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公立病院改革3-13【夕張ショックの内実】〈2006年〉東北170床 公立F病院

前回記したように、夕張市は炭鉱時代の終焉とともに、昭和の時代に一度(事実上)破綻している。
しかし、緊縮財政による再建を目指した福岡県赤池町とは逆に、超・積極財政による「観光誘致」を推し進める攻めの戦略に出た。

これは経済政策や企業の経営戦略の世界であれば、「吉と出る」可能性のある悪くない戦略だ。

しかしその後、バブル経済の崩壊、長期の景気停滞の影響などが続き、市の財政は大きく悪化していくことになる。


結局、財政再建団体の申請を決める2006年の年央には、金融機関からの一時借入金が292億円、地方債残高187億円、第三セクター等への債務保証等が120億円と、標準財政規模が44億円である夕張市のキャパシティをはるかに超えた債務を負っていたことが発覚した。

このとき話題になったのが「ヤミ起債」「一時借入金」という、二つのキーワードである。

ヤミ起債とは、通常は総務大臣や知事の許可や同意が必要である起債(借入)手続を経ず、一時的な借入金を回し続けたり基金を流用したりして、一見表面化しない借入を起こすことである。

一時借入金とは、本来自治体は金融機関からの恒常的な借入金はできないが、期末一時期に不足資金を借りることは、緊急手段として認められているものである。
夕張市はこの仕組みを悪用し、一時借入、返済を繰り返して債務を膨張させてしまったのである。

以上の状況から、夕張市は完全な多重債務状態に陥った末に、破綻することとなった。

ところで夕張市は、170床の夕張市立総合病院を有していたが、この病院自体もまた40億円に及ぶ一時借入金を抱えるなどして、市とともに事実上の破綻状態にあった。

私のボスは、この病院問題解決のために総務省からアドバイザーとして派遣されることとなり、実際にここで剛腕を発揮したのである。


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