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6年『のぼさんの夢ー正岡子規ー』【よりよく生きる喜び】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『6年「のぼさんの夢ー正岡子規ー」【よりよく生きる喜び】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

「よりよく生きる喜び」
この内容項目は難しいんですよね~。
5・6年(高学年)にしかない内容で、
教材も1つか2つしかない。

授業をした後で、
「結局、なんだったの?」と
手ごたえなしで終わることが多いですよね。
今日はこの難しい内容項目を解説します!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

D 主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること
【よりよく生きる喜び】
5・6年の目標・・・よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し、人間として生きる喜びを感じること

6年生「のぼさんの夢ー正岡子規ー」(日本文教出版)

あらすじ
正岡子規は幼い頃の名を「升(のぼる)」と言い、35才で亡くなるまで2万3千もの俳句を作りました。

若鮎の二手になりて上りけり

のぼさんは、この俳句のように16才で東京に出て大学で学びました。
しかし、当時は治らない病気と言われた結核にかかってしまいました。
のぼさんは大学をやめ、新聞社に入社して、俳句の研究を続けて、次々と作品を発表します。起き上がることができなくなっても、休まずに新聞や雑誌に文章を書き、自分の考えを発表し続けた。
最後は、激しい痛みをこらえながら、ふるえる手で3つの俳句を書き残しました。
のぼさんによって新しく生まれ変わった俳句と短歌は、弟子たちによってさかんになり、今では世界中で愛される日本を代表する文学となっています。

2 内容項目と教材

(1)内容項目について

「よりよく生きる喜び」という内容項目は、新学習指導要領になって初めて加えられました。
つまり、それほど実践が世の中にありません。
授業づくりに困っている先生は実は多いのではないでしょうか。

内容項目の目標をもう1度確認してみます。
①よりよく生きようとする人間の強さや気高さを理解し、
②人間として生きる喜びを感じること

①では、偉人や人として模範となる人について考えること、と言っています。
何について考えるのか。

それは強さと気高さです。

これは、どちらも心のことを指します。
心の強さとは、人によって定義が異なることでしょう。
つらいことにも負けない精神的な強さ。
優しさを発揮することで第三者に伝わる強さ。
いずれにしても、心の強さは人から教え込まれるのではなく、子どもが自分で気づくことが大切です。

気高さも同じです。
気高いと聞いて思い浮かぶ人物は誰ですか?
私は、
ドラゴンボールのベジータ・ピッコロ
ワンピースのゾロ
などが思い浮かびます。

自らの考えを大切にし、決して他人には強制をしないが、
自分自身には徹底して厳しく在り続ける。
そんなところでしょうか。
「プライドと誇りを兼ね備えている」と言ってもでしょう。

ベジータ、ピッコロ、ゾロなどは極端な例ですが、
誰しも心の強さと気高さをもっています。
そのような、人が本来もっている心の本質について、
教材で出てくる人を扱いながら、自分の心にも似たものがある
と気づくことが、この内容項目では大切なのです。

それが、②人間として生きる喜びを感じることにつながります。
困難にぶつかっても、人の助けや得意なことがあって、再び頑張ろうと思えることがあります。
自分で見つけた道を突き進むと、つらいこともありますが、やってよかったと思えることも多いですよね。

「成長したい」という気持ちは、人間が本来もっているものです。
その成長欲を満たしたとき、人は「生きててよかった」と思えるのです。

これは、欲しいものを手に入れたとか、
好きなものを食べることができた、
という短期的で一時的なものではありません。

長い時間をかけて、努力が実り、
成長が成就したと感じられるほどの
努力を注ぎ込んだときに、
「生きててよかった」と思えるのです。

おいしいものを食べたときに
「生きててよかった」とおいしさを表現するシーンがありますが、
あれはただの誇張表現です。
道徳的に考えると、本質とは異なります。

と、「よりよく生きる喜び」だけでもこれだけ説明が長くなります。

結局、どうやったらいいの?
はい、前置きが長くなりました。

結論を言います。
教科書の偉人について「〇〇さんはすごいなあ。」と
自分とは別次元という感想をもたないような授業を心がけましょう。

また、「生きる喜び」は人それぞれちがう、ということも押さえましょう。

Aさんがこれに心を打たれるから、BさんもCさんも同じようにそれを生きがいにする、という話ではないのです。

生きがいを見つけるのではなく、
「生きがい」があると、生きててよかったと心から思える。

そんな心の動きを議論できるようにしましょう。

偉人だろうと、有名人だろうと、同じ人間です。
成長したい欲もあるし、挑戦するときの恐怖もあります。
教材ではよい部分だけをピックアップして描かれていますが、
書かれていない裏の部分を発問で突いて、考える機会を設けることが、
内容項目に迫ることにつながります。

(2)のぼさんの喜びを考える

では、教材を見てみます。

正岡子規という偉人を扱っているので、①に重点を置いて考えましょう。
のぼさん(正岡子規)は、気高いでしょうか?

自らの考えを大切にし、決して他人には強制をしないが、自分自身には徹底して厳しく在り続ける。

そんな人でしょうか。
教材を読む限りは、そんな人であることが伝わってきますね。
俳句を広めたいのであれば、弟子たちに「教える」ことに徹して、
自分自身は作らなくてもよいでしょう。

自分の技術や知識を弟子たちに伝えるほうが、効率は良いかもしれません。
でも、のぼさんは生涯詩人であり続けた。
亡くなる直前に3句も書くのですから、俳句に対する執念というか強い思いがよく伝わります。

つらいことにも負けない精神的な強さももっていますね。

これらのことから、のぼさんの「喜び」について考えましょう。

・のぼさんは幸せだったのか。
・のぼさんの夢は叶えられたのか。
・のぼさんは何をしているときが一番うれしいだろうか。

こういった発問で、人がなにかに打ち込むことのできる喜びを考えられるようにしましょう。

また、「希望」というキーワードも大切にしたいですね。
のぼさんは、いつも将来に希望をもって生きていました。
「俳句を研究して、よりよいものを創りたい」
「俳句という文化をもっと広めたい」
このような希望を捨てなかったから、病気になっても、体が動かなくなっても、俳句の研究を続けることができたのです。

人は、希望がなくなったとき、人生という道を進む力を失います。

のぼさんは最後の最後まで希望を捨てなかった。
このことが展開や終末で触れられると、最高に感動する授業になりますね!

(3)35番目に「生きる喜び」がある意味

1番目の教材で「スポーツの力」、そして最後の35番目の教材で「のぼさんの夢」
いずれも内容項目は『よりよく生きる喜び』です。

『よりよく生きる喜び』で始まって、
『よりよく生きる喜び』で終わる。

道徳の入り口と出口を『よりよく生きる喜び』で引き締めることで、
一年間の道徳の学習が実りあるものになるような配列になっています。

今回の「のぼさんの夢」は、『生きる喜び』を偉人の喜びにスポットを当てて考えることを軸にすればいいですが、1年間道徳を学習してきた子どもたちは、もっと広い視点で考えるでしょう。

それはもう、教師の想像を遥かに超える思考の幅になっているはずです。
子どもたちの思考が自走し始めた証拠です。

1年間の道徳の学習の集大成として、
そして、6年間の道徳の学習の集大成として、
子どもにハンドルを握らせるような道徳をしてみてください。

きっと、授業者も子どもも「楽しい!」と思える、
そして感動的な「のぼさんの夢」の授業ができるはずですよ!

3 導入

T:教師 C:子ども

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