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手製本で、棒使い

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今週月曜は、私の製本教室の初期生徒さんと待ち合わせて、宮川若葉さんの展示を見にいきました。変わらずすごくて可愛くて圧倒的でした。15日(日)までです。お薦めです。

さて、久々に会ったので、お茶しました。

こないだのNHKの「すてきにハンドメイド」でも使った木の棒の話になって、確かに言われてみればすごく重要ですねー、と思いました。

あまりに当たり前に自分は使っているので、無意識になってました。

今回は新しい使い方を思いついたこともあり、棒使いについてちょっと書いてみようと思います。

木の棒と言われても、手製本やってる人にとってすら「なんのこと?」だと思います。

例えば、文庫本をハードカバー化をするとなると、この図のような計算が必要です。

『手で作る本』(山崎曜著、文化出版局)33ページより

初期(西暦2000年前後)の講習ではこの足し算引き算を受講の方に計算してもらったんですが、計算ミス続出で、講習時間が倍になる、という失態を起こしました。

そこで、計算をさせないで、現物の本に3ミリとか10ミリとかの幅の木の棒をあててサイズ出す、っていうのをやったらミスは激減してよかったんですね。

初期の棒使いはそんな感じでした。その後、紙定規というアイデアがでて、今はこの棒の使い方はしないですが、「当て」としての木の棒は私にはなくてはならないものです。https://youtu.be/FeU4E75sdl4?si=rcC2cYqJAJtFW0Hh

新たな使い方は、

4本を両面テープで板に貼って枠を作り、その中にページの紙を積み重ねて貼り合わせていく、というもの。こうすれば小口も背もちゃんと揃えて作れる、ということです。

この秋のいくつかの大学の授業では、両面テープだけで作る(つまり糊やボンドを(ほとんど)使わない)ハードカバーの製本をやってみようと思っていて、そのための道具立て。

学生から、ボール紙の絵本の製本(『ポケット製本図鑑』(グラフィック社)だと「合紙絵本製本」)をやってみたい、というリクエストがありました。実際は、外注しないとできないものだけど、自分の手元で「試作」はしたいよねと、前々から考えていた、両面テープ使いの手順をちゃんと組み立ててみました。

いままでも、こうやって誰かのリクエストでなにかを捻り出すというのを繰り返してきたのですが、いつも結果的には自分に一番役に立ってます。

4本使いのアイデアはほんとどうってことないんですが、今までどうして思いつかなかったかという理由もわかるので「新たな展開」を感じて嬉しい。

まあ、この文ではちゃんと説明したことにはなっていないので、11月から作ろうと思ってる道具動画でも、説明してみたいです。誰かがリクエストしたことについて考えて、なんかアイデアを出すというのが、シンプルに自分の楽しみです。

※ 余談ですが、写真の板は「塗装コンクリート型枠用合板 イエロー」っていうもので、安くて塗装が丈夫なので、使いやすいです。片面塗装なのがちょっと惜しいですが。

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