【公立病院改革 番外編2-2 奥羽旅情 場末のスナック】
32歳であった当時、スナックというものは数えるほどしか、行ったことはなかった。
でも酒は好きだし、行ったことが無いわけでないので、そんなに抵抗は無かった。
ドアをくぐると他に客はおらず、僕一人だった。
70歳くらいのママ、イマイチ片付いていないカウンター、ヤニくさい空間。
ああ、場末のスナックだ。
とりあえずビールを頼む。
それと、お腹が空いているから、何でもいいから食べるものが欲しいとリクエストした。
そうしたら「エンガワがあるよ」と。
ここに来て、ヒラメのエンガワか。
漁港が近いからなのか、粋なものを用意している・・・
うれしくなり、それをもらうことにした。
すると、皿の上に大量に盛られたエンガワが出てきた。
盛る、というのは、ツマの上に数枚、エンガワなど刺身が盛られる、あの盛る、ではない。
皿の上に、チャーハンのように、野菜炒めのように、北半球のように、エンガワが丸っと盛ってあるのだ。
何十枚あるのだろう・・・
また気になったのは、そのエンガワが、青く?緑っぽく?
つややかに、光っているのである。
ここは八戸市内、確かに海のある街だから、新鮮さゆえにこの青い光沢なのか?
それとも、時間が経って変色しているだけなのか?
なぜか、それを怖くて聞けなかった(ビビりなのだ)。
ほかに食べるものがないか聞いたら、少し、乾きものなどを出してくれたが。
基本的にはひたすら、エンガワを食べ続けた。
味は、あまり覚えていない。