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6年『消えた本』【規則の尊重】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は『6年「消えた本」【規則の尊重】の指導案はこうする!』
このテーマで教材解説をします。

今日の教材は、税金の要素が入っています。
道徳科の学習ですが、社会科との関わりを意識することで、
道徳の授業の効果が何倍にも上がります。

税金については事前に社会科で扱っておく方が、
今回の教材は理解が深まるでしょう。

ただし、結論が社会科の話にならないように気をつけましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。

1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「規則の尊重」
5・6年の目標・・・・
法やきまりの意義を理解した上で進んでそれらを守り、自他の権利を大切にし、義務を果たすこと。

6年生「消えた本」(日本文教出版)

あらすじ
あずさは、図書館のHPから読みたい本を予約した。
人気の本だったので、5人待ちで1か月経って、やっと本を借りることができた。

夢中になって最後まで読んだが、借りたことを忘れがちになってきた。
「そろそろ返さないといけないけど、図書館には本がたくさんあるし大丈夫だよね。」
とあずさは思います。

その時、お母さんが市の広報誌を見せてくれた。
『市では図書館全体で約2万冊、約2561万円分の未返却本の返還請求権を放棄した』
と書いてあった。

意味を聞くと、「返してくださいというのをやめた」ということだった。
市の図書館の本は、みんなの税金で買われている。
あずさは、2万冊も消えた本。これが続いたらどうなるのだろう・・・と考え、
大急ぎで本を返しに行った。

2 内容項目と教材

解決策はいらない

6年生ともなると、こういった公民の要素も入った道徳の教材が扱われるようになります。
社会科で税金について学習したら、その後にこの教材を学習するようにしましょう。

子どもたちの理解がグッと深まるからです。

こういった教材は、子どもにとって身近な話題なので、
考えやすい引っ掛かりがたくさんあります。
そのため、議論が盛り上がりやすいです。

ただし、1つだけ注意をしましょう。

「◯◯すればいい」と、
方策を模索をしてはいけません。

道徳は、行為ではなく行為を生む心を考える教科です。
行為に注目して、方策を考えることは、道徳的価値に迫る話し合いになりにくいからです。

例えば、「本を返さない人にはどうしたらいいと思う?」と聞くと、

・罰金を払わせる
・逮捕する。
・厳しく取り締まる。
などの意見が出てくるでしょう。

これは、発問が悪いですね。
「どうしたらいいか。」と聞くと、方策を答えるしかないからです。

でも、市長になったつもりで罰則を考えることは、
道徳の授業ではほとんど意味がありません。

現実的ではないし、話が飛躍しやすいからです。
また、市として取締などの活動をすると、その活動費として税金が発生します。
こういったことも踏まえて、現実的に考えなければなりません。

あくまでも子どもたちは、市民です。
ほとんどの人が、図書館を「利用する」立場であり、
それは一生変わることがないでしょう。

そうであるなら、「図書館を利用するために大切な心」
さらに発展して、『公共のものを利用するために大切な心』をみんなで考えるほうが、
よりよい生活につながっていくことでしょう。

ポイントは想像力

「規則の尊重」で大切なポイントはズバリ、
想像力です。

・自分がこの行動をしたら、その後どうなるのか。
・みんなが同じ行動をしたら、どうなるのか。
と、まだ起こっていない未来を想像することが大切です。

あずさは、本を借りることができて、とても嬉しかったですが、
自分のものになって読み終わったら、借りたこと自体を忘れてしまいました。

これは、自分が読み終わって満足して、そこで思考が止まってしまっているからです。

・図書館は公共のものであること
・自分が1か月も、他の人が読み終わるのを待って本を借りたこと
・次に待っている人がいるかもしれないこと
これらのことを、あずさは想像していなかったのです。
そこにタイミングよく、お母さんが市の広報を持ってきます。
図書館は約2万冊の未返却本があることを知り、
あずさはなにかを想像します。


この時のあずさの頭の中を考えてみるのも面白いですね。
・自分のような「まあいいか」という考えの人が2万人もいるんだ。
・みんなが本を返さなかったら、図書館の本がなくなってしまう。
・みんなの税金が、みんなのために使われないなんていけないことだ。
これらは全て、直接見ていないものを想像しています。
想像をして、よくない未来を考えたので、
今自分にできることを「しないと気がすまない」状態になったのです。


この「想像力」は、全ての規則(ルール、きまり)に言えることです。

例えば、『ろうかは走らない』というきまりがあったとします。
このきまりを守るために、どんなことを想像すればいいのでしょうか。


・次の角から、人が飛び出してくるかもしれない。
・走ったら転ぶかもしれない。
・教室から勢いよく出てきた人と避けきれずにぶつかってしまうかもしれない。
こういったことを想像して、きまりを守ろうという意識になるのです。


「規則の尊重」は想像力
このことにまとめが収束していくといいですね。

3 導入

T:教師 C:子ども

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