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1年『きいろいベンチ』【規則の尊重】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『1年「きいろいベンチ」【規則の尊重】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

規則の尊重は、かんたんに言うと
「きまりを守る大切さ」です。

では、きまりは、なぜ守らないといけないのでしょうか。
子どもの立場なら、
・怒られるから
・先生が言ったから
などがあげられるでしょう。

しかし、これは外圧的なもので
罰などの強制力から、
きまりを守る心が生まれています。

果たして、きまりとは本当にそうあるべきなのでしょうか?

きまりについて、
教材解説で考えていきましょう!

では、解説です!

 

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「規則の尊重」
1・2年の目標・・・・約束やきまりを守り、みんなが使う物を大切にすること。

1年生「きいろいベンチ」(教育出版)

 

あらすじ

たかしとてつおは公園で紙飛行機を飛ばして遊んでいた。
もっと高いところから飛ばしたくて、黄色いベンチの上にくつのまま乗って飛ばしました。

雨上がりの公園だったので、2人のくつもドロドロでした。

その後、2人はブランコに乗って遊んでいると、女の子とおばあさんがやってきて、女の子がベンチに座りました。

女の子のスカートは泥だらけ。
おばあさんが泥を吹いてあげていました。

それを見て、2人はハッと顔を見合わせました。

2 内容項目と教材

「きいろいベンチ」は、定番教材の1つです。

定番教材は、これまで数多くの先生方が実践を重ねてきた教材なので、多くの実践記録が残っています。

だからこそ、教材研究しやすいとも言えますし、多くの視点がある分、難しい教材であるとも言えます。

しかし、ポイントを押さえて展開すれば怖くありません!

 

1・2年生の「規則の尊重」の目標は、「約束やきまりを守り、みんなが使う物を大切にすること。」とあります。

それに対して、3・4年、5・6年の目標には「物」という言葉はなく、「意義」や「義務」という言葉が入ります。
このことからなにが言えるのか。

1・2年生にとって規則の尊重(ルールを守ること)は、抽象的な概念になるため、身の回りの物という具体物を土台にして考えることがよい、ということです。

規則は、次のように言い換えられます。

  •  約束

  •  ルール

  •  きまり

  •  マナー

子どもの考えやすい言葉を選んで授業では使っていいです。
この言葉のちがいを考えるのは中学年以降で大丈夫です。

では、約束やきまりはなぜ守らないといけないのでしょうか。

  1.  人が困る。(個人)

  2.  自分が困る。(自分)

  3.  みんなが困る。(集団)

本質的にはこの3つがあるから、「守るべきもの」とされているのです。

 

では、「きいろいベンチ」では、このうちどれがあるでしょうか。

「1 人が困る」が当然出てきますが、果たしてそれだけでしょうか?

そもそも公園や公園のベンチは公共のものです。
特定の個人が自分勝手に使うと、みんなが困ります。

ということは、「3 みんなが困る」のです。

たまたま、2人は目の前で女の子が服が汚れて困っている様子を目の当たりにしましたが、困るのは女の子だけではありません。

お年寄りがベンチに座って景色を眺めることを日課にしているかもしれません。
子どもが座って楽しい話をするかもしれません。
大人がここで大事な話をするかもしれません。

2人は、自分勝手な行動で、他人の行動を制限する、という迷惑をかけたのです。

一口に「迷惑をかけた」と言ってもいろいろな行動がありますから、2人は具体的に、女の子やその他の登場していない人たちにどんな迷惑をかけたのか、考える活動は有効ですね。

 

また、「2人が見ているもの」についても考えることは大切です。

ベンチに乗って紙飛行機を飛ばしている2人は、何を考えていたでしょうか。

・紙飛行機が遠くに飛んで楽しい。
・高いところから飛ぶ飛行機はかっこいい。
・低いところよりも高いところから飛ばすほうが紙飛行機はいい!

これらは全て、自分しか見ていません。

そこに他者意識はなく、自分本位です。

自分だけよければいい、という思いはありませんが、「自分たちの楽しさ」だけを見ているので、他の人の迷惑は考えていません。

では、女の子の服が汚れたのを見たときの2人は、何かに気付いたようです。

そのときの2人は、何を見ていたのでしょうか?

先ほど書いた3つのように、自分しか見ていないのでしょうか?
それとも、なにか他のことに気付いたのでしょうか。

当然、「自分たちの行為が女の子とおあばさんに迷惑をかけてしまった」と気づいたので、見る点が変わりました。

・紙飛行機を飛ばしている足元は、ベンチを汚していた。
・自分たちが乗ったベンチが汚れたので、座った人は汚れるし、座りたい人は座れなくなった。
・もっと先のことを考えて、行動すればよかった。

これらは、自分しか見ていないでしょうか?

違いますよね。

明らかに、他者意識が芽生えています。

まさに、視野が広くなった瞬間なのです。

2人はこの件で視野が広くなりました。

今後、2人はなにを大切にして行動するでしょうね?

 

授業の展開として、
・2人は〇〇すればよかった
・2人は女の子に謝らないといけない

などと、行動を批判して、望ましい行動を探ることがよくありますが、それはあまり意味がありません。

2人を批判しても、教科書の内容は変わらないからです。

それよりも、2人の行いから学ぶことを考えたり、最初と最後で2人の心はどう変わったのかを考えたり、この件で2人が得たことを考えたりする活動が大切です。

 

道徳は、行為ではなく行為を生む心を考える教科です。

いくら望ましい行為を考えても、それは道徳的価値に向かう活動ではないので、注意をしましょう。

 

 

3 導入

T:教師 C:子ども

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