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2024_0309_本読み
<972字>
冒頭の写真:
アシタバ。気づかぬうちに随分大きくなっていた。すぐに食べねば。
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3月9日(土)は以下を読みました。
『巨匠とマルガリータ』
ブルガーコフ 著
集英社 世界の文学15 ロシア Ⅲ
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凝った演出で、すこーしずつ、マルガリータが黒魔術師ヴォランドの術中にはめられていくように思えます。
何か一つだけ願いを叶えてやるよ、というヴォランドの言に対して、フリーダを救うことを頼みます。
が、そういう血迷った些事でなく、こんどこそ本当の願いを、と言われ、ついに、
自分の愛人である「巨匠」をここへすぐに連れてきて、と叫びます。
いよいよ物語の核心に触れることになるのか。
あらためて、ヴォランドとは何者なのかが気になります。
(音読した人:山崎)
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『科学と宗教と死』 加賀乙彦 著
集英社新書
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死刑囚の正田昭と交流があった著者。刑の執行後に新聞に記事を書いたことをきっかけに、正田と600通もの手紙のやりとりのあったNさんという女性からその書簡の全てを読む機会を得たり、正田昭の日記も全て読むことになりました。
それぞれに現れていたのは、自分自身が知っていた正田とは、がらりと違う人間でした。人間とは単純なものではないと思い知らされます。人間には心理学だけでは説明しきれない魂、とでもいうものがある、と確信することになります。
この体験から生まれた小説『宣告』でしたが、これをキリスト教の信者である遠藤周作から批判されます。それをきっかけにキリスト教をもっと真剣に知りたいと友人の神父と徹底した対話をする4日間という機会を作ります。
神父を質問攻めにした、とあり、次回はその内容になるので、楽しみです。
(音読した人:こいでさん)
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『芭蕉七部集』 中村俊定 校注
岩波文庫
『猿蓑』
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「月」の句が続きます。数えたら十七句も続いていました。
丁寧な前書きがついていたのが
〈 月影や拍手もるゝ膝の上 史邦 〉
西行のパロディと書いてあるウェブサイトもあって、
本歌は『山家集』にある
〈 かしこまるしでに涙のかかるかな又いつかはとおもうふこゝろに 〉
です。
前書きや詠み手をきっかけに検索して、蕉門の人々の人間関係やどこに旅して古人にどういう思いを抱いていたのかを垣間見るのが面白いです。
(音読した人:山崎)