公立病院改革3-41【第一回委員会 公募要項の決定】〈2006年〉東北170床 公立F病院
第一回目の委員会では、「この公募要項を公表しましょう」という、要項の決定を行う。
その公募要項のドラフト作成は僕の仕事であったが、このときは正直、細かいことは考えられなかった。
普通、行政や社会福祉法人の公募案件では、より質の高い事業者に来てもらうために、条件や文言に様々な工夫をする。
もちろん、「直近3期以内の赤字はダメ」「自己資本比率〇%以上」など分かりやすく財務制限を設ける事案もある。
「〇県内で・・をしていること」「職員については・・・こと」など、定量や財務以外に、様々なリクエストを盛り込んでいる公募要項もある。
しかし今回は、ハッキリ言って贅沢を言っていられる状況ではなかった。
引き受け手が出て来なければ、自治体が破綻して第二の夕張となるのである。
資金ショートからの経営委譲で、公的補助も見込めず、ただ「ベッドと残る職員がいる」だけの病院だ。
おカネがないので、過去の三陸沖地震等による半壊部分や雨漏りの修繕すら行われていない。
そして、おそらく経営委譲と同時に、転職できる職種や人材からいなくなる。
最後に残った職員だけでは、医業収益が生み出せないというところから、スタートすることになるかもしれない。
そんな病院を引き受けてもらうのに、こちらから選別して応募者を減らすわけにはいかない。
そのため、基本的な審査基準は、次のようにごくシンプルなものとなった。
【審査基準】
1 経営力 法人の経営実績等
2 財務力 財務状況等
3 医療提供能力 医師の確保を含む
4 経営移譲提案についての実現可能性
5 職員雇用に対しての姿勢
このほかに「点数表」を作成して、一応100点満点で競う格好には作り上げた。
とにかく、応募がないと始まらない。
応募して欲しい一念で、完成した公募要項を世に送り出すこととなった。