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【公立病院改革 番外編2-3 奥羽旅情 他人のボトルから】

印象深いことというのは、いつまでもよく覚えているものだ。
このスナックでの一連の出来事は、不思議と僕の脳裏によく刻まれている。

エンガワを肴にして、まずビールを飲み終わった。
次に、焼酎をロックか、お湯割りか何かで作ってもらうように頼んだ。

そうしたら。
棚に置いてある、明らかに他人のラベルが付いているキープボトルから、ドボドボ焼酎を注ぎ始めた!

ママ、いいの?!
いいのよ、どうせもう、ずっと来ていないんだから。

なんて会話があった気がする。

何しろエンガワの量が多いから、その後ずいぶん焼酎をお替りしたが。
減りかけたキープボトル数本から、威勢よくドボドボ注がれ続けた記憶がある。

そうこうしているうちに、他のお客さんが二人、入ってきた。
二人とも、ママとは顔馴染みの地元の常連さんのようだ。

40歳くらいと思しき、男性客。
70歳(と後に本人が言っていた)の女性客。

当時はこういう場所に一人で飲みに行くことはなかったので、このシチュエーションは人生初体験だ。
しかしこの二人との雑談は、克明にではないが、とても良く覚えている。

僕は東京から、ある仕事でやってきたことを話すと。
二人ともそれぞれ、東京で過ごした時期や、人生の悲喜こもごもについて話し始めた。

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