公立病院改革3-36【負担割合の「裁定」業務】〈2006年〉東北170床 公立F病院
具体的に、両市で行われていた鍔迫り合いは、次のようなものである。
・病院所在地であるA市が多く負担すべきだ
・利用患者の割合で負担率を決めるべきだ
・職員の在住地も考慮に入れるべきでないか
・もともとの費用負担割合を、そのまま債務負担額にすべきでないか
・過去から現在までの患者受領動向を分析して、決めるべきでないか
などなど・・・
両市とも財政状態が厳しい中で、1円でも負担を抑えるために必死である。
この協議には、文句のつけようがない、公正なレフリーが必要であった。
僕は、ボスにこの債務負担割合を「裁定」する仕事を、業務として自治体に提案するように言われていた。
また、後で思うと驚くべきことだが、自治体サイドも当方のボスにこの裁定をして欲しいと口にしていた。
民間人に数十億円の、自治体が負うべき債務の裁定を委託されることがあるのか・・・
そして僕は、ボスからその「裁定」の業務準備のために、資料集めと分析を行うように指示された。
実際に、過去からの患者受領動向の統計整理を始めて、この業務を受注する動きを始めていた。
これは業務負担もそうだが、半端でなく、責任が重い業務だ。
資料の誤りやわずかな齟齬で、億単位で負担が変わっていくことになる。
そんな責任の重さを考慮に入れて、ボスは1ケタ違う契約金額を提示するように指示し、僕はそのまま伝えた。
凄い額だ・・・僕はいくらもらえるのだろう・・・とか、そんなことがアタマを駆け巡った。
しかし、結論としては「裁定」業務の受注は成立しなかった。
理由としては、(僕が思うには)吹っ掛け過ぎであったことと、我々がA市側の業務受託者であり、B市側が公正な存在と認めなかったためであると思われる。
この債務負担割合は、F病院業務終結の最終局面で、当方以外の手によって裁定されて決定・終結された。
その模様は、この病院の話の終盤で改めて書いてみたいと思う。