1年『おかあさんのつくったぼうし』【家族愛】の指導案はこうする!
こんにちは。
今日は『1年「おかあさんのつくったぼうし」【家族愛】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。
家族って現代はいろいろな形があります。
核家族、二世帯住宅、
片親世帯、施設などなど。
道徳で家族について扱うことは、
危険だといつも議論が起こります。
しかし、人は1人では生きられません。
集団で協力して生きることで人類は繁栄してきました。
その最小単位が「家族」です。
家族について考えることで、
集団についての理解が深まり、
クラスや学校、地域など
他の集団への帰属意識が高まっていくのです。
今日は教材を通して、
家族について考えていきましょう。
では、解説です!
1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ
順番に解説します。
1 教材について
C 主として集団や社会との関わりに関すること
「家族愛、家庭生活の充実」
1・2年の目標・・・・父母、祖父母を敬愛し、進んで家の手伝いなどをして、家族の役に立つこと。
1年生「おかあさんのつくったぼうし」(日本文教出版)
あらすじ
スウェーデンにアンデルスという子どもがいました。
アンデルスはお母さんに新しい帽子を編んでもらいました。
うれしくてそれをかぶって外に出かけました。
御殿の前に出ると、王女様がきて、中に案内してくれました。
テーブルにはたくさんのお菓子。
「ぼうしをぬいで召し上がれ。」と言われても、アンデルスは両手でぼうしをしっかりと押さえました。
王様がやってきて、「見事なぼうしだ。わしのぼうしととりかえてくれないか。」と金のかんむりを出しました。
アンデルスは両手でぼうしを押さえて逃げました。
家に帰ると、兄さんは「かんむりととりかえればよかったのに」と言いましたが、
アンデルスは「おかあさんのぼうしよりいいものなんて1つもないさ」と言いました。
お母さんはだまってアンデルスを強く抱きしめました。
2 内容項目と教材
心の温まる教材ですね。
アンデルスはきっと、1年生と同じくらいの子どもでしょう。
お母さんが編んでくれた帽子は、このぐらいの年代の子どもにとっては、大好きなお母さんをいつも身近に感じられる、貴重な物なのです。
だから、肌身離さず身に付けておきたいから外さないし、他の物と交換なんてもっての他なのです。
そのアンデルスの行為を生む心は何か。
それを考えたいですね。
繰り返しますが、アンデルスはお母さんが大好きです。
だから、帽子を大切にするという行為が生まれているのです。
もちろん、お母さんが買ってきた物でも同じです。
しかし、帽子は「編んだ」ということは、その制作の過程もアンデルスは見ていることでしょう。
ただ、完成品を受け取っただけではなく、その過程も見ているので、母の愛情が帽子に詰まっていることを実感しているのです。
つまり、母を思う心、母を大切に思う心、母に愛されているという心が、アンデルスの行為のもとになっているのです。
しかし、この授業をする上で注意してほしいことがあります。
それは、アンデルスの行為だけが正解ではない、ということです。
この教材の面白いところは、人によって価値観のちがいがはっきりと表れていることです。
アンデルス、兄さん、王様、それぞれ価値観が異なっています。
アンデルスは、母からもらった帽子が一番。金銭的な価値や食欲はその次です。
順位づけすると、
①家族への愛
②お金
③お菓子
でしょうか。
次に、兄さんはどうでしょうか。
アンデルスに対して、「とりかえてもらえばよかったのに。」と言っています。
この発言は、決して間違っておらず、否定されるものではありません。
というか、現実世界においては、この「兄さん派」の考えをする人が多いのではないでしょうか。
でも、「今からでもとりかえにいこう」とまでは言わず、アンデルスの判断に少しではありますが理解を示していることも感じられます。
順位づけすると、
①お金
②家族への愛
③お菓子
でしょうか。
また、王様はどうでしょうか。
王様は、御殿に子どもを遠慮なく迎え入れ、娘の王女様はお菓子でもてなすほど心優しい人です。
さらに、アンデルスの帽子を素直に「見事」と言い切り、大切であろう金のかんむりとの交換を申し出ます。
寓話とは言え、かなりの人徳者の王様です。
では、王様の価値観は、どんな順番でしょうか?
お金が一番? 家族愛が一番? お菓子が一番?
あえてここはあいまいにしておきます。
子どもと一緒に考えたいですね。
大切なことは、アンデルスの判断や行為が素晴らしく、「みんなそうしよう」と安易に結論づけないことです。
兄さんの考えも、王様の考えもある、と考えを広げることができるような活動を設定しましょう。
そのためには、上述したような「大切なもの順位づけ」でもいいですし、
『もしアンデルスが金のかんむりと交換していたら、お母さんはどう思うだろう。』と、あげた時とあげない時を比較して考えるのもいいですね。
いずれにしろ、この教材を扱うのは大抵11月頃ですから、次のことが言えます。
1年生になって8ヶ月が経ちます。
このあたりで道徳の話し合いや発問、展開のレベルをちょっと上げて、一歩踏み込んだ思考ができるような授業づくりを意識してみましょう。
子どもは、これまでの道徳で充分「道徳の思考脳」が育っています。
子どもたちを信じて、ちょっと深い授業づくりを目指してみましょう!
3 導入
T:教師 C:子ども
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