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公立病院改革3-55【ボス、動く】〈2006年〉東北170床 公立F病院
後継団体との協議断念が報道されたのち、本来であれば即座に、次の委員会準備を行うべきなのだが。
数日間の空白期間があったのを、よく覚えている。
きっと、特に自治体側は、あまりの当てのなさと時間のなさに、諦め混じりでアタマが真っ白になっていたのだろう。
誰より、僕自身が、どうしようも無さに打ちひしがれていて、真っ白になっていた時だった。
ある2月下旬の朝、真っ白な頭を抱えて事務所に出勤すると、ボスから
「今夜ある人物と、その関係者と会うので資料を準備して、一緒に来るように」
と指示された。
ボスはこれまで一年超、夕張など他の難案件にかかりきりで、本件F病院はときどき指示を出すくらいだった。
しかし、最後のどん詰まりの状況下でついに一度だけ、自らの人脈を用いて動いた。
結局本件でボスが動いたのは、この日、一日だけだ。
でも、その動きで全て展開が変わった。
「これがボスの仕事か」
と、その後、医療界に名を売るボスの仕事力を、痛烈に思い知らされることになる。
そのときは何だか全く分からなかったが、ボスの言うままに、僕もその会合に参加した。
するとそこには、首都圏のある医療グループの総帥と、その総帥の右腕である元・厚労相官僚の方がいた。
僕はその総帥と元官僚の方に向けて、病院の状況と(一応)取得の魅力についてを一通り説明した。
すると、一通りの話を聞いた総帥は、次のように言った。
「この話には、夢がありますね」
というのである。