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公立病院改革3-49【債務負担割合の決定】〈2006年〉東北170床 公立F病院
ひとまず、病院経営を引き継ぐ後継法人が決まった。
このことで、夕張ショックに次ぐ「第二の自治体倒産」の危機は去った。
実はこの決定段階においても、細かい経営委譲の「条件」は未定の項目が多かった。
時間との戦いで、細部は後回しにして選定作業に入ったので、後継法人との合意文書作成の中で、細部を詰めることになる。
後継法人が選定されている間に、実はもう一つ、重要な決定が行われていた。
それは、二つの市の「債務負担割合」だ。
後継法人が決定する2日前に、こちらも決着していたのである。
当事務所が割合の裁定を行うという話も出ていたが、結局、「ADR」裁判外紛争解決機関 によって裁定決着された。
割合は、両市で「5:5」だ、いや「75:25」だ、と、まったく譲り合う気配が無かった。
それを、委任された弁護士会がADR機関を発足して、「7:3」と定めたのである。
ADR手続は平成16年にできたばかりのもので、非常に新しい制度であった。
また当時、自治体間紛争にADRが用いられたのは初めてで、法曹の世界では画期的な案件だったらしい。
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これで当事務所、そして僕自身の F 病院関係業務は完了した。
しかも、成功裏に終結したことで、ともかくホッとした。
このとき2月半ばに入る頃で、普通の会計事務所では「確定申告」が始まる。
僕もちょっとだけ、確定申告案件を有していたので、その点でも良い時期に案件をクロージングできたと安堵していた。