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2024_0911_本読み

<1917字>
冒頭の写真:
近頃、蝶の飛び方をよく眺めます。種類によっての違いも面白いのだが、ハチなど他の飛ぶ昆虫に比べて、圧倒的に狂気じみている、と思います。翅が大きいから、ちょっとした空気の動きで位置が変わり、次の瞬間にどこにいるか、正に予測不能。荘子の胡蝶の夢が、なんだか観念的に思えてしまう。人間の視覚をこの動きに乗せたら、瞬時に気絶だろうな、と思うのです。
それほど速くもないジャコウアゲハを画面にとらえるのも、iphone振り回して、やっと。ジャコウアゲハは久々の邂逅。なんか盗撮ぽい。


9月11日(水)は以下を読みました。


『犬の心』 
ブルガーコフ 著 石井信介 訳

未知谷 

今日も訳者あとがきの中の
「20年代ソビエト社会の主要な意味とブルガーコフの予言」
のところ読みました。
ロシア革命後、レーニンは共産主義社会を作りはじめる前に、疲弊した国力を立て直すべく、先進諸国の「国家資本主義」からブルジョア文化を学ぶことを非常に推奨していた、ということを初めて知りました。
が、彼の死(1924年1月)後は、レーニンまわりの「知識人革命家」達はスターリンを中心とした「非知識人実務家」によって淘汰されてしまった。
『犬の心』を文学者数十人の前で朗読して喝采を浴びたのが、1925年の1~3月。原稿が押収されてしまったのが翌年の5月。まさに上のような流れの中でのできごとなのだな、と合点がいきました。

(音読した人:山崎)





『Edge Life』
金星一 著


4 忘却型人間
という章でした。最近の脳科学では、脳は記憶するためというより忘却するための器官、というふうに理解されるようになってきたようです。そのことにさらに梃子をかけて「妨害しようとする人の嫌がらせなど、忘れてしまうから、気にもならない」という著者の姿勢を、ばんばんと主張していました。

(音読した人:こいでさん)





『てつぞうはね』
ミロコマチコ 著

ブロンズ新社

zoomで小さな画面に押し込めて、俯瞰的に眺めているせいなのか。絵本が四角なのに、それを忘れるみたいな絵の力強さ。この画面使いは、キャンバスに描いた絵にはないな、と感じながら声を聞いていました。
猫の好きな方なら、ますます愛着がわくのではないかという、揺さぶられる内容でした。

(音読した人:こいでさん)





『ひらがなの世界─文字が生む美意識 』
石川九楊 著

岩波新書

石に刻む篆書から筆で書く隷書ができたのはなんとなく知ってはいたものの、前後してすぐに草書ができたとは知りませんでした。王羲之の仕事です。
なんとなく頭にある、真行草、ということば。調べると、ちゃんとしたものから崩していく、という意味。
成立の順序はそれとは正反対。草書、行書、最後が楷書(これが前述のことばでいうと「真」)だそうで、驚きました。
草書が右上がりになることの解説が、筆を使う人間の身体の都合からくる、ということも面白かったです。

(音読した人:きよもとさん)





『南洋のソングライン—幻の屋久島古謡を追って』
大石始 著 国本真治 編集

kitty Books

編者の国本さん登場。こんなふうに出会ったんですね。
共通のお知り合いの話題として、ディジリドゥのことがでてきていて、そうそう、アボリジニの楽器ですね、と思いながら、聞いていました。読後検索して、ありました。山崎は、この楽器はアリヅカで作ったものと誤解していました。シロアリに空洞にされたユーカリの木で作ったものだそうです。

(音読した人:やましたさん)





『漱石・子規往復書簡集』 和田 茂樹 (編集) 

岩波文庫

明治28年10月の漱石の42句。例によって、子規の添削あり。
〈 うねうねと心安さよ春の水 〉
〈心安さ〉に傍線が引いてあって、下注に〈 春の形容ナラズ 〉と。
素人の山崎にはなんとなく収まっているように感じる内容なのに、子規はこう言ってるのが、この世界の文法というか規範というのがあるのだなぁ、と思って、面白かったです。

(音読した人:めいさん)




『芭蕉七部集』  中村俊定 校注

岩波文庫
『猿蓑』
☆                   
〈 狗脊ぜんまいの塵に(え)らるるわらびかな   嵐雪 〉
ゼンマイとワラビ、どちらもシダの類の山菜ですが、この句、どっちがたくさん採れてる状況?そんな話をするうちに、わらび餅の話になりました。くず餅なら、本当のくず粉製のもでんぷん製のも両方あるね。でも、わらび粉は聞いたことがないな、と思いました。
やはり。
現代では採るのにとても手間がかかるので、非常に高価だそうです。

(音読した人:山崎)




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