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陳光興の「方法としてのアジア」

日本では一部でしか読まれてないようだけれど、陳光興の「脱帝国 方法としてのアジア」という本は、デューク大出版からの英語版が出て以来、ここ10年間世界中のカルチュラル・スタディーズやエリア・スタディーズのあり方にかなり大きな影響を与えてきた。この本のヒットで、実は日本の中国研究者だった竹内好の作品も国際的に注目を集めている。中国、台湾、シンガポール、そして欧米の研究機関でもこの本の内容を反映している「比較アジア学」「超アジア学」「間アジア学」「グローバル・アジア研究」など(一見意味がよくわからない)学問を推進するための機関やプログラムが設立されている。

どういう内容なのか、と聞かれると説明するのがちょっとむずかしい。でも、どうしてこの本が影響を持ったのかは明確だ。

端的に言うと、ポストコロニアルスタディーズもカルチュラル・スタディーズもエリア・スタディーズも、90年代以来、基本的には同じ理由で行き詰まっていたからだ。まず、ポストコロニアルスタディーズとカルチュラル・スタディーズは、エドワード・サイードによるオリエンタリズム批判以来、欧米で生産されたアジアに関する知識や欧米の文化における植民地主義の批判に明け暮れていた。欧米の知識の問題を批判することはアジアの研究者たちにとっては必要だったとは思うけれど、結局いくら彼らを批判した所でフレッシュなアジアに関する知識やアジアの新しい文化が生まれでてくるわけではない。

エリア・スタディーズは、というと、実はこの学問自体、サイードが批判したところの「オリエンタリズム」の冷戦時代の末裔である。欧米でアジアについての理論を作って、アジアでデータを集めるという国際的な分業が成立してしまっており、知識生産の構造とそれに関わる権力関係としてはオリエンタリズムそのものだった。こういった批判について深刻について考えた者もあったが、結局はこの構造を変革するための具体的な方法が提起されてこなかった。

そういう問題について、ある突破口を作ったのが、Inter-Asian Cultural Studiesという学術雑誌を中心に集まったカルチュラル・スタディーズとアジア研究の両方に立脚した研究者のグループだった。陳光興は、このグループに90年代から関わっていた人物だ。

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アジア研究、特に東南アジア研究の前線の話がかじれます。 それから、大手の出版局・大学出版局から本を出すことを目標にしてる人たちには参考になる内容があると思います。良い研究を良い本にするためのアドバイス、出版社との交渉、企画書の話など。

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