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公立病院改革3-15【波及する病院危機】〈2006年〉東北170床 公立F病院

僕も、夕張再生の試みに奔走するボスたちを横目に見ていて、この地方自治の根幹に係る、夕張市の困難な業務に触れてみたかった。
現地の苦しみはいかほどかと思うが、自治体病院業務にのめり込みつつあった当時、そんな不遜な気持ちを持っていたのは事実である。


だが、ただでさえ忙しかった(税理士試験もあった!)し、大切な本件F病院の担当者でもあったから、参加できなかったのは仕方がない。

しかし結局、僕の通っていたF病院業務も、夕張ショックの影響を直接受けることとなり、一気に業務の難易度があがることとなった。



実は、僕が通っていた公立F病院も、そこそこの一時借入金が累増していた。
前述したように、地方公共団体は原則的には市中金融機関から自由におカネを借りることはできないが、一時借入金とは文字通り、一年以内、期末の特定の期間などに限って許されていた、一時的な借入金である。


僕が総務省統計を1年半くらい見てきただけでも、一時借入金を掲載している自治体病院は、あちこちにあった。
それも「これって、一時という感じの金額ではない」というボリューム感ある借入金も、目に付いた。
だが、それも平時であれば、全国的に行政・議会関係者は、みんな目をつぶってきていたのだが。


夕張ショックで、全国的に自治体におけるヤミ起債や一時借入金の問題が報道され始めた。
それに伴って、マスコミや議会が我が街の財政状況を改めて点検、議論する機運が一気に高まった。
そして我が?公立F病院でも、一気にこの問題がフォーカスされ始めて、呑気に業績改善などと言っていられなくなったのである。

公立F病院では業績改善のためのコンサルテーションを展開していたが、この年は看護師不足が埋められず、赤字が拡大していた。
その赤字の拡大はそのまま一時借入金の増加に跳ね返ってきており、そこに夕張ショックが発生した。


この流れの中で、F病院組合構成2市の議会は急速に、病院の業績改善ではなく「債務整理」を急ぐ空気が流れていくようになった。

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