいで、その事件を二度と起こさないように作ったとか。
僕の高校なら起こりかねない事件ですね…。
ともかく友人と話してた僕は1つ悪い事を考えました
真っ先にプールに飛び込んだら面白そう
この時僕たちのプールの授業が1番最初だったんですよ。
つまりここで僕が飛び込めばこの年で1番早く飛び込んだ猛者になるんです。
分かります?
男ならコレはやるしかいない。
今なら先生は来てない。
僕は友達に『おっしゃ見とけよ!』と宣誓してプールに走り出しました。
そして冷たいプールに飛び込みます。
汗で滲んだ熱い体を冷たい水を洗いながら僕は反応をみます。
友達やクラスメイトは目を点にして僕を見てました。
焦りや賞賛の声を聞きながら僕は何か嫌な気がします。
可笑しい
明らかに空気がさっきと違う
体が何故か冷えてきました。
プールの冷たさではありません。
背筋が凍りつくような寒さ…まるで嵐の前の静かさ。
そこで僕は察しました。
というより気づかざるを得ません。
なんてったって体育の先生が入口から睨んでるんですから
『何やっとるんだ!ボケ!』
当然です。
そりゃ勝手にプールに入ってるなら怒りますね
聴きながら僕は考えます。
(このままなら間違いなく怒られる…)
相手は平気で生徒を殴るサッカー部の鬼顧問。
対する僕は陰キャオタク。
どうすればいいと思いますか?
まず足が滑らしてプールに落ちた事にします。
…
『そんな訳ねーだろ!絶対飛び込んだろ!ボケ!』
まぁそんな都合のいい嘘が通るはずもなく普通にバレましたね。
ここは土下座し先制攻撃をして何とか許しを乞う。
これしかない。
僕はプールサイドに上がるや否や額を地面に付けようとしたんですが…知ってますか?
水着の人を掴む時って首を掴むんですよ。
ようしゃないですね。
おお、こわいこわい。
額を下げようとした僕を先生は首を鷲掴みして叫びます。
『勝手に何してんだよ!お前が怪我したら俺が責任取らされるんだよ!』
正論。
錆びたナイフが僕の心臓を抉る。
そして怒りの頂点に達した先生は僕を1発ビンタします。
先生は『ぶふぅ』という情けない声をあげた僕の髪を掴み…
そんなに入りたいなら!お前はプールに入っとけや!
僕をプールに放り投げました。
完全に自業自得です。
そりゃこんな事したら仕方ないですね。
おあとがよろしいようで。