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公立病院改革3-19【資金ショート発生】〈2006年〉東北170床 公立F病院
ところで、市長報告の直前に「銀行がF病院への融資を通さない」という情勢が発生した。
当時は夕張発で、全国で「ヤミ起債」「一時借入金」批判が吹き荒れ、総務省が各自治体や地方公営企業の債務状況を厳しく点検し始めていた。
もはや民間銀行も、半ばルール違反と分かって行っていた一時借入金を、簡単に継続して追い貸しできる状況ではなかった。
なお、どこかで「地元金融機関が各自治体の『指定金融機関(金融業務を一手に請け負う金融機関)』であるために、一時借入金なども辞すことができなかった」という趣旨の話を聞いた気もする。
要するに自治体と地元金融機関がべったりで、しかも自治体相手なら確実に回収できるだろうとの与信で、出し続けていたという話である。
ただ、この話は誰に聞いたか、どこに記載されていたか全く記憶にないため、話半分にご覧いただきたい。
この資金ショートについては、結局2市でフォローして資金補填せざる得なくなった。
その後2市からF病院への資金支援は、どんどん増えていくことになる。
しかし、F病院について2市本体の財政支援を必要としたことは、両市議会の大いなる反発を招くこととなった。
当時のこの状況のことを、コンサルで同行していたJ准教授は、「戦後史初めての『自治体病院の資金ショートによる倒産』」と表現した。
このとき私は、分かっていないことがたくさんあった。
漠然と、この病院が仮に倒産、消滅しても、公務員身分を持つ皆さんの立場は変わらないと信じていた。
どんな身分にせよ、自治体が職員の次の行き先(外郭団体とか)を、何らかの形であっせんする気がしていた。
何より病院のような公共施設を「財政的事情により閉鎖・放棄」することは、市長や議会など選挙人は選択しないのだろう、とも思っていた。
従って、複数自治体が自ら設立した本件F病院の一部事務組合・企業団を、見捨てたり潰したりする意思決定は無いのだろうと、タカを括っていた。
しかし市長報告で市長室を訪れたときには、すでに市のハラはある程度決まっていたようだ。